一生のおねがい!

多賀森

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5.じっくりでスムーズな進行

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 結果的に言えば一ヶ月半、田宮は桃耶の中に指以外を入れなかった。二週間目あたりからはもうなんだか余裕で入るような気になっていたが、田宮はどうせなら本番がめちゃくちゃ良くなるようにしようぜ! と言って桃耶の性感帯を開発する方向へ舵をきっていた。傍迷惑な気遣いだ。
 初心者向けだというディルドを持ってきた日もあった。全身全霊で拒否したから結局使っていないが、置いていかれたので引き出しの奥に安置されている。大迷惑だ。

 そういうわけで道具は使わず、二日に一回桃耶の家に来ては田宮がその手でじっくりと肛門を柔らかくしていく。最初のときからそうだったが、もどかしくなるくらい慎重でゆっくりなのだ。桃耶に快感を教え込むように、あるいは田宮が力加減を覚えるように、ゆっくり、そして何度も繰り返したっぷりと時間をかけて刺激する。
 桃耶はもういっそ一思いに入れて終わらせてほしかった。そんなに開発されきってしまったら友だち相手に立ち直れないほどよがってしまうんじゃないか。そんなことになって田宮をまともに見られる気がしない。しかしもうじゅうぶん気持ちいいから入れてくれ、なんて言うのも憚られて、結局桃耶は田宮に気が済むまで開発されてしまっていた。

 快感に抗い難くて、「次」を求めて止められなかったとも言える。桃耶はまだギリギリ自覚していないが、実はすっかり田宮に与えられる快感にハマっていた。行為中はスマホなんかもう見る必要も余裕も無かった。毎回洗浄のときは性欲が無になる瞬間があるのに、ここ数日ではその状態でも田宮に触れられるとすぐにその気になってしまう。田宮はそれが分かっているのかいないのか、前よりも焦らすような動きをすることもあった。


「桃耶、脚閉じないでってば」
「は……、無茶、言うな……ぁ、う~~……っ」
「すご、もうここ性感帯じゃん」
 田宮の言う通り、桃耶は前立腺を触られると思わず声を出して背中を反らすほど感じてしまうようになった。まだここだけで最後まで到達することはできないまでも、しかしそこはしっかりと強い快感を拾う器官へと成り果てていた。想像以上の気持ちよさが襲ってくるのに局部を触られずにはどうしても達することができず、射精欲が募っていくばかりで、頭が沸騰するようだ。はやく出したい、はやく解放されたい、そんな焦燥にも似た思いがぐるぐると脳内を占めていく。
「っは、はあ、……ッう」
「ナカめちゃくちゃうねってる。……ここ入ったらさ、絶対きもちーよな」
「…………じゃあいれたらいいだろ……っ」
「はは、うん、そーだね」
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