ウセモノ横町

椛はなお

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【序章】

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少年は落ちていく、最愛の「えにし」を取り戻すため。


ここは、鶴蔡かくさいの町

鶴蔡山かくさいやまという大きな山々に囲まれた私鉄線の終点にある町。そこには川底に生い茂る梅花藻ばいかも以外特別有名なものもなく、強いていえば「ウセモノ郵便」という失くしたモノを書いた手紙を山の郵便受に入れると、書いた失せ物が必ず返ってくるというチンケな都市伝説を信じた人間が、度々この山を訪れるくらいだ。

そんなへんぴで不可思議なこの町に、ある失せ物を捜す1人の少年がいた。

彼の名は陽之助ようのすけ

彼の失くしたものは、実体はなく掴むことすらできないのに、必ずとどめておかなくてはならない大切なもの。


``心``であった。


「心を取り戻して、俺はもう一度あいつとの縁を取り戻す。」


それは心を失くした陽之助が望んだたった一つの願い事。



その願いはやがて陽之助を手招きするかのように鶴蔡山の奥地へと誘うのだった。
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