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第八話 無手流使い
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洞窟内も少し進むと頭上に何か埋め込み式のライトでもあるのかオレンジ色の光源が踏み均された土道をぼんやり照らしている。
「おらっ、休んでんじゃねえ!出荷が間に合わなくなったらてめぇらの飯は無くなるぞ!」
洞窟内に反響する怒声、金属が何かにあたる音、そんな騒音が近付くにつれ真の視界には数人の疲れた様子でツルハシを握る人々がいた。
ある者はツルハシで固そうな土壁を叩き、ある者は古びた一輪車に何かを入れる。
そして仁王立ちでそのぼろ切れを纏った人々を監視するように存在する身なりの整った屈強な男達。
そんな監視役であろう男達の中には昨日酒場で見かけた剣を腰に提げた騎士気取り風の男もいた。
「っち……こんな所で監視役より俺も外であの冒険者風情に一泡吹かしてやりたかっ――」
と、腰に剣を差した男が何かをぼやきながらふと振り向いた先で真を視界に捉える。
「てっ、てめぇわっ!?」
その声に他の人間達も此方を振り返るが、恐らく労働を強いられているであろう男達は一度だけ真を目に留めると興味を失った様にまた視線を戻した。
「おいおいどうなってんだ、こいつ昨日の奴だろっ!?」
「スタンはどうしたっ!?まさか殺られたってのか!こいつ……ち、代頭は」
「ペトラが代頭ん所に行ってらぁ、だがそれよりも……此処等で痛い目見せといたらどうよ?」
「はっ、それもいいか。丁度こんな監視にも飽きてきた所だ」
四人の男達は裸足の真の姿に薄ら笑いを浮かべながらどこから出したか短剣を向ける。
最早お伽話の盗賊だなと真は心で笑い、全身の力を抜いて四人の男を視界に収めた。
「びびって声もでねぇかぁ?」
「だらぁあっ!」
その内一人の男が突出し、真へと拳を繰り出す。
その無様な打撃を呆れる様に眺めながら真は半身でそれを躱して男の腹に膝を食い込ませる。
男はそのまま支えを失って地に伏した。
「て、てめぇっ!」
その様子に触発されたか二人の男が本気になって短剣を突き出す。
一人は一直線に真っ正面から、もう一人は真の側面に素早く回り込んで短剣を真の胸辺りに突き出す。
連携の取れた動き、直線からの攻撃は陽動で側面から面積の広い胴体を狙っての攻撃が本命か。
急所に当たらなくても標的の動きを確実に鈍らせる事は出来る。
だが真にとってその程度の刃物は何の驚異にもならない。
刃物はそれが自分を傷付けると言う恐怖心から体の動きを鈍らせ痛手を追う事に繋がるのだ。
逆に言えば相当な使い手以外の持つ武器などただの玩具と同意、真は冷静に二人の動きを捉え的確に対処していた。
摺り足で半歩後ろへ下がり本命の側面からの突きを躱しながらしゃがみ、正面の突き出しも躱しながら側面の男の足を思いきり払う。
足首の稼働部分で引っ掛けられながら片足を弾かれた男はバランスを崩して勢いよく前のめりに倒れた。
立ち上がり様に腕の力と体重移動による反動を生かし正面の男の腹部目掛けて右足を叩き込む。
男は後ろの土壁に吹き飛び、ツルハシを持って労働していた人間の元に崩れ落ちた。
先程まで無関心を装っていたその労働者達も驚愕の表情を浮かべる。
「全く。次から次へと、地球より治安が悪いなここは」
真は訳の分からない場所へ飛ばされてから今までの間に自分が日本と変わらず戦闘している事に苦笑した。
文化レベルが低かろうと高かろうと人間のやる事はいつだって同じレベルなのだと考えさせられる。
だがそれでも合金製ブーツを履かない今の身軽さに、真は沸き上がる衝動を抑えられない事も理解していた。
(結局は俺もコイツらと同類って訳か)
自虐的な事を思いながら腰に剣を提げていた男を見やる。
男は若干狼狽えた様子を見せたが、思い出したかのように腰の剣を抜き放ち正眼に構えて見せた。
「こ、この、冒険者の……分際でぇっ!」
構える剣は刃渡り一メートルと言った所、長さで言えば元素収束時の構図と同じ程度だ。
だが男の持つ剣は身に余って重く見えた。あれでは使い物にならないだろう。
男がその剣を大振りに振り上げ地を蹴ろうとしたその直後、奥の通路から怒声が響く。
「おいっ!昨日の冒険者風情が殴り込みってのは本当――みてぇだな」
銀色の胸当てを身に付け、昨日酒場にて真に宿を勧めてきた男。そしてその後ろにはぞろぞろと皮の胸当てを身に付けたどこぞの山賊風情の輩や、短剣などを手にした数十人の屈強な男達が姿を現した。
(これはまた)
面倒な数の悪党が出てきた物だと内心毒づきながらも、これがアンドロイドキルラーの軍勢でない事に安堵感を覚える真であった。
ふと脳内でデバイスの電波を受信し、位置を把握する。
どうやらこの銀色の胸当てを付けたリーダー格の男が真の携帯端末を持っている様だった。
「大人しくどっかの街にでも帰るか、ここで俺達にコキ使われてりゃ良いものを。こんな真似してくれてただで済むと思うなよ、冒険者さんよ」
「俺は自分の持ち物を返して貰いに来ただけだ。争うつもりは無かった」
実際の所、奇襲を受けて真の戦闘意欲が駆られ昂ったのはこの際伏せておく。
「取り抑えろっ!」
剣を振りかぶっていた男共々リーダー格の後に付く数十人の男達が一斉に真に飛び込んで来る。
正直ここまでの面倒事に巻き込まれる等誰が予想できただろうか。
ただ街に入り、金を払い宿に泊まっただけだ。
油断していたとは言え勝手に人の荷物を奪い、取り返しに来ただけで刃物まで向けられた。
相手が真でなければ殺されても仕方がないと思える様な状況だ。
(どうしたもんかな)
真は男達の強襲を一つずつ丁寧に交わしながら合気術により次々と迫り来る男達を無力化しながら考えていた。
デバイスはあのリーダー格の男が持っている、そう脳の感覚が教えているのだ。
デバイスは手動操作に、声紋認証機能も付属しているのでここから声を出せば間違いなく武器として使える物を生成してこの集団を一瞬で切り捨てる事も出来るだろう。
だがこの世界の文化がどうか分からないが来て早々罪人になるのも気が引ける。
考えた挙げ句、真はこのまま自らの戦術によっての圧制を決めた。
次から次へと襲いかかる屈強な男達。
その男達の動きを器用にも捌きながら流れる様な動きで関節を折り、或いは外し、真はその数を減らしていった。
「らぁぁぁっっ!」
そこへ仲間の事も気にせず剣を降り下ろす先程の男が真の視界に入る。
男の剣速はお世辞にも早いとは言えず、その剣身自体も幅広で実用性に欠ける様にも思える。
真はそれをさも当たり前の様に半身移動で躱し様側面から掌底を剣の腹に叩き込んだ。
対象に触れるその一瞬だけに力を込める、無駄な筋肉硬直を省く最速で強力な掌底に男の持つ剣は半ばより折れ弾き飛んだ。
「っ!?」
ついでとばかりに男の腹に中段蹴りをお見舞いし、数十人をほんの1分程度の時間で真は無力化させていた。
リーダー格の男とその後ろに残った二人の男が驚愕の表情を向けたまま静止している。
「お前……一体。無手流使い、か」
「代頭!無手流って」
残った二人の男がリーダー格の男を見ながら狼狽えた様子を見せた。
無手流、それが何の事かは分からないが恐らく素手による格闘技の一種だろうと真は納得した。
何とも安直である、だが真の現在用いる武術は無手であるがその種類は多岐に渡った。
相手の動きをそのまま利用し受け流し又は返す海外格闘技システマに関節を決める合気道。
実戦に特化してあらゆる手を尽くすクラヴマガに、相手を投げ捨てそのまま無力化するシラット。
他にも瞬時の打撃、蹴撃を得意とする少林拳と上げればきりがない程のありとあらゆる格闘術が真の脳内にはデータとして入っている為、無手と一概に言われても何とも言えないのである。
「南からの冒険者か。武器も持たねぇからてっきり魔力マナ使いだと思ったが。だが妙な魔力機はこっちの手にある。てめぇは、殺すぜ!」
男は一人そう呟くと手に何かを握り締めるようにしながら不可思議な言葉を口にした。
「はぁぁ…………炎の光弾!」
男がそう叫んだその時、拳が一瞬赤く光ったかと思えば刹那火弾が真に向け瞬速で放たれる。
咄嗟に反射神経による動きのみでそれを避けた真だったが、あまりに突然の出来事に体勢を崩してしまった。
「な!?」
地面に手を付き思わず火弾の飛び去った方向へ視線を流す。
火弾は土壁を焦がし散り散りになった。
「俺が魔力結石を操れねぇとは言ってねぇぜ。さて、無手でどこまでやれるか……見せてもらおうじゃねぇかっ!」
真は現実に起きたその事態を必死で分析しようと脳内をフル回転させていた。
「おらっ、休んでんじゃねえ!出荷が間に合わなくなったらてめぇらの飯は無くなるぞ!」
洞窟内に反響する怒声、金属が何かにあたる音、そんな騒音が近付くにつれ真の視界には数人の疲れた様子でツルハシを握る人々がいた。
ある者はツルハシで固そうな土壁を叩き、ある者は古びた一輪車に何かを入れる。
そして仁王立ちでそのぼろ切れを纏った人々を監視するように存在する身なりの整った屈強な男達。
そんな監視役であろう男達の中には昨日酒場で見かけた剣を腰に提げた騎士気取り風の男もいた。
「っち……こんな所で監視役より俺も外であの冒険者風情に一泡吹かしてやりたかっ――」
と、腰に剣を差した男が何かをぼやきながらふと振り向いた先で真を視界に捉える。
「てっ、てめぇわっ!?」
その声に他の人間達も此方を振り返るが、恐らく労働を強いられているであろう男達は一度だけ真を目に留めると興味を失った様にまた視線を戻した。
「おいおいどうなってんだ、こいつ昨日の奴だろっ!?」
「スタンはどうしたっ!?まさか殺られたってのか!こいつ……ち、代頭は」
「ペトラが代頭ん所に行ってらぁ、だがそれよりも……此処等で痛い目見せといたらどうよ?」
「はっ、それもいいか。丁度こんな監視にも飽きてきた所だ」
四人の男達は裸足の真の姿に薄ら笑いを浮かべながらどこから出したか短剣を向ける。
最早お伽話の盗賊だなと真は心で笑い、全身の力を抜いて四人の男を視界に収めた。
「びびって声もでねぇかぁ?」
「だらぁあっ!」
その内一人の男が突出し、真へと拳を繰り出す。
その無様な打撃を呆れる様に眺めながら真は半身でそれを躱して男の腹に膝を食い込ませる。
男はそのまま支えを失って地に伏した。
「て、てめぇっ!」
その様子に触発されたか二人の男が本気になって短剣を突き出す。
一人は一直線に真っ正面から、もう一人は真の側面に素早く回り込んで短剣を真の胸辺りに突き出す。
連携の取れた動き、直線からの攻撃は陽動で側面から面積の広い胴体を狙っての攻撃が本命か。
急所に当たらなくても標的の動きを確実に鈍らせる事は出来る。
だが真にとってその程度の刃物は何の驚異にもならない。
刃物はそれが自分を傷付けると言う恐怖心から体の動きを鈍らせ痛手を追う事に繋がるのだ。
逆に言えば相当な使い手以外の持つ武器などただの玩具と同意、真は冷静に二人の動きを捉え的確に対処していた。
摺り足で半歩後ろへ下がり本命の側面からの突きを躱しながらしゃがみ、正面の突き出しも躱しながら側面の男の足を思いきり払う。
足首の稼働部分で引っ掛けられながら片足を弾かれた男はバランスを崩して勢いよく前のめりに倒れた。
立ち上がり様に腕の力と体重移動による反動を生かし正面の男の腹部目掛けて右足を叩き込む。
男は後ろの土壁に吹き飛び、ツルハシを持って労働していた人間の元に崩れ落ちた。
先程まで無関心を装っていたその労働者達も驚愕の表情を浮かべる。
「全く。次から次へと、地球より治安が悪いなここは」
真は訳の分からない場所へ飛ばされてから今までの間に自分が日本と変わらず戦闘している事に苦笑した。
文化レベルが低かろうと高かろうと人間のやる事はいつだって同じレベルなのだと考えさせられる。
だがそれでも合金製ブーツを履かない今の身軽さに、真は沸き上がる衝動を抑えられない事も理解していた。
(結局は俺もコイツらと同類って訳か)
自虐的な事を思いながら腰に剣を提げていた男を見やる。
男は若干狼狽えた様子を見せたが、思い出したかのように腰の剣を抜き放ち正眼に構えて見せた。
「こ、この、冒険者の……分際でぇっ!」
構える剣は刃渡り一メートルと言った所、長さで言えば元素収束時の構図と同じ程度だ。
だが男の持つ剣は身に余って重く見えた。あれでは使い物にならないだろう。
男がその剣を大振りに振り上げ地を蹴ろうとしたその直後、奥の通路から怒声が響く。
「おいっ!昨日の冒険者風情が殴り込みってのは本当――みてぇだな」
銀色の胸当てを身に付け、昨日酒場にて真に宿を勧めてきた男。そしてその後ろにはぞろぞろと皮の胸当てを身に付けたどこぞの山賊風情の輩や、短剣などを手にした数十人の屈強な男達が姿を現した。
(これはまた)
面倒な数の悪党が出てきた物だと内心毒づきながらも、これがアンドロイドキルラーの軍勢でない事に安堵感を覚える真であった。
ふと脳内でデバイスの電波を受信し、位置を把握する。
どうやらこの銀色の胸当てを付けたリーダー格の男が真の携帯端末を持っている様だった。
「大人しくどっかの街にでも帰るか、ここで俺達にコキ使われてりゃ良いものを。こんな真似してくれてただで済むと思うなよ、冒険者さんよ」
「俺は自分の持ち物を返して貰いに来ただけだ。争うつもりは無かった」
実際の所、奇襲を受けて真の戦闘意欲が駆られ昂ったのはこの際伏せておく。
「取り抑えろっ!」
剣を振りかぶっていた男共々リーダー格の後に付く数十人の男達が一斉に真に飛び込んで来る。
正直ここまでの面倒事に巻き込まれる等誰が予想できただろうか。
ただ街に入り、金を払い宿に泊まっただけだ。
油断していたとは言え勝手に人の荷物を奪い、取り返しに来ただけで刃物まで向けられた。
相手が真でなければ殺されても仕方がないと思える様な状況だ。
(どうしたもんかな)
真は男達の強襲を一つずつ丁寧に交わしながら合気術により次々と迫り来る男達を無力化しながら考えていた。
デバイスはあのリーダー格の男が持っている、そう脳の感覚が教えているのだ。
デバイスは手動操作に、声紋認証機能も付属しているのでここから声を出せば間違いなく武器として使える物を生成してこの集団を一瞬で切り捨てる事も出来るだろう。
だがこの世界の文化がどうか分からないが来て早々罪人になるのも気が引ける。
考えた挙げ句、真はこのまま自らの戦術によっての圧制を決めた。
次から次へと襲いかかる屈強な男達。
その男達の動きを器用にも捌きながら流れる様な動きで関節を折り、或いは外し、真はその数を減らしていった。
「らぁぁぁっっ!」
そこへ仲間の事も気にせず剣を降り下ろす先程の男が真の視界に入る。
男の剣速はお世辞にも早いとは言えず、その剣身自体も幅広で実用性に欠ける様にも思える。
真はそれをさも当たり前の様に半身移動で躱し様側面から掌底を剣の腹に叩き込んだ。
対象に触れるその一瞬だけに力を込める、無駄な筋肉硬直を省く最速で強力な掌底に男の持つ剣は半ばより折れ弾き飛んだ。
「っ!?」
ついでとばかりに男の腹に中段蹴りをお見舞いし、数十人をほんの1分程度の時間で真は無力化させていた。
リーダー格の男とその後ろに残った二人の男が驚愕の表情を向けたまま静止している。
「お前……一体。無手流使い、か」
「代頭!無手流って」
残った二人の男がリーダー格の男を見ながら狼狽えた様子を見せた。
無手流、それが何の事かは分からないが恐らく素手による格闘技の一種だろうと真は納得した。
何とも安直である、だが真の現在用いる武術は無手であるがその種類は多岐に渡った。
相手の動きをそのまま利用し受け流し又は返す海外格闘技システマに関節を決める合気道。
実戦に特化してあらゆる手を尽くすクラヴマガに、相手を投げ捨てそのまま無力化するシラット。
他にも瞬時の打撃、蹴撃を得意とする少林拳と上げればきりがない程のありとあらゆる格闘術が真の脳内にはデータとして入っている為、無手と一概に言われても何とも言えないのである。
「南からの冒険者か。武器も持たねぇからてっきり魔力マナ使いだと思ったが。だが妙な魔力機はこっちの手にある。てめぇは、殺すぜ!」
男は一人そう呟くと手に何かを握り締めるようにしながら不可思議な言葉を口にした。
「はぁぁ…………炎の光弾!」
男がそう叫んだその時、拳が一瞬赤く光ったかと思えば刹那火弾が真に向け瞬速で放たれる。
咄嗟に反射神経による動きのみでそれを避けた真だったが、あまりに突然の出来事に体勢を崩してしまった。
「な!?」
地面に手を付き思わず火弾の飛び去った方向へ視線を流す。
火弾は土壁を焦がし散り散りになった。
「俺が魔力結石を操れねぇとは言ってねぇぜ。さて、無手でどこまでやれるか……見せてもらおうじゃねぇかっ!」
真は現実に起きたその事態を必死で分析しようと脳内をフル回転させていた。
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