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仲の悪い同期
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どうしてこんなことになったのか……胸元で奴が、自分の乳首を唇で転がしている。経験によるであろうその行為は、とても気持ちいい。吸われて、歯をたてられて、横になっていることで流れた胸を寄せるようにもみしだく。
「………ちっせーな」
「なら、やめれば」
舌で舐めながら、胸の上で笑う。くくっと笑うさまは、苦笑いのようで整った顔が歪む。
「止められるならな。こんなにしといてそれはねーだろ」
お腹にたかぶった硬いものが押し付けられる。
「なあ、お前もオレのこと好きなんだろ…」
「……違う」
「じゃあ気持ちよくなれるなら、誰でもいいのかよ」
「それは……自分のことじゃないの? 」
モテるこの男が彼女をとっかえひっかえしてるのは有名だ。一度だけならしてくれるとか、好きだという子とはしないとか。
「………貧乳なんか抱かねーよ」
ムッとして顔をしかめた奴からは怒りがにじむ。怒らせたと思う。でもそれでいい。体を起こした奴は顔を背けて部屋を出ていった。はだけられた服を整えながらため息がこぼれる。白いレースに覆われたブラからぎりぎり見える場所にキスマークがある。
「あっ」
ブラウスをかき合わせてギリギリのラインにあるそれに、頭を抱えた。なんでこんなとこに、跡つけるの? あいつが抱いたと噂されてる誰だって、こんな跡つけられてたことなかった……。見えない所についていたとしてもわからないけど、これはギリギリ見える。あーあコンシーラーは持ってきてたかな。髪も服もくちゃくちゃだ。とりあえず更衣室に駆け込み直せるだけなおす。
身支度を整えて自分の部署のある階に降り立つと、廊下の先できゃーあと悲鳴があがる。ついそっちに目を向けると、先程まで痴漢行為を働いていた奴が、総務の女子に囲まれていた。なにやらお土産をもらってご満悦だ。
「オレなんかに、わざわざありがとう」
「これすっごく美味しいんですよ! 行列二時間待ちなんですから」
「それじゃありがたく頂くね」
どこをとっても爽やかだ。非のうちどころがなくて、むしろ腹黒くさえ見える。背後から追いついてきた男に自慢げに袋をかざされる。
「おもてになりますね」
「まあな。努力の賜物だろう? 」
「どんな努力よ。八方美人なだけじゃない? 」
「そうじゃないだろ。人間関係を円滑にすることは大事だろ」
「へーそう。あたしはそんなに広く浅くじゃなくていいわ」
「そう? じゃあ濃厚なわけ」
からかう色をもった視線がぶつかる。なんだかあからさまに下ネタ振ってきやがった。
「普通じゃない? 」
「鳴かしてやろうか? 」
こいつさっきの今でこんなことよく言えるな。きっと睨みつけると色気をはらんだ顔をしている。
「そういうの好きな人としかしない」
「好きじゃねぇの」
「まさか」
どこをどうすれば、そういう結果になるのか知りたい。こんな胸が大きければ誰でもいいような奴とそうなりたいだなんて、普通の思考ではたどり着かない。気持ちよくなりたいだけなら、そういうこともあるかもしれないが。性格的に無理だ。
「三橋さん」
呼ばれて振り向くと、林部長がデスクから呼んでいた。そのまま部長のデスクへ向かって、仕事の指示を仰ぐ。手当たり次第に彼女を変える奴よりも、もっと堅実な相手と将来を見据えたようなお付き合いのほうが安心できる。女っていうのはベットでのリスクが大きいし、出産というタイムリミットがあるので男ほどいい加減にはできない。にこやかに部長と雑談に興じているのを、男が睨むように見ていた。
「これやっといて」
「いやです」
差し出した見積もりを突き返しながら見ると、眉間にしわを寄せて苦い顔をしている。
「なんで。三橋早いからすぐやってよ」
「無理です。あたしは但馬の担当から外れたから、自分のアシスタントを使って」
「それじゃ遅えんだよ」
「じゃあもっと早く出すか、締め切りに余裕をもたせてあげたらいいんじゃない? 」
「お前、俺の担当をしてたら知ってるよな? 早く見積もりを出すことで他社を出し抜けるっての」
「じゃあはっきり言います。あたしは林部長のアシスタントで急ぎの仕事を任されているんで、その仕事までこなせません」
「それを俺のアシスタントにさせればいいだろう?」
「無理よ。海外の取り引き先の在庫まで把握してなくちゃいけないのよ。入社一年目の子には無理」
「つめてえな」
「自分のアシスタントくらい使いこなしなさいよ」
これで会話は終わりだとばかりにパソコンに向き直る。こっちの仕事だって急ぎだし。キーボードと資料とをにらめっこしていると、背後から盛大なため息が聞こえた。
「そんなツンツンしてると男なんてできねーぞ」
「あたし寛容で包容力のある大人がいいのよ。仕事とプライベートを分けられないような男イヤなの」
「へえ。林部長みたいな? 」
横からのしかかってきて邪魔だ。薄ら笑いを浮かべているのも癪にさわる。
「そうね。大人で素敵よね」
「ちっ」
自分で聞いておいて不機嫌になるなんてバカとしか言いようがない。とりあえず離れてくれたから良しとしよう。それからは無駄な邪魔の入らない快適な環境で仕事を済ませた。
「………ちっせーな」
「なら、やめれば」
舌で舐めながら、胸の上で笑う。くくっと笑うさまは、苦笑いのようで整った顔が歪む。
「止められるならな。こんなにしといてそれはねーだろ」
お腹にたかぶった硬いものが押し付けられる。
「なあ、お前もオレのこと好きなんだろ…」
「……違う」
「じゃあ気持ちよくなれるなら、誰でもいいのかよ」
「それは……自分のことじゃないの? 」
モテるこの男が彼女をとっかえひっかえしてるのは有名だ。一度だけならしてくれるとか、好きだという子とはしないとか。
「………貧乳なんか抱かねーよ」
ムッとして顔をしかめた奴からは怒りがにじむ。怒らせたと思う。でもそれでいい。体を起こした奴は顔を背けて部屋を出ていった。はだけられた服を整えながらため息がこぼれる。白いレースに覆われたブラからぎりぎり見える場所にキスマークがある。
「あっ」
ブラウスをかき合わせてギリギリのラインにあるそれに、頭を抱えた。なんでこんなとこに、跡つけるの? あいつが抱いたと噂されてる誰だって、こんな跡つけられてたことなかった……。見えない所についていたとしてもわからないけど、これはギリギリ見える。あーあコンシーラーは持ってきてたかな。髪も服もくちゃくちゃだ。とりあえず更衣室に駆け込み直せるだけなおす。
身支度を整えて自分の部署のある階に降り立つと、廊下の先できゃーあと悲鳴があがる。ついそっちに目を向けると、先程まで痴漢行為を働いていた奴が、総務の女子に囲まれていた。なにやらお土産をもらってご満悦だ。
「オレなんかに、わざわざありがとう」
「これすっごく美味しいんですよ! 行列二時間待ちなんですから」
「それじゃありがたく頂くね」
どこをとっても爽やかだ。非のうちどころがなくて、むしろ腹黒くさえ見える。背後から追いついてきた男に自慢げに袋をかざされる。
「おもてになりますね」
「まあな。努力の賜物だろう? 」
「どんな努力よ。八方美人なだけじゃない? 」
「そうじゃないだろ。人間関係を円滑にすることは大事だろ」
「へーそう。あたしはそんなに広く浅くじゃなくていいわ」
「そう? じゃあ濃厚なわけ」
からかう色をもった視線がぶつかる。なんだかあからさまに下ネタ振ってきやがった。
「普通じゃない? 」
「鳴かしてやろうか? 」
こいつさっきの今でこんなことよく言えるな。きっと睨みつけると色気をはらんだ顔をしている。
「そういうの好きな人としかしない」
「好きじゃねぇの」
「まさか」
どこをどうすれば、そういう結果になるのか知りたい。こんな胸が大きければ誰でもいいような奴とそうなりたいだなんて、普通の思考ではたどり着かない。気持ちよくなりたいだけなら、そういうこともあるかもしれないが。性格的に無理だ。
「三橋さん」
呼ばれて振り向くと、林部長がデスクから呼んでいた。そのまま部長のデスクへ向かって、仕事の指示を仰ぐ。手当たり次第に彼女を変える奴よりも、もっと堅実な相手と将来を見据えたようなお付き合いのほうが安心できる。女っていうのはベットでのリスクが大きいし、出産というタイムリミットがあるので男ほどいい加減にはできない。にこやかに部長と雑談に興じているのを、男が睨むように見ていた。
「これやっといて」
「いやです」
差し出した見積もりを突き返しながら見ると、眉間にしわを寄せて苦い顔をしている。
「なんで。三橋早いからすぐやってよ」
「無理です。あたしは但馬の担当から外れたから、自分のアシスタントを使って」
「それじゃ遅えんだよ」
「じゃあもっと早く出すか、締め切りに余裕をもたせてあげたらいいんじゃない? 」
「お前、俺の担当をしてたら知ってるよな? 早く見積もりを出すことで他社を出し抜けるっての」
「じゃあはっきり言います。あたしは林部長のアシスタントで急ぎの仕事を任されているんで、その仕事までこなせません」
「それを俺のアシスタントにさせればいいだろう?」
「無理よ。海外の取り引き先の在庫まで把握してなくちゃいけないのよ。入社一年目の子には無理」
「つめてえな」
「自分のアシスタントくらい使いこなしなさいよ」
これで会話は終わりだとばかりにパソコンに向き直る。こっちの仕事だって急ぎだし。キーボードと資料とをにらめっこしていると、背後から盛大なため息が聞こえた。
「そんなツンツンしてると男なんてできねーぞ」
「あたし寛容で包容力のある大人がいいのよ。仕事とプライベートを分けられないような男イヤなの」
「へえ。林部長みたいな? 」
横からのしかかってきて邪魔だ。薄ら笑いを浮かべているのも癪にさわる。
「そうね。大人で素敵よね」
「ちっ」
自分で聞いておいて不機嫌になるなんてバカとしか言いようがない。とりあえず離れてくれたから良しとしよう。それからは無駄な邪魔の入らない快適な環境で仕事を済ませた。
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