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また会える1
しおりを挟む見るものが、住む世界が違いすぎるんじゃない?
アタシは高遠さんのすぐそばで棒立ちになったまま、口を開くことさえ難しいことのように固まってしまった。
ふうっとひとつ高遠さんが大きく息をついた。
「……見ててくれた?」
「……うん」
「CMの仕事は初めてだったけど、この会社の、このお茶のCMで良かったと思ってる」
「どうして」
座ったままの高遠さんは、俯き加減なアタシの顔を見上げるようにしている。
「また会えたから」
くしゃっとした笑顔だった。恥ずかしいとか、照れだとかいろんな感情がちょっとづつ混ざり合ったような、そんな笑顔だった。
「見ていて貰えたから、頑張れた気がする」
「アタシも高遠さんが頑張っているのを見て、元気をもらったよ」
やっとアタシは高遠さんを見て言えた。
「一緒だね?」
「うん」
ぎこちなく口角があがる。女優さんみたいに上手く笑えなかったけど、きっと伝わった。
「裕也、もうおいとましましょう」
高遠さんをマネージャーが呼んでいる。立ち上がった高遠さんが、ちょっとだけ顔をしかめて口を真一文字に結んだ。
「この仕事をしてると、作品が変わるたびにスタッフも出演者も変わるんだ。だから仲良くなっても、すぐ変わると寂しい。
でもずっと仕事をしてたら、また会えると思うんだ」
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