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「アレン様、大丈夫ですか?」
登校してから顔を合わせた瞬間に挨拶よりも先にエイリークにそう話しかけられた。
「うん?大丈夫だよ。」
「でも……。」
たとえそう言葉を返したとしても誤魔化しきれるものでもないのだろう。
毎日出かけては夜遅くまで勉強しているから、最近のアレンシカの目には隈まで出来てしまっている。
もちろん公爵家の人間として体調不良などと思われないようにしっかりと教育を受けている為、出かける前にはしっかりと隠したし不調を悟られないような歩き方も学んでいる。
だけども少し会っただけでエイリークには分かってしまったようだった。
「なんか、なんて言ったらいいのか…不調に見えるので……。」
「大丈夫だよエイリ。それに今日は大切なテストだもの。休む訳にはいかないよ。」
「……どうしても不調なら再テストを受けられますよね?」
「平気だよ。しっかり勉強したし、……休んでこの知識を失いたくないんだ。」
「アレン様……。」
できる限りの気丈さでいてみたが、どうしてもエイリークは心配なようだ。
もしかしたら昨年までだったら休んで再テストを受けるという選択肢もあっただろう。しかし今年のアレンシカにはその選択はできないと思った。
「あ……。」
テストの日だから、皆早めに登校して勉強している。もうほとんどが席に着いている中で、その空間を打ち破るように堂々と入室する人物がひとり。
「わあ、さすが王子様。これがウワサの重役出勤ってやつですかー。」
いつのまにかアレンシカの横にいたプリムがわざとらしく呟いた。
テストの日だというのに飄々とした様子のウィンノルは声が聞こえたのだろう、アレンシカ達のほうを一瞥するといつも自分が好んでいる席に座った。
その様子はとても余裕そうに見える。
アレンシカにとって、ウィンノルと同じクラスの今年は絶対に休めないと思っていた。すぐに目につく距離に王子がいるのだ。少しの不調くらいで醜態を晒す訳にはいかなかった。
「プリムの調子はどう?」
ウィンノルを視界から外してアレンシカはそう尋ねる。
「うーん、バツは多いと思いますよ?でも今回はなんとなく少しだけは上がりそうな気がします。」
「少しずつでも上がってくれたら嬉しいな。一緒に頑張ったからね。」
休み時間には皆で一緒に勉強をしたから、ともに成績が上がっていたら本当に嬉しい。勉強は嫌だ苦手だと言いながらもアレンシカの隣りでは一生懸命に学んでいたプリム。アレンシカやエイリークが教えると中々手が進まないながらも本当に根気よく頑張っていた。
公爵家の人間としてだけではなく、王子の婚約者としてだけでもなく、友達に恥じない為にもけして成績を落とすようなことはあってはならない。
たとえ毎日出かけていても足りない時間分を補う為に毎夜毎朝その分の時間は取った。休み時間だってプリムとエイリークと一緒に勉強したのだ。
自分のミスはカバーしなければならなかった。時間が足りなくても、不調でも、それは自分のミスで、悪いのは自分だとアレンシカは思うのだ。
ーーそして。
登校してから顔を合わせた瞬間に挨拶よりも先にエイリークにそう話しかけられた。
「うん?大丈夫だよ。」
「でも……。」
たとえそう言葉を返したとしても誤魔化しきれるものでもないのだろう。
毎日出かけては夜遅くまで勉強しているから、最近のアレンシカの目には隈まで出来てしまっている。
もちろん公爵家の人間として体調不良などと思われないようにしっかりと教育を受けている為、出かける前にはしっかりと隠したし不調を悟られないような歩き方も学んでいる。
だけども少し会っただけでエイリークには分かってしまったようだった。
「なんか、なんて言ったらいいのか…不調に見えるので……。」
「大丈夫だよエイリ。それに今日は大切なテストだもの。休む訳にはいかないよ。」
「……どうしても不調なら再テストを受けられますよね?」
「平気だよ。しっかり勉強したし、……休んでこの知識を失いたくないんだ。」
「アレン様……。」
できる限りの気丈さでいてみたが、どうしてもエイリークは心配なようだ。
もしかしたら昨年までだったら休んで再テストを受けるという選択肢もあっただろう。しかし今年のアレンシカにはその選択はできないと思った。
「あ……。」
テストの日だから、皆早めに登校して勉強している。もうほとんどが席に着いている中で、その空間を打ち破るように堂々と入室する人物がひとり。
「わあ、さすが王子様。これがウワサの重役出勤ってやつですかー。」
いつのまにかアレンシカの横にいたプリムがわざとらしく呟いた。
テストの日だというのに飄々とした様子のウィンノルは声が聞こえたのだろう、アレンシカ達のほうを一瞥するといつも自分が好んでいる席に座った。
その様子はとても余裕そうに見える。
アレンシカにとって、ウィンノルと同じクラスの今年は絶対に休めないと思っていた。すぐに目につく距離に王子がいるのだ。少しの不調くらいで醜態を晒す訳にはいかなかった。
「プリムの調子はどう?」
ウィンノルを視界から外してアレンシカはそう尋ねる。
「うーん、バツは多いと思いますよ?でも今回はなんとなく少しだけは上がりそうな気がします。」
「少しずつでも上がってくれたら嬉しいな。一緒に頑張ったからね。」
休み時間には皆で一緒に勉強をしたから、ともに成績が上がっていたら本当に嬉しい。勉強は嫌だ苦手だと言いながらもアレンシカの隣りでは一生懸命に学んでいたプリム。アレンシカやエイリークが教えると中々手が進まないながらも本当に根気よく頑張っていた。
公爵家の人間としてだけではなく、王子の婚約者としてだけでもなく、友達に恥じない為にもけして成績を落とすようなことはあってはならない。
たとえ毎日出かけていても足りない時間分を補う為に毎夜毎朝その分の時間は取った。休み時間だってプリムとエイリークと一緒に勉強したのだ。
自分のミスはカバーしなければならなかった。時間が足りなくても、不調でも、それは自分のミスで、悪いのは自分だとアレンシカは思うのだ。
ーーそして。
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