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付き添い
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親愛なるアレンシカ様。
お元気ですか?日ごとに暑さが増しているので、僕はアレン様が倒れてしまわれていないかととても心配です。
こちらは王都よりは涼しいですが、それでもあまりの暑さに毎日アレン様の幻覚を見てしまうほどです。
今日はコーンを収穫したんですよ。とても大きくて甘い粒がゴロゴロに実って自慢のコーンです。
何日かしたら着くと思います。楽しみにしていてください。
いつかこのコーンの畑をアレンシカ様にも見せたいです。
ではまた。次の手紙で。
朝起きると窓辺に一羽の大きな鳩が止まっている。
足首に括り付けられた手紙を開くと、葉っぱが書いてある少し小さな紙にエイリークの文字が刻まれていた。
夏休みに入って、村へ里帰りしたエイリークとはこうして手紙をやり取りしている。夏野菜の収穫を手伝わないといけないとべそべそ泣きながらも里帰りをして行った為に、夏休みの間はエイリークとは会えない。
アレンシカはといえば、夏の間の課題をしたり、萎れていないか心配になって学園の花壇を見に行ったりしながら過ごしていた。
特に課題には力を入れている。
婚約者を大きく失望させ、恥をかかせてしまった今、夏休み明けのテストは次こそは力を入れなければいけない。
いくら自分の立場を将来的にエイリークに譲るとはいえ、婚約破棄をするのは殿下であり、また出来る者は殿下と王族の方達だけである。
こちら側から破棄をする等とんでもなく無礼なことだ。
天啓で見たその時まで、いかに恥をかかさず失礼のないように過ごしてエイリークに譲るか。
そして殿下と結ばれるエイリークの為にも、素晴らしい友達である為にアレンシカは勉強をする必要があった。
しかし今日に限っては勉強もお休みだ。
執事が用意をしてくれた服を身にまとい、鏡に向かって最終チェックをする。青いボタンがキラキラと光っている。
今日は大切なパーティーだ。
行けなくなった父親の代わりを努めなければならない。リリーベルの名をけして汚さないように。
誰もそばにいないのだから、しっかりとしなければ。
迎えに来た執事に返事をすると、もう一度だけ鏡を見てから部屋を出ていった。
「では、終わり頃にお迎えに参ります。……しかし。」
「大丈夫だよ。一人でも、お迎えありがとう。」
「いえ……。」
扉の向こうでは賑やかな声が聞こえる。たくさんの人がいる。
心配している様子の執事に、しっかりと笑顔を返す。
アレンシカはこれから一人で入る。
もちろんエスコートを伴わない貴族もいて一人で来る者も大勢いる。
しかしそれは婚約者がまだいない場合だ。
婚約者がいて、しかも相手が王族ともなると連れ立って来ない方が不思議に思われることは必須だ。きっと好奇の目に晒されるだろう。
ましてや最初は殿下も参加することは確定していて、ほぼ周知の事実だった。それを見越した参加者も当然いるはずだ。
それなのにアレンシカのみの参加。好奇の目は必然だろう。
けけど将来は衆人環視の中、婚約破棄をされることが確定しているのだ。
これくらいの好奇の目、上手く躱せないでどうするのか。
「アレンシカ様……。」
「大丈夫。僕はリリーベルの子だよ。堂々としてくるよ。」
「はい……。」
「じゃあまた後でね。」
執事に背を向けて、入り口に向かって一歩を踏み出したその時。
バキバキバキバキ。ガサ。
「えっ!!」
「あーれー?アレンシカ様じゃないでーすかー。」
「プリム!」
そばの茂みから枝を折りながらプリムが飛び出して来て足を止めた。
まさかそんなところから人が出てくるなんて思わず、相当驚いてしまう。
プリムはその場から立ち上がると、せっかくの綺麗な服についた枝葉をはたきながらアレンシカのそばに来た。
アレンシカは目の前に立ったプリムのまだ頭についていた葉っぱを落とすと乱れた髪をサササと手櫛で整えてみる。
「えへへへへー。」
「なんてところから出てきたのプリム。」
「お兄様に付き添いで来てあげたんですけどー、うるさいから撒いてきました。一人で来れないなんてもう大人なのに情けないですよねー。」
「そうなんだ。」
きっと後学の為にプリムの兄はプリムを連れて来たのだろうが、プリムにはそのことは分からないようだ。
髪を整えている間プリムはご機嫌だったが、アレンシカの横に立つ執事にふと気づいて少し訝しげな顔で見る。
「アレンシカ様の……誰です?」
「ああ、この人は執事のディオール。長年勤めてくれている優秀な執事なんだよ。ディオール、こちらはプリム・ミラー子爵令息。僕の大切な友人で今後うちに来ることもあると思うから覚えておいてね。」
「初めましてプリム様。リリーベル公爵家の執事のディオールと申します。」
ディオールが恭しく礼をすると、プリムが目をまんまるにした。
「えー!この人執事なんです?うちの執事と全然違いますー!すごいしっかりしてそー!。執事っぽーい!」
「お褒め頂き恐縮です。」
「本当に執事だからね。」
「わあ、これが執事ですかー!」
プリムはわあわあ言って目をキラキラさせながらディオールの周りをぐるぐるした。
「はー。本物の執事ってこんな人なんですねー。えー!将来弟子入りしてもいいですかー?」
「光栄です。」
「弟子入り……?」
「やったー!」
なんだか変な約束が締結された。アレンシカだけが分からない話になりそうだったが、プリムが何かに気づいたような声を上げて引き戻される。
「そういえば、アレンシカ様一人ですか?ディオールさん、たぶん入らないですよね?」
「あ……。」
プリムの指摘に殿下からエスコートを断られたことを思い出してしまって落ち込む。元々約束も無かったとはいえ、事前に断られた事実が悲しい。
これから一人で会場入りする為に入れた気合いがしおしおと萎む。
暗い気持ちがやって来るが、そんな気持ちを見越したのかプリムはバッサリと言った。
「んー、別にいいんですよー。連れてこなくて。あの人いらないです。」
「え、プリム……?」
一瞬良くない言葉が聞こえたようだが、プリムにぎゅっと手を握られたことに気を取られて耳から通り抜けて行った。
「じゃあじゃあ、私が付き添いですねー。今日は私が付き添いですー。」
「でもプリムはお兄様と一緒に……。」
「お兄様大人ですもん。なんにも出来なくて困っちゃう。でもアレンシカ様はお友達なので、私と一緒です。えへへ。」
「でも……。」
「えへ。」
プリムはアレンシカの腕をぎゅうぎゅう組むとアレンシカを楽しそうに伴って歩き出した。
「んじゃー、ディオールさんまたね。行こーアレンシカ様ー。」
「はい。アレンシカ様をよろしくお願いします。」
「将来の弟子に任せてー。」
「あ、ちょっと、プリム……!」
お元気ですか?日ごとに暑さが増しているので、僕はアレン様が倒れてしまわれていないかととても心配です。
こちらは王都よりは涼しいですが、それでもあまりの暑さに毎日アレン様の幻覚を見てしまうほどです。
今日はコーンを収穫したんですよ。とても大きくて甘い粒がゴロゴロに実って自慢のコーンです。
何日かしたら着くと思います。楽しみにしていてください。
いつかこのコーンの畑をアレンシカ様にも見せたいです。
ではまた。次の手紙で。
朝起きると窓辺に一羽の大きな鳩が止まっている。
足首に括り付けられた手紙を開くと、葉っぱが書いてある少し小さな紙にエイリークの文字が刻まれていた。
夏休みに入って、村へ里帰りしたエイリークとはこうして手紙をやり取りしている。夏野菜の収穫を手伝わないといけないとべそべそ泣きながらも里帰りをして行った為に、夏休みの間はエイリークとは会えない。
アレンシカはといえば、夏の間の課題をしたり、萎れていないか心配になって学園の花壇を見に行ったりしながら過ごしていた。
特に課題には力を入れている。
婚約者を大きく失望させ、恥をかかせてしまった今、夏休み明けのテストは次こそは力を入れなければいけない。
いくら自分の立場を将来的にエイリークに譲るとはいえ、婚約破棄をするのは殿下であり、また出来る者は殿下と王族の方達だけである。
こちら側から破棄をする等とんでもなく無礼なことだ。
天啓で見たその時まで、いかに恥をかかさず失礼のないように過ごしてエイリークに譲るか。
そして殿下と結ばれるエイリークの為にも、素晴らしい友達である為にアレンシカは勉強をする必要があった。
しかし今日に限っては勉強もお休みだ。
執事が用意をしてくれた服を身にまとい、鏡に向かって最終チェックをする。青いボタンがキラキラと光っている。
今日は大切なパーティーだ。
行けなくなった父親の代わりを努めなければならない。リリーベルの名をけして汚さないように。
誰もそばにいないのだから、しっかりとしなければ。
迎えに来た執事に返事をすると、もう一度だけ鏡を見てから部屋を出ていった。
「では、終わり頃にお迎えに参ります。……しかし。」
「大丈夫だよ。一人でも、お迎えありがとう。」
「いえ……。」
扉の向こうでは賑やかな声が聞こえる。たくさんの人がいる。
心配している様子の執事に、しっかりと笑顔を返す。
アレンシカはこれから一人で入る。
もちろんエスコートを伴わない貴族もいて一人で来る者も大勢いる。
しかしそれは婚約者がまだいない場合だ。
婚約者がいて、しかも相手が王族ともなると連れ立って来ない方が不思議に思われることは必須だ。きっと好奇の目に晒されるだろう。
ましてや最初は殿下も参加することは確定していて、ほぼ周知の事実だった。それを見越した参加者も当然いるはずだ。
それなのにアレンシカのみの参加。好奇の目は必然だろう。
けけど将来は衆人環視の中、婚約破棄をされることが確定しているのだ。
これくらいの好奇の目、上手く躱せないでどうするのか。
「アレンシカ様……。」
「大丈夫。僕はリリーベルの子だよ。堂々としてくるよ。」
「はい……。」
「じゃあまた後でね。」
執事に背を向けて、入り口に向かって一歩を踏み出したその時。
バキバキバキバキ。ガサ。
「えっ!!」
「あーれー?アレンシカ様じゃないでーすかー。」
「プリム!」
そばの茂みから枝を折りながらプリムが飛び出して来て足を止めた。
まさかそんなところから人が出てくるなんて思わず、相当驚いてしまう。
プリムはその場から立ち上がると、せっかくの綺麗な服についた枝葉をはたきながらアレンシカのそばに来た。
アレンシカは目の前に立ったプリムのまだ頭についていた葉っぱを落とすと乱れた髪をサササと手櫛で整えてみる。
「えへへへへー。」
「なんてところから出てきたのプリム。」
「お兄様に付き添いで来てあげたんですけどー、うるさいから撒いてきました。一人で来れないなんてもう大人なのに情けないですよねー。」
「そうなんだ。」
きっと後学の為にプリムの兄はプリムを連れて来たのだろうが、プリムにはそのことは分からないようだ。
髪を整えている間プリムはご機嫌だったが、アレンシカの横に立つ執事にふと気づいて少し訝しげな顔で見る。
「アレンシカ様の……誰です?」
「ああ、この人は執事のディオール。長年勤めてくれている優秀な執事なんだよ。ディオール、こちらはプリム・ミラー子爵令息。僕の大切な友人で今後うちに来ることもあると思うから覚えておいてね。」
「初めましてプリム様。リリーベル公爵家の執事のディオールと申します。」
ディオールが恭しく礼をすると、プリムが目をまんまるにした。
「えー!この人執事なんです?うちの執事と全然違いますー!すごいしっかりしてそー!。執事っぽーい!」
「お褒め頂き恐縮です。」
「本当に執事だからね。」
「わあ、これが執事ですかー!」
プリムはわあわあ言って目をキラキラさせながらディオールの周りをぐるぐるした。
「はー。本物の執事ってこんな人なんですねー。えー!将来弟子入りしてもいいですかー?」
「光栄です。」
「弟子入り……?」
「やったー!」
なんだか変な約束が締結された。アレンシカだけが分からない話になりそうだったが、プリムが何かに気づいたような声を上げて引き戻される。
「そういえば、アレンシカ様一人ですか?ディオールさん、たぶん入らないですよね?」
「あ……。」
プリムの指摘に殿下からエスコートを断られたことを思い出してしまって落ち込む。元々約束も無かったとはいえ、事前に断られた事実が悲しい。
これから一人で会場入りする為に入れた気合いがしおしおと萎む。
暗い気持ちがやって来るが、そんな気持ちを見越したのかプリムはバッサリと言った。
「んー、別にいいんですよー。連れてこなくて。あの人いらないです。」
「え、プリム……?」
一瞬良くない言葉が聞こえたようだが、プリムにぎゅっと手を握られたことに気を取られて耳から通り抜けて行った。
「じゃあじゃあ、私が付き添いですねー。今日は私が付き添いですー。」
「でもプリムはお兄様と一緒に……。」
「お兄様大人ですもん。なんにも出来なくて困っちゃう。でもアレンシカ様はお友達なので、私と一緒です。えへへ。」
「でも……。」
「えへ。」
プリムはアレンシカの腕をぎゅうぎゅう組むとアレンシカを楽しそうに伴って歩き出した。
「んじゃー、ディオールさんまたね。行こーアレンシカ様ー。」
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「将来の弟子に任せてー。」
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