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新曲公開日のできごと。

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新曲公開まで…


「あと1時間……」

「もう諦めろって。明日見たらいいじゃん!」

「ダメ~今みるの!!じぇったいに!」

只今の時刻、23:00。
最近、俺らが推してるアイドルの新曲MVの公開があと1時間後に迫っている中、耐え難い悪魔と戦っている彼女を横目に晩酌中。

「もう呂律回ってないじゃん、寝なって!」

「うるさい酔っ払い!そーやって自分だけ見ようとすんのずるいんだぁ!私は見るのだ、必ずこの目で!!!」

「酔っ払ってないわ!…ったく。」

急に中二チックなことを言いながら目を見開こうとする彼女。しかし、彼女の体は限界を迎えているのであろう。全くもって開いていない。

「ね~酔っ払い~?」

「だから、酔っ払ってねぇーつの。んでなに?」

「…………」

「…ん?おーい、おーい、ついに寝たのか?」

「えなじーどりんく買ってきて。」

「随分唐突だな。しかもこんな時間に。」

「もう限界。上まぶたと下まぶたが夜限定のマブダチになりそう。」

「夜限定笑。昼間はマブダチじゃないのか?笑」

「…昼間は一瞬しか会えないから他人。」

「そこまで冷たくなるんだ笑、ドライ~」

「うん。だからドライ会い(ドライアイ)っていうの。」

「ドライアイ笑笑笑」

全くもって中身のない会話をしながら時間を確認すると23:57。MV公開まであと3分。

「あと3分でMV出るぞ~」

「ん~」

最初はあまりにも眠たそうで可哀想だったから寝ろと言っていたのに時間が迫ると自分も気になるからか興奮してきて、彼女を起こそうとする。

「あと2分~」

「……んぅ…」

残りの時間をカウントしながらテーブルの上を片付ける。
そして、時刻は0時になりMVが公開された。

「おーい、MV出たぞ~
…やぁ、やっぱ推しは可愛いな~」

彼女の肩を揺すり起こそうとするも深く眠ってしまってるのか一向に起きる気配がない。
MVを最後まで見終え、横で眠っている彼女に目を落とす。

「あと少しだったのに一緒に見れなくて残念だったな。」

きっと明日機嫌悪いだろうなぁ、なんて考えながら力つきた彼女を布団まで運んでやる。


「また明日一緒に見ような、おやすみ。」

そう一言伝え部屋の明かりを消した。

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