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「な、なぜでしょう…?」「婚活よ」
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時は流れ、エリザベスが王城に来てから、5年がたった。大臣として雇用した西の森で出会った7人の有識者と魔法の鏡を頼りながらエリザベスは日々公務をこなしていた。
「鏡よ鏡よ鏡さん。世界で一番美しいのは誰?」
『やあ、おはようベティ!今日もいい朝だね。世界で一番美しい人?それはもちろん、ベティだよ!』
日課のフラグ確認も怠らずに毎朝行っていた。これのせいで、「お妃さまはナルシストだ」という認識が国中に広がってしまっている。まあ、国民も「たしかに、美人だしな」という感じであるが。美人で本当に良かったとエリザベスはつくづく思う。
あと、鏡がだいぶ流暢に話すようになった。時々、冗談も飛ばす。エリザベスは、もはやこの鏡は人間なのでは?と思うほどだ。
あとは、冷遇せずに白雪姫を可愛がる。これだけは徹底していた。むしろ徹底しすぎていた。王さまも年老いてからできた白雪姫が可愛くて仕方がないのか、白雪姫を甘やかしていた。
「おはようでやんす~。ベティのそーゆー自己肯定感ありまくりなところめっちゃ好き~。まじ、テンアゲだわ~!」
「おはよう、白雪姫。ありがとうね…」
大好物のアップルパイを口いっぱいに頬張りながら、白雪姫がエリザベスに屈託のない笑顔を向ける。
自己肯定感は「ある」ではなく、「高い」だと思う。という言葉をエリザベスは飲み込む。徹底的に甘やかされた白雪姫はいささか自由奔放に育ちすぎていた。マナーを担当している大臣がだいぶ口酸っぱく言ってくるが白雪姫は変わらなかった。
しかし、白雪姫もお年頃、どこかに嫁がなくてはいけない。が、いかんせん奔放すぎて嫁の貰い手が無かった。国内の貴族からは自由奔放な姫は手に負えないと目を逸らされ、他国からはこの自由奔放な姫が何かしたとき国際問題になりかねないと断られている。
「ねぇ、白雪姫。あなたもそろそろ結婚を考える年齢じゃない?」
「それな」
「なにか、希望はあるかしら?」
最悪、白雪姫が望めばその殿方との結婚をゴリ押すつもりでエリザベスはいた。
「ん~。きゅんです、な恋はしたいけど、姫だし?無理じゃん?私が思うままに恋愛とかしたら、いややばいでしょって話だよね」
「特に希望はないの?」
「うん、国のためになるようにして。ベティに任せるよ」
この姫、言動はあれだが、しっかり自分の立場は弁えているのだ。根はいい子なんだけどなあとエリザベスは思う。
白雪姫と別れた後、公務に取り組みつつエリザベスは白雪姫の結婚について考える。
童話であれば、王子さまが眠る様に横たわっている白雪姫に一目惚れして、白雪姫を自分の国へ連れていき、いつまでも幸せにすごしましたとさ。めでたし、めでたし。で済むのになぁと。
「ん?王子さまが眠る様に横たわっている白雪姫に一目惚れ…?」
はた、とエリザベスがペンを止める。
白雪姫は黙っていたら、とてつもなく美しい娘なのだ。そう、それこそ、将来は世界で一番美しくなる。
「大臣!大臣はいるかしら!?」
「はいはい~!どうしたんだね?別嬪なベティ」
防衛を担当する小さなおじさん、もとい、大臣が駆け足でやってきた。
「あら、ちょうどいいわ。西の国の王子の公務スケジュールはわかるかしら?」
「わかりますとも!明日、我が国との国境である西の森の中にあるゴルフ場でわしら7人の大臣と接待ゴルフ…げふんげふん、会談じゃ」
「…ありがとう。下がっていいわよ」
いろいろ問い詰めたい言葉が聞こえたが、とりあえず今はそれどころではないとスルーする。防衛大臣は、咎められなかったのをこれ幸いと尻尾を巻いたかのように退散する。
エリザベスは時が止まったように、ぴくりとも動かずに思考を巡らせる。すうっと息を吸い、深呼吸を行い、拳をきゅっと握る。
「リョーシ…いるわよね?」
「は、ここに」
エリザベス付きの暗部リョーシが、植木鉢の陰から出てくる。
「…確か暗部に、仮死状態を意図的に作る薬があったわよね…?」
「仮死状態、といっても、効果は数時間ですが…」
「十分よ。それを明日、朝食のアップルパイに混ぜて、白雪姫に食べさせるわ。そうしたら、リョーシ、手間かけて申し訳ないけど、西の森に転がしておいてくれる?」
「な、なぜでしょう…?」
「婚活よ」
「コンカツ…?」
聞いたことがない言葉にリョーシは頭を捻る。
「コンカツ…こんかつ…こん、かつ…魂喝!!魂に喝を入れる…なるほど、修行ですね!」
「え…?…えぇ…。とりあえず、この件は私とリョーシの2人。最少人数で決行するわよ」
エリザベスはリョーシが何を言っているかわからなかったが、婚活の説明が面倒になり適当に相槌をうった。
「鏡よ鏡よ鏡さん。世界で一番美しいのは誰?」
『やあ、おはようベティ!今日もいい朝だね。世界で一番美しい人?それはもちろん、ベティだよ!』
日課のフラグ確認も怠らずに毎朝行っていた。これのせいで、「お妃さまはナルシストだ」という認識が国中に広がってしまっている。まあ、国民も「たしかに、美人だしな」という感じであるが。美人で本当に良かったとエリザベスはつくづく思う。
あと、鏡がだいぶ流暢に話すようになった。時々、冗談も飛ばす。エリザベスは、もはやこの鏡は人間なのでは?と思うほどだ。
あとは、冷遇せずに白雪姫を可愛がる。これだけは徹底していた。むしろ徹底しすぎていた。王さまも年老いてからできた白雪姫が可愛くて仕方がないのか、白雪姫を甘やかしていた。
「おはようでやんす~。ベティのそーゆー自己肯定感ありまくりなところめっちゃ好き~。まじ、テンアゲだわ~!」
「おはよう、白雪姫。ありがとうね…」
大好物のアップルパイを口いっぱいに頬張りながら、白雪姫がエリザベスに屈託のない笑顔を向ける。
自己肯定感は「ある」ではなく、「高い」だと思う。という言葉をエリザベスは飲み込む。徹底的に甘やかされた白雪姫はいささか自由奔放に育ちすぎていた。マナーを担当している大臣がだいぶ口酸っぱく言ってくるが白雪姫は変わらなかった。
しかし、白雪姫もお年頃、どこかに嫁がなくてはいけない。が、いかんせん奔放すぎて嫁の貰い手が無かった。国内の貴族からは自由奔放な姫は手に負えないと目を逸らされ、他国からはこの自由奔放な姫が何かしたとき国際問題になりかねないと断られている。
「ねぇ、白雪姫。あなたもそろそろ結婚を考える年齢じゃない?」
「それな」
「なにか、希望はあるかしら?」
最悪、白雪姫が望めばその殿方との結婚をゴリ押すつもりでエリザベスはいた。
「ん~。きゅんです、な恋はしたいけど、姫だし?無理じゃん?私が思うままに恋愛とかしたら、いややばいでしょって話だよね」
「特に希望はないの?」
「うん、国のためになるようにして。ベティに任せるよ」
この姫、言動はあれだが、しっかり自分の立場は弁えているのだ。根はいい子なんだけどなあとエリザベスは思う。
白雪姫と別れた後、公務に取り組みつつエリザベスは白雪姫の結婚について考える。
童話であれば、王子さまが眠る様に横たわっている白雪姫に一目惚れして、白雪姫を自分の国へ連れていき、いつまでも幸せにすごしましたとさ。めでたし、めでたし。で済むのになぁと。
「ん?王子さまが眠る様に横たわっている白雪姫に一目惚れ…?」
はた、とエリザベスがペンを止める。
白雪姫は黙っていたら、とてつもなく美しい娘なのだ。そう、それこそ、将来は世界で一番美しくなる。
「大臣!大臣はいるかしら!?」
「はいはい~!どうしたんだね?別嬪なベティ」
防衛を担当する小さなおじさん、もとい、大臣が駆け足でやってきた。
「あら、ちょうどいいわ。西の国の王子の公務スケジュールはわかるかしら?」
「わかりますとも!明日、我が国との国境である西の森の中にあるゴルフ場でわしら7人の大臣と接待ゴルフ…げふんげふん、会談じゃ」
「…ありがとう。下がっていいわよ」
いろいろ問い詰めたい言葉が聞こえたが、とりあえず今はそれどころではないとスルーする。防衛大臣は、咎められなかったのをこれ幸いと尻尾を巻いたかのように退散する。
エリザベスは時が止まったように、ぴくりとも動かずに思考を巡らせる。すうっと息を吸い、深呼吸を行い、拳をきゅっと握る。
「リョーシ…いるわよね?」
「は、ここに」
エリザベス付きの暗部リョーシが、植木鉢の陰から出てくる。
「…確か暗部に、仮死状態を意図的に作る薬があったわよね…?」
「仮死状態、といっても、効果は数時間ですが…」
「十分よ。それを明日、朝食のアップルパイに混ぜて、白雪姫に食べさせるわ。そうしたら、リョーシ、手間かけて申し訳ないけど、西の森に転がしておいてくれる?」
「な、なぜでしょう…?」
「婚活よ」
「コンカツ…?」
聞いたことがない言葉にリョーシは頭を捻る。
「コンカツ…こんかつ…こん、かつ…魂喝!!魂に喝を入れる…なるほど、修行ですね!」
「え…?…えぇ…。とりあえず、この件は私とリョーシの2人。最少人数で決行するわよ」
エリザベスはリョーシが何を言っているかわからなかったが、婚活の説明が面倒になり適当に相槌をうった。
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