人類戦線

さむほーん

文字の大きさ
上 下
196 / 220
人類戦線編

第四十八話 開戦

しおりを挟む
「……もうすぐだね。城崎」

『お前も早く配置に付いておけ。神柱』

僕たちが日本に帰ってきた次の日の深夜二時頃に須斎と弘岡は飛行機で羽田空港に着いた

本来ならこの時間は羽田空港は動いていないはずなんだけど、今この状況下なので周辺の住民に無理を言って動かしてもらったらしい

その後、城崎が画面を見ながら自衛隊の人達を配置

今回は自衛隊の人たちには主に海上をの警備を頼んでいるらしい

あの巨人のサイズを考えると人間サイズの武器はまるで効かないだろうからミサイルか何かを使うんだろうけど、どんな感じになるんだろう?

日本には核は無いはずだけど、下手したら高さが数キロにも及びそうなあの巨体を核無しでどうにかすることはできるんだろうか?

城崎に聞きに行ったけど、機密事項に当たるみたいで教えてくれなかった

そして、僕たち装備使用者や警察官、後は陸上自衛隊の歩兵みたいな人達はおそらく出てくるであろうと予想される【妨害キャラ】の処理やそれによって荒れる治安の維持を任された

妨害キャラなんて本当に出てくるのかどうが分からないけど、僕は言われたことをちゃんとやる、っていうことに集中しよう

そして配置に付いてから一時間ほど経って今に至る

(そろそろかな……?)

ライアンがゲーム開始時刻と宣言した午前五時が近付いていた

相手がゲーム開始と同時に仕掛けてくるのかは分からないけど、城崎はその前提で準備しておけって言ってたな

さて、城崎の予想は当たってるのかな?

『さて皆さん。準備はできましたか?』

じっと待っていると街にあるスピーカーからそんな声が聞こえてきた

「電波ジャックでもされたのかな?」

今声が聞こえてきているのは街のスピーカーのはずだ

つまり、公的機関のものが相手に使われてるわけだけど……

結構マズイよね?それ

僕の不安を他所にライアンの声は続きを話す

『この日の為に準備をしてきた人、突然巻き込まれたような人、そして、この日が来ると知っていながら望んでいなかった人、様々な人が居ると思います』

『ですが、このゲームが終わった頃にはきっと皆さん口を揃えて「楽しかった」と言ってくださるでしょう』

『そんなゲームにしたつもりです。ぜひお楽しみ下さい』

『それではカウントダウンを始めましょう。3』

周りへの警戒を強める

『2』

気持ちも十分整えてある

『1』

ほぼ万全の状態の中、【ゲーム】の開始が宣言される

人類戦線ファイナルゲーム、開始です』

(……やっぱりいきなりは何も起こらないか)

暫く待っているけど特に変化はない

今この瞬間だけでは判断出来ないけど、長期戦になるのかな?

そう思って待っていると、耳につけたインカムから城崎の声が聞こえてきた

『相模湾に巨人のが現れた。こちらで対処するつもりだが、足しか見えないのが気がかりだ。何か巨人の体の他の部分が見えたり巨人以外の脅威を見つけた場合はその都度報告してくれ』

ちなみに僕が付けているインカムシステムは2つある

一つは今回の作戦参加者全員に送られた真っ黒なものだ

基本的には指示などはこちらを使って行うらしい

指示の他にも作戦全体の状況に関する情報を共有したり等にも使うらしい

後はその人が所属している部隊の部隊長や他の隊員との連絡に浮かうこともあるんだって

まあ僕は個人で動かされるから大して関係ないみたいだけど

そしてもう一つ、僕を含む一部の人間には青いインカムが渡されている

これは城崎が直接指示を送るときに使うもので、使用者から城崎に質問することもできる

まあ、基本的にはこの青インカムを使うことは無い予定らしい

これは本当の緊急時に城崎が何処にも許可を求めずに動かせる人材だけに配っているみたいだ

僕みたいに城崎の指示で動いているけど正式には城崎の部下じゃ無いから許可を得る対象がいない人とか、まあ他にも色々居るらしい

これは組織が大きければ大きいほど当てはまりやすいんだろうけど、組織のトップが直接動かせる範囲っていうのは思っているよりもずっと狭い

城崎は官邸という大きな組織のトップに就いているらしいけど城崎が直接指示を出して良い相手はあまり居ないみたいだ

リーダーが暴走する可能性も考えたらそういう制度にしておかないと危険だから、そういう仕組みにする理由も分からなくは無いけど……

「相模湾か……」

僕は巨人が出たという地名を呟いた

(何でそんなところをわざわざ攻撃したんだろう?)

僕には相模湾を狙う理由が分からない

まあ勿論、何となくそう決めた、っていうのかもしれないし、ライアンならそうした可能性は否定できないけど……

流石に理由がそれだけってことは無いと思うんだよね……

「どうなんだろう……?」

僕はやることが無く暇なまま思考を巡らせていた

――――――――――――――――――――――――

「……分かった。他の場所からの情報も合わせて判断する」

俺は作戦本部いまいるばしょに来ていた報告を受けてそう返した

通信機からの報告が一旦止まって、一息つく

「何かあったんですか?」

同じ場所で仕事をしている事務員の一人がそう聞いてきた

「ああ、少し面倒なことになっている」

俺は報告された内容をそのまま伝える

「足はあるがそのが見つからないらしい。だから本体に対する攻撃ができないそうだ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「話が違う!!」  思わず叫んだオレはがくりと膝をついた。頭を抱えて呻く姿に、周囲はドン引きだ。 「確かに! 確かに『魔法』は使える。でもオレが望んだのと全っ然! 違うじゃないか!!」  全力で世界を否定する異世界人に、誰も口を挟めなかった。  異世界転移―――魔法が使え、皇帝や貴族、魔物、獣人もいる中世ヨーロッパ風の世界。簡易説明とカミサマ曰くのチート能力『魔法』『転生先基準の美形』を授かったオレの新たな人生が始まる!  と思ったが、違う! 説明と違う!!! オレが知ってるファンタジーな世界じゃない!?  放り込まれた戦場を絶叫しながら駆け抜けること数十回。  あれ? この話は詐欺じゃないのか? 絶対にオレ、騙されたよな?  これは、間違った意味で想像を超える『ファンタジーな魔法世界』を生き抜く青年の成長物語―――ではなく、苦労しながら足掻く青年の哀れな戦場記録である。 【注意事項】BLっぽい表現が一部ありますが、BLではありません      (ネタバレになるので詳細は伏せます) 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 2019年7月 ※エブリスタ「特集 最強無敵の主人公~どんな逆境もイージーモード!~」掲載 2020年6月 ※ノベルアップ+ 第2回小説大賞「異世界ファンタジー」二次選考通過作品(24作品) 2021年5月 ※ノベルバ 第1回ノベルバノベル登竜門コンテスト、最終選考掲載作品 2021年9月 9/26完結、エブリスタ、ファンタジー4位

異世界でスローライフを満喫

美鈴
ファンタジー
ホットランキング一位本当にありがとうございます! 【※毎日18時更新中】 タイトル通り異世界に行った主人公が異世界でスローライフを満喫…。出来たらいいなというお話です! ※カクヨム様にも投稿しております ※イラストはAIアートイラストを使用

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

引退した元生産職のトッププレイヤーが、また生産を始めるようです

こばやん2号
ファンタジー
とあるVRMMOで生産職最高峰の称号であるグランドマスター【神匠】を手に入れた七五三俊介(なごみしゅんすけ)は、やることはすべてやりつくしたと満足しそのまま引退する。 大学を卒業後、内定をもらっている会社から呼び出しがあり行ってみると「我が社で配信予定のVRMMOを、プレイヤー兼チェック係としてプレイしてくれないか?」と言われた。 生産職のトップまで上り詰めた男が、再び生産職でトップを目指す! 更新頻度は不定期です。 思いついた内容を書き殴っているだけの垂れ流しですのでその点をご理解ご了承いただければ幸いです。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

レディース異世界満喫禄

日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。 その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。 その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!

処理中です...