人類戦線

さむほーん

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人類戦線編

第三十八話 再会

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(う~ん……ループかぁ……)

自分でそう結論付けておきながらも、どこか違和感を感じずには居られない

何がおかしいのだろう?

(……例えば、どこでループしたのかが分からないから……とかかな?)

ブルブルちゃん達と一緒に居たときのループは分かりやすかった

あれは廊下を歩いている間にループしているんだろうなということか予測できた

でも、今回は気付いたらループしていたんだ

だからちょっと違和感を感じるんだけど……

「……もしかして、実はループしてない……とか?」

その可能性に思い当たる

そもそもループしていると思ったのは僕の勝手な予想だ

それが合っているという保証は一切無い

「でも、ループしていないとしたら……」

僕が今いる場所がループしていないことと組み合わせて考える

僕は今どこかを一周して、帰ってきた

(ってことは……)

「丸い?」

そう、円形だ

野球場みたいに円周の内側を歩いてきたのか、もしくはスカイツリーみたいに円形になっているのか……

(こういう時に城崎が居てくれると結構楽なんだけどな……)

城崎に頼めばこの場所の形状もある程度調べてくれると思うんだけど……

(やっぱり一人で行動するって大変だなぁ……)

僕は改めてそう実感する

これからは本拠地以外では出来るだけ複数人で行動するようにしよう

でも、今は一人だからちゃんと自分だけで結論を出さないと

その為に、僕は壁に刀を立て掛けて壁の曲がり方を見る

僕が目で確認する上では、この刀はかなり真っ直ぐに作られている

反りがほぼゼロにも見えるほど真っ直ぐた

だから、この刀を壁に当てて隙間ができれば壁が曲がっているということになる

刀の柄と切先が浮いていたら今いる場所は円形になっている場所の外側ってことになる

逆に刀身の中央部辺りが浮いていたら野球場的な場所の内側に居ることになる

(さてと……ここはどんな場所なのかな?)

刀の状態をしっかり見てみると、柄と切先が壁から少し離れていることが分かった

成程……今はそういう場所に居るのか……

もちろん、ループしている可能性も完全に消え去った訳では無いけど、今はループしておらず、単に円形の場所の周りを歩いていると考えた方が良さそうだ

だとしたら、ちょっとこの壁から離れてみるべきだろうか?

……そうだね。このまま同じ場所をグルグル回っても何の意味もない

そろそろ行動パターンを変えるべきだろう

(例えば……この壁に対して垂直な方向に進む……とか?)

他に思いつくルートが無いから一旦それを試してみよう

そうして歩いていくと、見覚えのある顔に出くわした

「……城崎?」

日本に居るはずの城崎が何故かは分からないけれどここに来ていた

――――――――――――――――――――――――

「……ん?誰か居るな」

俺が一人で走り出してからわずか数十秒、少し遠くの方にに人影が見えた

俺がその人影に気が付いてから僅か数瞬の間にそいつは俺の目の前にやって来た

「お前……神柱か?」

俺はその相手に向かってそう聞いた

「城崎……一人で来たの?ってか、なんでここに居るの?」

神柱が少し驚いたような口調でそう言ってくる

「ああ、気になることが有ったから少し調べていてな……お前は何をしているんだ?」

俺も神柱に聞き返す

「いや、ちょっと気になることが有ったから調べておこうかなって思って……ってそうだ!城崎。ちょっと聞きたいことが有るんだけど良いかな?」

「何だ?」

神柱が何か聞いてきた

「この空間に壁が有るじゃん?これってさ……ちょつと曲がってない?」

曲がっている……か

「正直な所、お前が気付くとは思っていなかったな」

俺はそう返した

「いやいや……何その言い方……城崎が何かしたの?」

「いや、俺は何もしていない。ただお前の装備やお前の本人の能力ではそこまで突き止めることはできないと思っていたからな……正直、少し驚いている」

俺はそう返した

驚いているのは本当だ

俺は『手袋』のお陰で簡単に壁を調べることが出来たからこの壁が実は巨大な柱で有ることも知っていたが、こいつにはそのような都合の良い装備はない

自力で調べたということになるのか

「うん。それで、その壁についてなんだけど……城崎は何か知ってること無い?」

「ああ、これはおそらく柱だ」

柱?と首をひねる神柱に対して俺はこの壁のように見えるほど大きな柱について説明する

「へぇ……それって、本当に傾いてるの?」

神柱がそう聞いてくる

「ああ、それはほぼ間違いない。俺が自分の装備で確認したからな」

俺は確信を持ってそう伝える

「そうなんだ……でも、それが分かったからといって何かに使える訳でも無いだろうし……」

そこまで言って神柱は何かに気付いたように顔を上げる

「あ!そうだ!柱なんだったら、中をくり抜くことって出来たりしないの?」

くり抜く……か

「考えていなかったが、出来るかもしれんな」

だが、それをやる前に俺は先程から気になっていることを神柱に聞いた

「それは後でやるとして、お前は他に誰と居る?俺は弘岡と合流してその後に一人人を連れてきたが」

俺がそう尋ねると、神柱は思い出したようにこう叫ぶ

「そうだ!須斎!須斎を見つけたよ!」

何?

「詳しく聞かせろ」
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