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人類戦線編
第三十話 接敵
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「細かい話をしている時間はありません。構えて下さい」
安全さんにそう伝える
「……何が起こっているのかあんまり分かってないけど、取り敢えずすぐに戦える準備しろ、ってことで良いんだな?」
その言葉に僕ははっきりと頷いた
「そもそも今来ている相手が友好的な人なのか敵対的な人なのかも分からないですからね。一応準備はしておいて下さいって感じです」
その言葉を言ってすぐに僕も戦闘準備を整える
そうして待っていると、遠くの方に人の姿が見えてきた
(この感じだと……少なくとも積極的な敵対関係、って訳では無さそうかな……?)
もし向こうの人が僕たちを攻撃する予定なら一人では来ないはずだ
須斎みたいに姿を隠す装備を持っている可能性も排除できないからまだ何とも言えないんだけど……
「では、安全さんが行ってきてください」
「了解。それと、色々片付いたら僕の正式名称を決めない?そろそろ『安全さん』は嫌なんだけど」
正式名称か……
「まあ、考えておきます」
「その言い方、絶対に何にもしてくれないやつじゃん……」
まあ良いけどさ、と呟きながら安全さんは奥の方へと向かっていった
暫くすると、相手の人を連れて帰ってきた
「こ、こういうのって、連れて帰ってきても、だ、大丈夫なんですか……?」
ブルブルちゃんが不安そうに聞いてくる
「どうなんでしょうね……まあ、少なくともあの人は大丈夫だと思ったんでしょうけど……」
二人でそう話していると、安全さんが手を振ってきた
(ここは僕が一人だけ行った方が良いかな?)
ブルブルちゃんに待っているようにとだけ伝えてから僕は安全さんの所へ向かった
――――――――――――――――――――――――
「あ、来たな~。ほら、あいつがさっき言ってた奴ですよ。ちょっと堅いですけど、話が通じない奴では無いッス」
俺はさっき仲良くなった兄ちゃんに対してそう言った
「お、そうか……あいつか?思ってたよりもヒョロヒョロじゃねぇか。本当に戦闘面での上司なのか?」
兄ちゃんと一緒に居るオッサンがそう言ってくる
「まあ、俺はあいつの戦闘能力がどんなもんか知らないから何とも言えませんけど、多分指揮能力みたいなのが評価されたんじゃないッスかね?」
上司ってのは強ければなれるものでも無いだろう
「お~い、ちょっと急げよ!みんな待ってるんだぞ!」
余りにも歩くのがゆっくりだから俺も痺れを切らしてきた
しばらく時間が経ってから、やっとカタナくんが俺の近くに辿り着いた
「なあ、もうちょっと早く移動できねぇのか?日が暮れちまうと
キン、と鋭い音が聞こえてきた
「……え?」
俺の後ろで、カタナくんの持っている刀ともう一本のナイフがぶつかり合っていた
「……え?何が……」
「安全さん早く地面壊して!脱出するよ!」
カタナくんのその言葉と同時に相手が少し後ろに飛び退く
ここでやっと理解した
(ああ、成程……騙された感じね)
確かに、ここは戦場だ
騙された方が悪いと言えばそうなるのだろう
「クソが!」
俺はその勢いのまま十メートル程離れた場所に居る相手に向かって殴りかかる
(直接当たらなくても、衝撃波さえ飛べば!)
俺の拳は何もない場所に当たった
「はぁ!?」
もう、何がなんだか分からない
「安全さん!今そういうのいいから!とにかく早く地面を壊して脱出を!」
「分かったよ!」
俺は半ばヤケクソ気味に地面を叩き割る
その下には大量の液体が有った
「空洞じゃねえのかよ!」
「水!?マジですか?!」
(けど、俺なら水ん中でも息ができる!)
「カタナくん!捕まってて!」
俺はカタナくんの腕を掴み、水中に引きずり込む
(全開で行くか)
ここまで脚力を引き上げると後から大変なことになるかもしれないけど、今逃げるためだ
仕方ねぇだろ
俺は相手から隠れるためにドルフィンキックで一旦沈み、それから遠くの別の場所を目指して泳いでいく
(カタナくんの息が続けば良いんだが……)
こいつも恐らく重度の特殊武器使用者だ
ある程度長時間息を止めてはいられるだろうが、身体能力強化者の基準で息を止めさせると窒息してしまうかもしれない
(しばらく移動したらすぐに空気を吸わせないとな)
そう思って水中を進む
(顔を出せるような穴が都合よく開いてるわけねぇから、俺が無理矢理開けるしかねぇだろうな)
ゴポ、と言う音がして、カタナくんの口から空気が漏れる
(不味い……このままではこいつが先に力尽きちまう)
もうここで地面に穴を開けるしかねぇな
俺は思いっきり地面を殴った
――――――――――――――――――――――――
水を飲み込んでいるのに呼吸は出来るし、水が目に入っているのに不思議と痛くない
この場所は一体何なんだろう?
(ん?あれは……)
視線の先に何か柱のようなものが有った
いや……これは柱じゃないな
人……なのかな?
(ああ、眠い)
もう少し確かめたいという思いとは裏腹に僕の意識は遠退いていった
――――――――――――――――――――――――
「やはり……異変が起こっていますね」
この様子だと増援を呼ぶ必要が有るかもしれませんね
そう思って基地につなぐと、その先から手が生えてきた
(な?!)
その手が自分の頭に触れて、意識が薄れる
(一体……何が)
私の意識は完全に途絶えた
安全さんにそう伝える
「……何が起こっているのかあんまり分かってないけど、取り敢えずすぐに戦える準備しろ、ってことで良いんだな?」
その言葉に僕ははっきりと頷いた
「そもそも今来ている相手が友好的な人なのか敵対的な人なのかも分からないですからね。一応準備はしておいて下さいって感じです」
その言葉を言ってすぐに僕も戦闘準備を整える
そうして待っていると、遠くの方に人の姿が見えてきた
(この感じだと……少なくとも積極的な敵対関係、って訳では無さそうかな……?)
もし向こうの人が僕たちを攻撃する予定なら一人では来ないはずだ
須斎みたいに姿を隠す装備を持っている可能性も排除できないからまだ何とも言えないんだけど……
「では、安全さんが行ってきてください」
「了解。それと、色々片付いたら僕の正式名称を決めない?そろそろ『安全さん』は嫌なんだけど」
正式名称か……
「まあ、考えておきます」
「その言い方、絶対に何にもしてくれないやつじゃん……」
まあ良いけどさ、と呟きながら安全さんは奥の方へと向かっていった
暫くすると、相手の人を連れて帰ってきた
「こ、こういうのって、連れて帰ってきても、だ、大丈夫なんですか……?」
ブルブルちゃんが不安そうに聞いてくる
「どうなんでしょうね……まあ、少なくともあの人は大丈夫だと思ったんでしょうけど……」
二人でそう話していると、安全さんが手を振ってきた
(ここは僕が一人だけ行った方が良いかな?)
ブルブルちゃんに待っているようにとだけ伝えてから僕は安全さんの所へ向かった
――――――――――――――――――――――――
「あ、来たな~。ほら、あいつがさっき言ってた奴ですよ。ちょっと堅いですけど、話が通じない奴では無いッス」
俺はさっき仲良くなった兄ちゃんに対してそう言った
「お、そうか……あいつか?思ってたよりもヒョロヒョロじゃねぇか。本当に戦闘面での上司なのか?」
兄ちゃんと一緒に居るオッサンがそう言ってくる
「まあ、俺はあいつの戦闘能力がどんなもんか知らないから何とも言えませんけど、多分指揮能力みたいなのが評価されたんじゃないッスかね?」
上司ってのは強ければなれるものでも無いだろう
「お~い、ちょっと急げよ!みんな待ってるんだぞ!」
余りにも歩くのがゆっくりだから俺も痺れを切らしてきた
しばらく時間が経ってから、やっとカタナくんが俺の近くに辿り着いた
「なあ、もうちょっと早く移動できねぇのか?日が暮れちまうと
キン、と鋭い音が聞こえてきた
「……え?」
俺の後ろで、カタナくんの持っている刀ともう一本のナイフがぶつかり合っていた
「……え?何が……」
「安全さん早く地面壊して!脱出するよ!」
カタナくんのその言葉と同時に相手が少し後ろに飛び退く
ここでやっと理解した
(ああ、成程……騙された感じね)
確かに、ここは戦場だ
騙された方が悪いと言えばそうなるのだろう
「クソが!」
俺はその勢いのまま十メートル程離れた場所に居る相手に向かって殴りかかる
(直接当たらなくても、衝撃波さえ飛べば!)
俺の拳は何もない場所に当たった
「はぁ!?」
もう、何がなんだか分からない
「安全さん!今そういうのいいから!とにかく早く地面を壊して脱出を!」
「分かったよ!」
俺は半ばヤケクソ気味に地面を叩き割る
その下には大量の液体が有った
「空洞じゃねえのかよ!」
「水!?マジですか?!」
(けど、俺なら水ん中でも息ができる!)
「カタナくん!捕まってて!」
俺はカタナくんの腕を掴み、水中に引きずり込む
(全開で行くか)
ここまで脚力を引き上げると後から大変なことになるかもしれないけど、今逃げるためだ
仕方ねぇだろ
俺は相手から隠れるためにドルフィンキックで一旦沈み、それから遠くの別の場所を目指して泳いでいく
(カタナくんの息が続けば良いんだが……)
こいつも恐らく重度の特殊武器使用者だ
ある程度長時間息を止めてはいられるだろうが、身体能力強化者の基準で息を止めさせると窒息してしまうかもしれない
(しばらく移動したらすぐに空気を吸わせないとな)
そう思って水中を進む
(顔を出せるような穴が都合よく開いてるわけねぇから、俺が無理矢理開けるしかねぇだろうな)
ゴポ、と言う音がして、カタナくんの口から空気が漏れる
(不味い……このままではこいつが先に力尽きちまう)
もうここで地面に穴を開けるしかねぇな
俺は思いっきり地面を殴った
――――――――――――――――――――――――
水を飲み込んでいるのに呼吸は出来るし、水が目に入っているのに不思議と痛くない
この場所は一体何なんだろう?
(ん?あれは……)
視線の先に何か柱のようなものが有った
いや……これは柱じゃないな
人……なのかな?
(ああ、眠い)
もう少し確かめたいという思いとは裏腹に僕の意識は遠退いていった
――――――――――――――――――――――――
「やはり……異変が起こっていますね」
この様子だと増援を呼ぶ必要が有るかもしれませんね
そう思って基地につなぐと、その先から手が生えてきた
(な?!)
その手が自分の頭に触れて、意識が薄れる
(一体……何が)
私の意識は完全に途絶えた
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