人類戦線

さむほーん

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人類戦線編

第二十四話 三位三体

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「どどど……どうも、お願いします……」

「オイオイ、もうちょっとハキハキ喋ってくれよな。聞き取りにくいったらありゃしないぜ」

…………これ、どうしよう

目の前には、ずっとブルブル震えていてまともに言葉も喋れていない人と、妙にフレンドリーで一緒に居るとあらゆる人との距離感がバグりそうな人の二人が居た

(もしかして僕、この二人と一緒に行動するの?)

何てこった……ちゃんと緊密なコミュニケーションが取れるか心配だな

いや、でも少なくとも【完全に話が通じない】タイプの人では無いみたいだからそこは良かった

ずっと『コォ~』みたいなことを言ってる人と同じチームになるよりはまだマシかな?

「まあ、今回は宜しくお願いします……」

一応挨拶はしておこう

「お、キミあの時の人じゃない?ほら、何時間か前に一緒に居てた」

一緒に居てた人か……

僕、今日は殆どずっと一人で行動してたから一緒に居た人なんて限られるけど……

あ!もしかしてあの人かな?

突撃直前くらいに僕と話していた人が一人居たはずだ

その人なのかな?あんまり覚えてないけど

「そうですね。宜しくお願いします」

分からないけど、取り敢えずそう答えておこう

「ところで、俺達って今から何処に向かえば良いのかな?」

「あれ?知らないんですか?八番の場所らしいですよ」

自分の配置くらいはちゃんと知っておいた方が良いと思うけど……

「ああ、そうだった。ゴメンね~覚えてなくて。ちなみに言うと、僕も多分この子も自分の配置とか殆ど知らないと思うから、そのつもりでよろしく」

あ、そうなんだ……

「そうなんですか?」

もう一人の震えてる人にそう聞いてみる

「あ、え、はい」

……そうなのか

もしかして、まともな人はもう使いが切っちゃったのかな?

それとも、ヤバいのを出来るだけ一塊二集めようとしているとか?

でも僕、この人達程ひどくは……あるな

さっきからこの人達が自身の配置を知らないことを馬鹿にしているけど、それに関しては僕も人のことをとやかく言える立場じゃあない

だからもしかしたらヤバイ奴らを集めた結果こんなチームになった、っていうことなのかもね

まあ、どの道この人達と一緒に行動しなくちゃいけないことには変わらない

「じゃあ、本日の作戦の説明書を先に読んでおきましょうか」

そう呼びかけて、僕はバッグから作戦書を取り出した

それを開いてチームメンバーの二人に見せる

「……えっと、何コレ?」

「わたっ、わたし……これ、知りません……」

「あれ?そうなんですか?」

どうやら二人共この作戦書のことを知らないみたいだ

これは全員に渡されてるはずなんだけど……

伝達ミスでも有ったのかな?

「まあ、取り敢えず見ていきますよ。僕達が担当することになっている役割は味方の移動通路の確保です」

「なるほど。じゃあそんなに派手な動きはしない感じか?」

「よ、良かったです……」

二人共そのことを聞いて安心しているみたいだ

「正直、僕はもうちょっと大きく動きたかったんだけどな……」

訂正。二人の内一人は安心しているみたいだ

「あ、いや、でも他にも何か起こったら……とどど、どうしよう……」

再び訂正。やっぱり二人共安心していないみたいだ

「まあ、そんなことは置いておいて次の話に進みますよ。その移動通路の場所はちゃんと覚えてますか……ってそもそも作戦自体知らないんだから覚えてるわけ無いか……」

一つ一つ伝えていかないといけないのは面倒だな……

まあ、気を長くして話していこう

「僕達が担当するのはここ。Lの4番の通路です。とは言っても、直前までの部分は他のチームが担当してますから僕達が守る範囲は限られてますけど」

このL4通路は何か変な仕掛けでも無い限りはそこまで重要な通路でも無さそうだ

向こうも変な人を集めた自覚は有るだろうし、多少の失敗は許してもらえるでしょ

「オーケー、そこだな。じゃあ早速向かっちまおうぜ!」

「え?!え?!もう行くんですか!?」

突然走り出したから気の弱い人もびっくりして大きな声を出す

「いや、でも早めに着いといた方が良いだろ、な?」

「まあ、それはそうですね」

確かに言っていることは間違えていないから同意しておく

「よし、そうと決まりゃあ早速移動だ!」

移動という地味な行動に対して妙に高いテンションでそう叫ぶ

僕達二人は少し圧倒されながらもその後ろに付いて歩いていった

「あ、そこ左に曲がって下さい」

突き当りに着いたタイミングでそう伝える

「お?そうなのか?最短距離で行った方が良いと思ってたが、違うのか?」

最短距離って……

「右が最短距離だと思いますけど……左に行ったら遠回りですよ?」

「いや、最短距離って言ったら……」

そう言ってすぐに力を貯める

あ、これ何やるかちょっと分かったぞ

「あの、言いたいことは分かりましたから一旦その行動を止めて下さ」

「よっ!と」

軽い声とは裏腹に爆風のような衝撃が僕らを襲う

「最短距離ってこれのことだろ?本当にこの道を使って良いのか?」

……どうしよう

「あわっ、あっ、ちょっと……これ、どうすれは……」

「煩いから黙ってて」

「ひゃい!」

本当にどうしよう……?

何か報告とかしないといけないのかな……?

「よし、じゃあ先に進むぞ」

二人がまた状況を飲み込めてい中、二十二番バカは一人先に進んでいった
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