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人類戦線編
第十八話 情報収集
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「さて、これで司令部はすべて潰せたか」
目の前に倒れ伏す三人を見下ろしながらそう言った
それにしても、拍子抜けだったな
まあ、俺が到着した頃には三人とも疲弊していたからだろうが……
「こいつらの隊服から何か情報は得られないものか……」
俺は今死んだばかりの二人の隊服を漁ってみる
出てくるのは階級の情報と、後は家族らしき人物との写真くらい
流石に指揮系統等の重要な情報は紙に書いて残すようなことはしないだろう
まして、それを持ち歩くことはありえないか
だが、緊急時の対応を書いた紙くらいは有るのではないかと思ったが……駄目みたいだな
「これは俺が指揮系統を乗っ取るまでにはかなり時間がかかりそうだな……」
いっその事不要なものと割り切って乗っ取りは諦めるべきか?
まあ、どちらの方針で行くにしても暫くはやることは変わらないが
「まずは全体に向けて情報を出しておくか」
そう思って俺は司令室以外にある、もう一つの高い建物に向かって歩き出した
――――――――――――――――――――――――
「一体何をして待っていればいいのかな……?」
先程の写真について事情を話すために本部に戻ったけど、中々話をする場に通してもらえない
見た感じ、結構混乱しているのかな?
そんな訳だから僕も事情を説明することができず、臨時作戦室の外にある椅子に座ることくらいしか出来ない
「にしても、何でこんなに揉めてるんだろう……?」
もしかして、僕が見つけたやつみたいなオブジェが各地で見つかったとか?
……有り得そうだな
(各地で見つかった……)
やっぱり、僕が前にあのオブジェを見た場所が気になる
絶対にどこかで見たことがあるんだけどな
学校、じゃあない気がする
だとしたら、研究所とか?
う~ん……近い気はするんだけど、何か違う
研究所……そういえば、一回だけ研究所の人達を連れて避難所まで行ったことが有ったな
その時なんだろうか
「あ!これか!」
思わず大声を出してしまい、周りに他の人がいないかどうかを気にしてしまう
良かった……ちょっと変な目では見られたみたいだけど、この場にいる各国から来た護衛の人達はみんな変な人だから僕が少し変な行動を取った位では驚かないみたいだ
まあ、それは僕があの異常者達と同列に見られてるってことだから、それはそれで嫌なんだけど……
それよりも今は例のオブジェについてだ
僕の記憶が正しければ、確か避難所にこんな感じのオブジェがあったはずだ
あの時は『なんだか特徴的なのがあるな』位にしか思っていなかったけど、もしかしたら重要なやつだったのかな?
前に見つけた時にもっとちゃんと調べておけば良かったな……
「お入りください」
少し訛の見られる日本語でそう伝えられる
凄いな
イスラエルに来てから結構日本語で話される機会が多い
前に会った聖地の管理人さんは祖父が日本に居たことが有るから話せたみたいだけど、ここに居る人達は何で話せるんだろう?
もしかして、G7に登録されている国家の公用語は全部話せるように教育されてたり?
……いや、流石にそれは無いか
多分、日本に詳しい人を連れてきたとかでしょ
そんな人外だらけだとは思いたくないな
「どうも、こんにちは。早速で申し訳ありませんが、アレについて知っていることがあればすぐに伝えてください」
知っていること……
「まあ、僕が前にアレを見たときの話で構わないなら……」
そう前置きしてから僕は少しずつ話し始めた
そして僕が全てを話し終えて通訳が伝え終えた後、相手の人はじっくりと考えだしたみたいだ
(この程度の情報で結論を出せるものなのかな……?)
だが、驚くべきことに相手の人はおおよその結論を出してきたのだ
「そこから考えると、例の組織は世界各国に根を張っていたということになますね」
各国に根を張っていたってことは日本にも下部組織みたいなのが有ったのかな?
「そして、このオブジェが何を目的としていたのか、についてなのですが……」
そうそう、それが聞きたかったんだよ
「恐らく何らかの目印、もしくは触媒かと思われます」
「目印?」
何を意図しているのか分からず、思わず聞き返してしまう
「まあ、恐らくですが目印を目的としている場合、自分達の配下であることを示すためにコレを飾るよう指示したのではないかと考えられます」
なるほど……
「じゃあ、触媒っていうのはどういうことなんでしょうか?」
そこについても説明を聞いておこう
通訳さんが偉そうな人の言葉を聞いてすぐに日本語に換えてくれる
「何らかの特殊機具の性能を引き上げる目的で設置されたのではないか、と考えております」
その後は特に話すこともなく、僕はその部屋を去った
――――――――――――――――――――――――
「なんか、ちょっと違和感がある話だったな……」
部屋を出た後、廊下を歩きながらさっきの話について考える
よくよく考えれば一介の護衛である僕にまともな情報を与えるわけ無いよな……
じゃあ、やっぱり偽の情報だったのかな?
う~ん……分からないな
また後で細かく考えるとしようかな
「それよりも今は頭の休憩だ」
短期間に色んな事が起こり過ぎて混乱してるんだよ
多分そんなに時間を開けずに全体に向けて発表があるだろうから、それまでゆっくり休むとしよう
目の前に倒れ伏す三人を見下ろしながらそう言った
それにしても、拍子抜けだったな
まあ、俺が到着した頃には三人とも疲弊していたからだろうが……
「こいつらの隊服から何か情報は得られないものか……」
俺は今死んだばかりの二人の隊服を漁ってみる
出てくるのは階級の情報と、後は家族らしき人物との写真くらい
流石に指揮系統等の重要な情報は紙に書いて残すようなことはしないだろう
まして、それを持ち歩くことはありえないか
だが、緊急時の対応を書いた紙くらいは有るのではないかと思ったが……駄目みたいだな
「これは俺が指揮系統を乗っ取るまでにはかなり時間がかかりそうだな……」
いっその事不要なものと割り切って乗っ取りは諦めるべきか?
まあ、どちらの方針で行くにしても暫くはやることは変わらないが
「まずは全体に向けて情報を出しておくか」
そう思って俺は司令室以外にある、もう一つの高い建物に向かって歩き出した
――――――――――――――――――――――――
「一体何をして待っていればいいのかな……?」
先程の写真について事情を話すために本部に戻ったけど、中々話をする場に通してもらえない
見た感じ、結構混乱しているのかな?
そんな訳だから僕も事情を説明することができず、臨時作戦室の外にある椅子に座ることくらいしか出来ない
「にしても、何でこんなに揉めてるんだろう……?」
もしかして、僕が見つけたやつみたいなオブジェが各地で見つかったとか?
……有り得そうだな
(各地で見つかった……)
やっぱり、僕が前にあのオブジェを見た場所が気になる
絶対にどこかで見たことがあるんだけどな
学校、じゃあない気がする
だとしたら、研究所とか?
う~ん……近い気はするんだけど、何か違う
研究所……そういえば、一回だけ研究所の人達を連れて避難所まで行ったことが有ったな
その時なんだろうか
「あ!これか!」
思わず大声を出してしまい、周りに他の人がいないかどうかを気にしてしまう
良かった……ちょっと変な目では見られたみたいだけど、この場にいる各国から来た護衛の人達はみんな変な人だから僕が少し変な行動を取った位では驚かないみたいだ
まあ、それは僕があの異常者達と同列に見られてるってことだから、それはそれで嫌なんだけど……
それよりも今は例のオブジェについてだ
僕の記憶が正しければ、確か避難所にこんな感じのオブジェがあったはずだ
あの時は『なんだか特徴的なのがあるな』位にしか思っていなかったけど、もしかしたら重要なやつだったのかな?
前に見つけた時にもっとちゃんと調べておけば良かったな……
「お入りください」
少し訛の見られる日本語でそう伝えられる
凄いな
イスラエルに来てから結構日本語で話される機会が多い
前に会った聖地の管理人さんは祖父が日本に居たことが有るから話せたみたいだけど、ここに居る人達は何で話せるんだろう?
もしかして、G7に登録されている国家の公用語は全部話せるように教育されてたり?
……いや、流石にそれは無いか
多分、日本に詳しい人を連れてきたとかでしょ
そんな人外だらけだとは思いたくないな
「どうも、こんにちは。早速で申し訳ありませんが、アレについて知っていることがあればすぐに伝えてください」
知っていること……
「まあ、僕が前にアレを見たときの話で構わないなら……」
そう前置きしてから僕は少しずつ話し始めた
そして僕が全てを話し終えて通訳が伝え終えた後、相手の人はじっくりと考えだしたみたいだ
(この程度の情報で結論を出せるものなのかな……?)
だが、驚くべきことに相手の人はおおよその結論を出してきたのだ
「そこから考えると、例の組織は世界各国に根を張っていたということになますね」
各国に根を張っていたってことは日本にも下部組織みたいなのが有ったのかな?
「そして、このオブジェが何を目的としていたのか、についてなのですが……」
そうそう、それが聞きたかったんだよ
「恐らく何らかの目印、もしくは触媒かと思われます」
「目印?」
何を意図しているのか分からず、思わず聞き返してしまう
「まあ、恐らくですが目印を目的としている場合、自分達の配下であることを示すためにコレを飾るよう指示したのではないかと考えられます」
なるほど……
「じゃあ、触媒っていうのはどういうことなんでしょうか?」
そこについても説明を聞いておこう
通訳さんが偉そうな人の言葉を聞いてすぐに日本語に換えてくれる
「何らかの特殊機具の性能を引き上げる目的で設置されたのではないか、と考えております」
その後は特に話すこともなく、僕はその部屋を去った
――――――――――――――――――――――――
「なんか、ちょっと違和感がある話だったな……」
部屋を出た後、廊下を歩きながらさっきの話について考える
よくよく考えれば一介の護衛である僕にまともな情報を与えるわけ無いよな……
じゃあ、やっぱり偽の情報だったのかな?
う~ん……分からないな
また後で細かく考えるとしようかな
「それよりも今は頭の休憩だ」
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