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怪奇編
第五十三話 仕掛けた罠
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「……やられましたね」
私は、火傷した傷口の応急処置をしながらそう呟いた
しかし、私が現れて一瞬でこちらに攻撃を当ててくるとは……予想よりも技量が高いのかもしれません
「しかし、困りましたね……」
この状態では彼を殺すのに十分な程の行動が出来るかどうか分からなくなってきました
少し予定を変更……いえ、ありえませんね
無許可で聖域に立ち入った時点で彼の早急なる死は決定事項です
しかし……
「……来ていませんか」
スマートフォンの画面を見てそう思う
説得が成功し次第あの方が連絡を送り、私が回収して早急に変える予定なのですが……
こうも連絡が遅いと心配ですね
私も見に行った方が良いのでしょうか……
「いえ、いけませんね。複数のことを同時にやろうとすると全部失敗してしまうだけです」
今は彼の殺害に全力を尽くさないと
あの方の援護はその後にしましょう
「では、急いで探しに行きませんとね……」
私は傷口を冷やした上で血が流れてこないようにし、彼を探しに歩いていった
「……しかし、どう探せば良いものやら……」
先程は突然切られたので一旦引きましたが、次は逃しません
私が直接地獄に送ります
「……ん?これは……」
相手を探して歩き回っている中、私はあるものを見つけた
「校章……でしょうか?」
そこには、この学校の校舎の中央に刻まれているものと同じマークが書かれていた
この学校のシンボルマークなのかもしれませんね……
「妙ですね……」
今現在、協力者の力によってこの近辺には私達と、相手のうち、抵抗力が高く、その拘束に対抗できた人しか居ないはずです
となれば、この校章は相手の持ち物のであり、それが捜索の手掛かりとなる筈ですが……
このように分かりやすい場所に置いているとは……策を練るにしてももう少し考えて欲しいですね……
いや……もしかすると、【自分はここに居る】ということをアピールすることでこちらにプレッシャーをかけることが目的なのかもしれませんね
そうだとしても、こうやってバレた以上は効果が半減未満ですが
「では、このような小手先の技で私を絡め取れると考えていた哀れな相手を始末するとしましょうか」
余りにも雑な小細工を見て落ち着いた頭で、その為に必要なことを考える
そのせいで、自分の首元に刃が迫ってきていることに最後まで気付かなかった
――――――――――――――――――――
「……よし!OK!」
僕は発信機付きの校章バッジをいくつかの場所に置いてきた
少し購買に行ってくすねて来たけど、誰も居なかったしバレないでしょ
「上手く釣れると良いんだけど……」
今回つけた発信機は普通の物とは少し仕組みが違う
普通は発信機って衛星を利用したGPSを使うんだけど、僕が今付けているのは少し違う
これは、直接電波を出して、その反射で場所を特定する、という少し特殊な方法で発信機の位置を割り出している
だから、普通のGPS式の発信機では分からない上下の違いも分かる仕様になっている
だから、相手がこれを運ばなくても持ち上げるだけで反応する
後は、その反応が有ったらその場所に向かって相手を倒して終わりだ
本当は捕まえて情報を吐かせたほうが良いんだろうけど、バーテンダーさんは移動系の装備を使っているみたいだから特別な方法で拘束しないと逃げられるだろうし……
そういう拘束は僕の得意分野では無いからね
別の人に任せて、僕はその辺りは気にせずに攻撃するようにしよう
一度セットしたらやることは少ないので、暫く暇をしていると、発信機の位置に変化があった
「……お、かかった」
誰かが持ち上げたみたいだ
まずは確認だけにでも行ってみよう
それで違えばまた待てば良いだけだし
「……よし、行くか!」
――――――――――――――――――――
暫く歩いて、目的地に辿り着く
「……本当にかかってたんだ」
そこには、僕の置いた校章を持ち上げてなにか思案しているバーテンダーさんが居た
……よし、切っちゃおう
何か上手いこと拘束する手段とかが有るのかもしれないけど、それを探していたら相手に逃げられてしまいそうだ
覚悟を決めて、僕は相手の首を後ろから刀で刺した
……心配だな。傷口を広げておこう
そして、もう治療が不可能なくらいに首元の傷を広げてから、やっと刀を下ろす
流石にこれで死んだでしょ……死んだよね?
怖いから、一旦離れてから『解除』することにしよう
そして、僕は相手から十分に距離を取るために近くの建物の三階にまて上がってから
(解除)
そう念じて、校舎のとある教室の中に身を隠す
……しばらく待っても、校章バッジには大きな動きが無いな
これは……上手く行ったんじゃないか?
勿論、相手が即座に気付いてバッチを放り出して逃げた可能性もある
一応その確認の為に相手を見に行くと……
「結構グロテスクだな……」
首から大量の血を流して相手が倒れている
血管がどうとかは……考えないでおこう
そこまで考えると吐きそうだ
「でも、これなら流石に死んでそうだな」
やっぱり首を狙っておいて正解だったみたいだ
「よし、じゃあ僕の方も終わったし……やることはもう無いかな?」
でも、何か忘れているような……
「……あ、伏原さん」
医務室に放置したままで完全に忘れてた……
私は、火傷した傷口の応急処置をしながらそう呟いた
しかし、私が現れて一瞬でこちらに攻撃を当ててくるとは……予想よりも技量が高いのかもしれません
「しかし、困りましたね……」
この状態では彼を殺すのに十分な程の行動が出来るかどうか分からなくなってきました
少し予定を変更……いえ、ありえませんね
無許可で聖域に立ち入った時点で彼の早急なる死は決定事項です
しかし……
「……来ていませんか」
スマートフォンの画面を見てそう思う
説得が成功し次第あの方が連絡を送り、私が回収して早急に変える予定なのですが……
こうも連絡が遅いと心配ですね
私も見に行った方が良いのでしょうか……
「いえ、いけませんね。複数のことを同時にやろうとすると全部失敗してしまうだけです」
今は彼の殺害に全力を尽くさないと
あの方の援護はその後にしましょう
「では、急いで探しに行きませんとね……」
私は傷口を冷やした上で血が流れてこないようにし、彼を探しに歩いていった
「……しかし、どう探せば良いものやら……」
先程は突然切られたので一旦引きましたが、次は逃しません
私が直接地獄に送ります
「……ん?これは……」
相手を探して歩き回っている中、私はあるものを見つけた
「校章……でしょうか?」
そこには、この学校の校舎の中央に刻まれているものと同じマークが書かれていた
この学校のシンボルマークなのかもしれませんね……
「妙ですね……」
今現在、協力者の力によってこの近辺には私達と、相手のうち、抵抗力が高く、その拘束に対抗できた人しか居ないはずです
となれば、この校章は相手の持ち物のであり、それが捜索の手掛かりとなる筈ですが……
このように分かりやすい場所に置いているとは……策を練るにしてももう少し考えて欲しいですね……
いや……もしかすると、【自分はここに居る】ということをアピールすることでこちらにプレッシャーをかけることが目的なのかもしれませんね
そうだとしても、こうやってバレた以上は効果が半減未満ですが
「では、このような小手先の技で私を絡め取れると考えていた哀れな相手を始末するとしましょうか」
余りにも雑な小細工を見て落ち着いた頭で、その為に必要なことを考える
そのせいで、自分の首元に刃が迫ってきていることに最後まで気付かなかった
――――――――――――――――――――
「……よし!OK!」
僕は発信機付きの校章バッジをいくつかの場所に置いてきた
少し購買に行ってくすねて来たけど、誰も居なかったしバレないでしょ
「上手く釣れると良いんだけど……」
今回つけた発信機は普通の物とは少し仕組みが違う
普通は発信機って衛星を利用したGPSを使うんだけど、僕が今付けているのは少し違う
これは、直接電波を出して、その反射で場所を特定する、という少し特殊な方法で発信機の位置を割り出している
だから、普通のGPS式の発信機では分からない上下の違いも分かる仕様になっている
だから、相手がこれを運ばなくても持ち上げるだけで反応する
後は、その反応が有ったらその場所に向かって相手を倒して終わりだ
本当は捕まえて情報を吐かせたほうが良いんだろうけど、バーテンダーさんは移動系の装備を使っているみたいだから特別な方法で拘束しないと逃げられるだろうし……
そういう拘束は僕の得意分野では無いからね
別の人に任せて、僕はその辺りは気にせずに攻撃するようにしよう
一度セットしたらやることは少ないので、暫く暇をしていると、発信機の位置に変化があった
「……お、かかった」
誰かが持ち上げたみたいだ
まずは確認だけにでも行ってみよう
それで違えばまた待てば良いだけだし
「……よし、行くか!」
――――――――――――――――――――
暫く歩いて、目的地に辿り着く
「……本当にかかってたんだ」
そこには、僕の置いた校章を持ち上げてなにか思案しているバーテンダーさんが居た
……よし、切っちゃおう
何か上手いこと拘束する手段とかが有るのかもしれないけど、それを探していたら相手に逃げられてしまいそうだ
覚悟を決めて、僕は相手の首を後ろから刀で刺した
……心配だな。傷口を広げておこう
そして、もう治療が不可能なくらいに首元の傷を広げてから、やっと刀を下ろす
流石にこれで死んだでしょ……死んだよね?
怖いから、一旦離れてから『解除』することにしよう
そして、僕は相手から十分に距離を取るために近くの建物の三階にまて上がってから
(解除)
そう念じて、校舎のとある教室の中に身を隠す
……しばらく待っても、校章バッジには大きな動きが無いな
これは……上手く行ったんじゃないか?
勿論、相手が即座に気付いてバッチを放り出して逃げた可能性もある
一応その確認の為に相手を見に行くと……
「結構グロテスクだな……」
首から大量の血を流して相手が倒れている
血管がどうとかは……考えないでおこう
そこまで考えると吐きそうだ
「でも、これなら流石に死んでそうだな」
やっぱり首を狙っておいて正解だったみたいだ
「よし、じゃあ僕の方も終わったし……やることはもう無いかな?」
でも、何か忘れているような……
「……あ、伏原さん」
医務室に放置したままで完全に忘れてた……
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