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怪奇編
第十四話 避難
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「はい!上手く避難できましたね」
ひとまず、避難所に皆を連れてくることができた
見た感じ、欠員は出ていない……と思う
そもそも研究所に誰が居るかなんて把握していないから欠員が出たかどうかなんてわからないんだけどね
あれ……?皆、機嫌悪くない?
まあ、普通に研究生活をしていたら急に襲撃されて、その後避難させられたんだからね
そりゃあ機嫌も悪くなるか
「ま、そんなに気を落とすことは無いですって!帰ってから研究すれば良いじゃないですか!」
それを言うと、さらに機嫌が悪くなったみたいだ
あれ……?何でだろう?
気持ちを落ち着けさせようとしたんだけどな……
近くの人に聞いてみよう……
「あの……僕、何か失礼なことを言いました?」
「……本気で言ってるんですか?」
そうだよね……
特に失礼なことは言ってないよね……
何で皆不機嫌になったんだろう?
まあ、人によってタブーになることとかは全然違うしね
これからは気をつけるとしよう
「ところで、鳥井さんはどういう研究をされているのですか?」
「僕……ですか……」
少し言葉に詰まっているみたいだ
「それは……装備が降ってくる前にやっていたことでしょうか?それとも、今現在やっていることでしょうか?」
「出来れば、今やっていることの方をお願いします」
相手は懐から資料を取り出して、それを使って僕に説明を始める
「私が今やっているのはとあるエネルギー理論について、なんですが……」
あ、もしかして、長くなるのかな?
どうしよっかな……この手の人達がちょっと話したくらいで満足するとは思えないし
でも、自分から聞いておいて話を止めさせるのも印象悪いよな……
何か話を中断できる理由みたいなのが有れば良いんだけど……
ん?あれは……
丁度良い
「あの、あれって、何でしょうか?」
地下鉄の駅を改造して作ったという避難所に置いてある個性的なモニュメントを指差した
「あれは……何なんでしょうか?私にも分かりませんね。多分、何かのイベントの記念に置いたんじゃないでしょうか?」
イベント?
「はぁ……どういうものがあったんでしょうかね?」
まあ、中身はどうでも良い
うまく話を逸らせたから成功だ
「じゃあ、到着しましたし、向こうに入っておいて下さい。僕は研究所の方に戻っておきますね」
――――――――――――――――――――
「あ、上手く誘導できた~?」
「あ、うん。大丈夫だったよ」
今話していることから分かるように、本人の希望によって芳枝ちゃんは避難せずに残ることになった
どうやら、施設に生えている作物を一緒に避難させないとダメらしい
ところで、この場所にはどういう危険が有るんだろうか?
何の危険もない場所から人を退かすことは無いだろうから何か有るんだろうけど……
聞きそびれちゃったな
まあ、どうせ何か危険な調査をしたい、とかなんだろうけど
「あ、これは今日、水やりしなけきゃいけないんだっけ?」
「……神やん。そっちは水耕栽培だよ」
あれ?そうなの?
じゃあ水はやっちゃ駄目なのか
「ところで、ここで栽培しているのは、なんの研究の為なの?」
育てられているのは普通のトマトとカイワレ大根に見える
見てみても、いまいち何を目的としているのかが分からない
「ああ、単なる趣味だよ」
「趣味?」
ってことは、目的は無いのか……
「じゃあ、この変な動きをしている奴も?」
そう言って水耕栽培キットの奥の方にある、高速で揺れている一本の菊らしき植物を指差す
「……え?何これ?知らないんだけど」
「……知らない?」
じゃあ、これって……
「何なの?」
もしかして、城崎が調べたいものはこれなのかな?
でも、この為だけに全員避難させたりなんてするのかな……?
何か他に理由が有りそうなんだけどな……
「ちょっとこれ、持っていって良いかな?ちゃんとした設備で見たいから」
「あ、良いと思うよ」
一応城崎かその使者が来るまで待ったほうが良いかとも思ったけど、先にやっても多分大丈夫だろう
「……何か、僕がやらないといけないことって有る?」
暫く考えた後、芳枝ちゃんは僕にケースの整理を頼まれた
どこに何を置けばいいのかは壁に貼ってあるプリントを見れば良いんだってさ
作業をしながら、僕は城崎の思惑について考える
官邸を占拠してから今までの半年ほど、城崎はあまり強引な手段を取らずに堅実に支持を集めてきた
そんな中、理由も知らせずに避難指示なんて出したら今まで築いてきた信頼や集めてきた支持を一気に失う恐れがあることくらい分かっているはず
危険なら危険でそう伝えれば良いのに、それもしないってことは……
機密……裏で何かやってるのかな?
まあ、僕個人は城崎が裏で何をやっていようとも城崎に着いていくつもりだけど、そうじゃない人も居る
その対策と考えれば……有り……なのか?
う~ん……ちょっと腑に落ちないな……
……今から城崎に聞いても良いかな?
確かに今は色々とやることがあるけど……最優先の避難誘導が終わったから、少しくらい休んでも……良いよね?
電話をかけると、すぐに城崎が出た
「ああ。待っていろ。今そちらに向かっているから……おい!何をした!?」
うわっ!急に叫ばないでよ
「何って?」
「研究所に敵の反応が大量に出ている!どういうことだ?!」
ひとまず、避難所に皆を連れてくることができた
見た感じ、欠員は出ていない……と思う
そもそも研究所に誰が居るかなんて把握していないから欠員が出たかどうかなんてわからないんだけどね
あれ……?皆、機嫌悪くない?
まあ、普通に研究生活をしていたら急に襲撃されて、その後避難させられたんだからね
そりゃあ機嫌も悪くなるか
「ま、そんなに気を落とすことは無いですって!帰ってから研究すれば良いじゃないですか!」
それを言うと、さらに機嫌が悪くなったみたいだ
あれ……?何でだろう?
気持ちを落ち着けさせようとしたんだけどな……
近くの人に聞いてみよう……
「あの……僕、何か失礼なことを言いました?」
「……本気で言ってるんですか?」
そうだよね……
特に失礼なことは言ってないよね……
何で皆不機嫌になったんだろう?
まあ、人によってタブーになることとかは全然違うしね
これからは気をつけるとしよう
「ところで、鳥井さんはどういう研究をされているのですか?」
「僕……ですか……」
少し言葉に詰まっているみたいだ
「それは……装備が降ってくる前にやっていたことでしょうか?それとも、今現在やっていることでしょうか?」
「出来れば、今やっていることの方をお願いします」
相手は懐から資料を取り出して、それを使って僕に説明を始める
「私が今やっているのはとあるエネルギー理論について、なんですが……」
あ、もしかして、長くなるのかな?
どうしよっかな……この手の人達がちょっと話したくらいで満足するとは思えないし
でも、自分から聞いておいて話を止めさせるのも印象悪いよな……
何か話を中断できる理由みたいなのが有れば良いんだけど……
ん?あれは……
丁度良い
「あの、あれって、何でしょうか?」
地下鉄の駅を改造して作ったという避難所に置いてある個性的なモニュメントを指差した
「あれは……何なんでしょうか?私にも分かりませんね。多分、何かのイベントの記念に置いたんじゃないでしょうか?」
イベント?
「はぁ……どういうものがあったんでしょうかね?」
まあ、中身はどうでも良い
うまく話を逸らせたから成功だ
「じゃあ、到着しましたし、向こうに入っておいて下さい。僕は研究所の方に戻っておきますね」
――――――――――――――――――――
「あ、上手く誘導できた~?」
「あ、うん。大丈夫だったよ」
今話していることから分かるように、本人の希望によって芳枝ちゃんは避難せずに残ることになった
どうやら、施設に生えている作物を一緒に避難させないとダメらしい
ところで、この場所にはどういう危険が有るんだろうか?
何の危険もない場所から人を退かすことは無いだろうから何か有るんだろうけど……
聞きそびれちゃったな
まあ、どうせ何か危険な調査をしたい、とかなんだろうけど
「あ、これは今日、水やりしなけきゃいけないんだっけ?」
「……神やん。そっちは水耕栽培だよ」
あれ?そうなの?
じゃあ水はやっちゃ駄目なのか
「ところで、ここで栽培しているのは、なんの研究の為なの?」
育てられているのは普通のトマトとカイワレ大根に見える
見てみても、いまいち何を目的としているのかが分からない
「ああ、単なる趣味だよ」
「趣味?」
ってことは、目的は無いのか……
「じゃあ、この変な動きをしている奴も?」
そう言って水耕栽培キットの奥の方にある、高速で揺れている一本の菊らしき植物を指差す
「……え?何これ?知らないんだけど」
「……知らない?」
じゃあ、これって……
「何なの?」
もしかして、城崎が調べたいものはこれなのかな?
でも、この為だけに全員避難させたりなんてするのかな……?
何か他に理由が有りそうなんだけどな……
「ちょっとこれ、持っていって良いかな?ちゃんとした設備で見たいから」
「あ、良いと思うよ」
一応城崎かその使者が来るまで待ったほうが良いかとも思ったけど、先にやっても多分大丈夫だろう
「……何か、僕がやらないといけないことって有る?」
暫く考えた後、芳枝ちゃんは僕にケースの整理を頼まれた
どこに何を置けばいいのかは壁に貼ってあるプリントを見れば良いんだってさ
作業をしながら、僕は城崎の思惑について考える
官邸を占拠してから今までの半年ほど、城崎はあまり強引な手段を取らずに堅実に支持を集めてきた
そんな中、理由も知らせずに避難指示なんて出したら今まで築いてきた信頼や集めてきた支持を一気に失う恐れがあることくらい分かっているはず
危険なら危険でそう伝えれば良いのに、それもしないってことは……
機密……裏で何かやってるのかな?
まあ、僕個人は城崎が裏で何をやっていようとも城崎に着いていくつもりだけど、そうじゃない人も居る
その対策と考えれば……有り……なのか?
う~ん……ちょっと腑に落ちないな……
……今から城崎に聞いても良いかな?
確かに今は色々とやることがあるけど……最優先の避難誘導が終わったから、少しくらい休んでも……良いよね?
電話をかけると、すぐに城崎が出た
「ああ。待っていろ。今そちらに向かっているから……おい!何をした!?」
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