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怪奇編
第十二話 霊
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「教えてくれてありがとね~。この情報はしっかり活用させてもらうから」
「うん。助かったならそれで良いよ。じゃあ、僕は元の配置に戻っていいかな?」
取り敢えず、芳枝ちゃんの機嫌が元に戻ったみたいだから、僕は元の位置に就こう
しばらくはそんな感じで様子を見たいけど、それが終わったら早めにこの場所に帰ってこよう
芳枝ちゃんと一緒に居るのは怖いけど、ここに一番戦力が集まっている筈だ
いくらなんでも、重要な研究施設の防御人員がゼロってことは無いだろう
「僕としてはここで暫く警備を続けたいんだけど」
口に出してみたけど、聞いてくれるかな……?
「あ、してくれるの~?ありがと~」
よし、いけた
「でも、その場合は僕が元々ついていた場所の警備は誰がするの?あそこも守らないといけないんじゃない?」
とは言え、ノーマークの場所が生まれるのは良くない
気になったので聞いてみることにした
「ああ、そもそもそこは守らなくて良い場所だから大丈夫だよ」
じゃあ何で僕を向かわせたの?
その疑問を抱いたが、続く言葉がすぐにそれを解決してくれた
「なんかね~神やんってここじゃあ新顔じゃん?だから、神やんのことをあんまり知らない人とか神やんに不信感を持ってる人とか結構いたわけよ」
不信感……ねぇ
ここに来たときはそんなに不審がられている感じじゃあ無かったんだけど……
どこでそう思われたんだろう?
ま、それはゆっくり考えれば良いか
「じゃあ、僕はこの扉の前で警備しとくね。何かあったら呼んで」
「おっけ~」
よし、これで僕の仕事はもう無い
ゆっくり待てば良いだけだ
「じゃあ、ちょっと掲示板でも見とこうか」
掲示板の情報はバカには出来ない
SNSとは違って完全匿名性だから思ったことを気兼ねなく書くことが出来るので、情報の回りが異次元に早い
まあ、そのせいで情報が不確実になったり煽り合いや誹謗中傷が起こったりするんだけど
今調べたいのはあくまで噂レベルのものだからそれでも構わない
「えっと……人形……大型……動く……怖い話っと」
検索すると面白そうな話が幾つか見つかった
その中から一つ選び、スレッドを閲覧する
中身は少し昔の話のようだ
時間もあるし、ゆっくり読むとしよう
――――――――――――――――――――
「ただいま~」
「あ、所長。帰ってきたんですね」
見ると、もう交信は終わっていたようだね~
休憩に入っているみたいだ
「そうそう。それと、聞きたいんだけどさ……」
タイミングも良いし、今のうちに聞いておこっかな~
「なんですか?」
「君の装備って、どういうものなの?」
相手が黙る
「私の装備……ですか」
話し続けるようだ
「細かいところまでは黙秘したいのですが……大まかには伝えておきましょう」
そう言って、ペンを取った
白紙の紙に図を書き出して、こう言う
「まず、この世界には多分ですが普通ではない生命が居ます」
「普通じゃない?」
どういうことだろう?
「まあ、つまり……殖えもしなければ状態を維持しようともしない。そんな生命の常識から外れた生き物がいるんですよ」
「……装備について話すよりも先に、その変な生き物について詳しく説明してくれると助かるな~」
疑問になったことは先に聞いておこう
「分かりました。じゃあ詳しく説明しますね」
紙を見ると、そこには既に人と吹き出しが書かれていた
「これを見てみるとイメージしやすいと思うんですけど、多かれ少なかれ、この世の中の人は大抵何か超自然的なものを信じています。それは何故だと思いますか?」
何故か……
まさか
「……実際にあるっていうの?まさか、そういう霊的存在が……」
「人の想像力というのは限られています。実際に無いものを想像し、それを信じ込むことは非常に難しい」
まあ、想像するだけならどうにかなることは多いんですがね、と付け加える
「だとしたら……それらは一体どこに居るの?」
すると、研究員、鳥井颯悟は自分の頭を指差した
「僕たちの脳はコンピューターそのものです。ですが、コンピューターはそれだけでは動かないんですよ。命令を下す存在が必要なんです」
「つまり、人間がプログラムを書いてコンピューターに命令するように、人間に命令する存在が居る、と」
「端的に言ってしまうと、そうです」
指令……
それが、霊的存在、なの?
「それ……何か根拠は?」
「無いですよ。ただ、僕はそういった存在と交信する手段を持っているだけです」
交信……
「そこの説明は出来る?装備についての詳しい説明は?」
「そこは……秘密ってことでお願いします」
秘密……ね
「まあ、言いたくないのは分かるけどさ……」
「すみません……どうしても言えないんですよ……」
そっか~……
「ま、取り敢えず良い話が聞けたな~。ありがと~」
「いえいえ、どういたしまして」
疑いは……完全には晴れなかった
ただ、今すぐ対処する必要は無さそうだな~
気が少し楽になったや
「じゃあ私もそろそろ研究に戻ろうかな~?」
「もうですか?まだ攻撃されている最中ですよ?」
ああ、そっか。まだ攻撃は終わってなかったな~
すると、待ちに待ったサイレンが鳴り出した
「大丈夫だよ。うちの警備システムがやっと起動したみたいだから」
「うん。助かったならそれで良いよ。じゃあ、僕は元の配置に戻っていいかな?」
取り敢えず、芳枝ちゃんの機嫌が元に戻ったみたいだから、僕は元の位置に就こう
しばらくはそんな感じで様子を見たいけど、それが終わったら早めにこの場所に帰ってこよう
芳枝ちゃんと一緒に居るのは怖いけど、ここに一番戦力が集まっている筈だ
いくらなんでも、重要な研究施設の防御人員がゼロってことは無いだろう
「僕としてはここで暫く警備を続けたいんだけど」
口に出してみたけど、聞いてくれるかな……?
「あ、してくれるの~?ありがと~」
よし、いけた
「でも、その場合は僕が元々ついていた場所の警備は誰がするの?あそこも守らないといけないんじゃない?」
とは言え、ノーマークの場所が生まれるのは良くない
気になったので聞いてみることにした
「ああ、そもそもそこは守らなくて良い場所だから大丈夫だよ」
じゃあ何で僕を向かわせたの?
その疑問を抱いたが、続く言葉がすぐにそれを解決してくれた
「なんかね~神やんってここじゃあ新顔じゃん?だから、神やんのことをあんまり知らない人とか神やんに不信感を持ってる人とか結構いたわけよ」
不信感……ねぇ
ここに来たときはそんなに不審がられている感じじゃあ無かったんだけど……
どこでそう思われたんだろう?
ま、それはゆっくり考えれば良いか
「じゃあ、僕はこの扉の前で警備しとくね。何かあったら呼んで」
「おっけ~」
よし、これで僕の仕事はもう無い
ゆっくり待てば良いだけだ
「じゃあ、ちょっと掲示板でも見とこうか」
掲示板の情報はバカには出来ない
SNSとは違って完全匿名性だから思ったことを気兼ねなく書くことが出来るので、情報の回りが異次元に早い
まあ、そのせいで情報が不確実になったり煽り合いや誹謗中傷が起こったりするんだけど
今調べたいのはあくまで噂レベルのものだからそれでも構わない
「えっと……人形……大型……動く……怖い話っと」
検索すると面白そうな話が幾つか見つかった
その中から一つ選び、スレッドを閲覧する
中身は少し昔の話のようだ
時間もあるし、ゆっくり読むとしよう
――――――――――――――――――――
「ただいま~」
「あ、所長。帰ってきたんですね」
見ると、もう交信は終わっていたようだね~
休憩に入っているみたいだ
「そうそう。それと、聞きたいんだけどさ……」
タイミングも良いし、今のうちに聞いておこっかな~
「なんですか?」
「君の装備って、どういうものなの?」
相手が黙る
「私の装備……ですか」
話し続けるようだ
「細かいところまでは黙秘したいのですが……大まかには伝えておきましょう」
そう言って、ペンを取った
白紙の紙に図を書き出して、こう言う
「まず、この世界には多分ですが普通ではない生命が居ます」
「普通じゃない?」
どういうことだろう?
「まあ、つまり……殖えもしなければ状態を維持しようともしない。そんな生命の常識から外れた生き物がいるんですよ」
「……装備について話すよりも先に、その変な生き物について詳しく説明してくれると助かるな~」
疑問になったことは先に聞いておこう
「分かりました。じゃあ詳しく説明しますね」
紙を見ると、そこには既に人と吹き出しが書かれていた
「これを見てみるとイメージしやすいと思うんですけど、多かれ少なかれ、この世の中の人は大抵何か超自然的なものを信じています。それは何故だと思いますか?」
何故か……
まさか
「……実際にあるっていうの?まさか、そういう霊的存在が……」
「人の想像力というのは限られています。実際に無いものを想像し、それを信じ込むことは非常に難しい」
まあ、想像するだけならどうにかなることは多いんですがね、と付け加える
「だとしたら……それらは一体どこに居るの?」
すると、研究員、鳥井颯悟は自分の頭を指差した
「僕たちの脳はコンピューターそのものです。ですが、コンピューターはそれだけでは動かないんですよ。命令を下す存在が必要なんです」
「つまり、人間がプログラムを書いてコンピューターに命令するように、人間に命令する存在が居る、と」
「端的に言ってしまうと、そうです」
指令……
それが、霊的存在、なの?
「それ……何か根拠は?」
「無いですよ。ただ、僕はそういった存在と交信する手段を持っているだけです」
交信……
「そこの説明は出来る?装備についての詳しい説明は?」
「そこは……秘密ってことでお願いします」
秘密……ね
「まあ、言いたくないのは分かるけどさ……」
「すみません……どうしても言えないんですよ……」
そっか~……
「ま、取り敢えず良い話が聞けたな~。ありがと~」
「いえいえ、どういたしまして」
疑いは……完全には晴れなかった
ただ、今すぐ対処する必要は無さそうだな~
気が少し楽になったや
「じゃあ私もそろそろ研究に戻ろうかな~?」
「もうですか?まだ攻撃されている最中ですよ?」
ああ、そっか。まだ攻撃は終わってなかったな~
すると、待ちに待ったサイレンが鳴り出した
「大丈夫だよ。うちの警備システムがやっと起動したみたいだから」
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