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怪奇編
第二話 白い
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「なるほど、次はオカルトの調査……」
僕が城崎から聞いた話を弘岡に伝えると、黙り込んでしまった
「何か気になることでもあるの?」
「……逆に神柱は無いの?」
「え?」
思うところ?
……特に思いつかないんだけど
「いや……無いかなぁ……」
あんまりそういうことを疑ったことは無いから
「……流石に城崎のことを信用しすぎ。もしかしたら、そっちは古い付き合いだからこの指示に意味があるって思ってるのかもしれないけど、私からしたら単に意味のわからないことを言われただけ」
一拍置いてから更に続ける
「今回の変な任務だってそう。存在するかどうかも分からない怪異を探せ。しかも、その怪異は前に官邸襲撃の時に死亡者が出るほど強力なものの可能性もある」
「いや、存在するかどうかも分からない、っていうのは違うと思うよ」
城崎が今まで僕たちをある程度危険な任務に就かせるときは、いつも何かしらの確証を持っていた
流石になんの確証もない状態で僕たちを危ない任務に付かせる訳では無いと思う
「……神柱には何か根拠でもあるの?」
そんなものは簡単だ
「さっき言ってた、十年来の付き合いから来る勘だよ」
今の僕から言えることはそれだけだ
これで信じられないなら、城崎に言って同行者を変えてもらうしか無いだろう
僕としては同行者は弘岡の方が良いんだけど……
暫く見つめていると、弘岡が折れた
「……分かった。じゃあ、私もついていく」
良かった
何か思うところがあるみたいだけど、一応付いて来てくれるみたいだ
さっきは他の人と行くという選択肢も考えてたけど、正直、他人と組むのは出来れば避けたい
何せ、ボッチの期間が長いから人との距離感が分からないのだ
他人と話して距離感がおかしくて引かれるのは流石にメンタル的にきつい
その点、弘岡なら元々知り合いだからそういうリスクも低いだろう
「よし、それじゃあ当日に向けて認識のすり合わせとかをしておこう」
当日って言っても明日だけど
まあ、多少であっても事前に方針を決めておくとのそうでないのでは大きく違う
今のうちに決めれる部分は決めておこう
そうだな……例えば
「ねえ、弘岡。そもそも今回、どういう怪異の調査か知ってる?」
「流石にそれは分かる」
弘岡も城崎からちゃんと聞いていたようだ
城崎に一応もう一度話を聞いてから認識のすり合わせに入ろう
――――――――――――――――――――
人払いをしてから、誰もいなくなったことを確認する
……電話、神柱か
今は取れないから切らせてもらおう
「さて……」
いけるか?
あることを試す為に俺は壁に右手、正確には装備の手袋を置いた
すると、おいた場所を中心に壁が変化していった
今度は、壁の一部を液体にしてから左手でに着けている籠手を触れさせる
すると、籠手が触れている部分を中心に、徐々に壁が凍っていった
(ならば、今度はこれも試してみる)
同じように壁の一部を液体にするが、今度は液体の前に薄い壁を作り、空洞のようにする
その空洞に一番近いところに手を当てると、内側の液体が徐々に凍っていくことが分かった
「……なるほど」
これはかなり使える
その後も幾つか確認をした後、改めて神柱からの連絡に答えた
「悪いな。手が空いていなかった。それで、要件は何だ?」
「えっと……一応今回調べに行く怪異の内容について確認しておきたいんだけど……」
「ああ、それか。なら、旧生徒会室に来い。資料にして渡してやる」
情報漏洩の可能性も考えて紙の資料にしておこう
紙のデータというのは電子データよりも遥かに機密性が高いからな
俺は準備をするために棚を漁り始めた
――――――――――――――――――――
「面倒だな……」
わざわざ取りに行かないといけないのか……
まあ、確かに紙の資料で渡したくなる気持ちもわかるけど
「どうするの?」
さっきの電話はスピーカーフォンで行っていたから弘岡も聞いている
その上で僕に意見を求めてきたみたいだけど……
「どう、って……情報を貰いに行く以外に選択肢が有るの?」
そう言って部屋のドアを開けた
ちなみに、図書室に居たまま電話をすると迷惑になるから個室に入って城崎と電話していた
この学校って、図書室に防音機能付きの個室があるんだな……
そのまま歩いて行き、目的地の旧生徒会室がある西館に辿り着いた
ノックをすると、城崎から返事がある
「入れ」
お邪魔しま~す……
旧生徒会室には作業台のような机が有る
その上に紙束が置いてあった
「これが言ってた資料?」
手に取る前に一応聞いておく
「ああ、それで間違いない。帰って詠むのでは無く、ここで読んでいけ。弘岡もだ」
あ、持って帰っちゃ駄目なんだ
弘岡と一緒に最初のページをめくる
『おおいさん』
……聞いたことが無いな
あんまりメジャーな怪談じゃ無いのかな?
「知ってる?」
弘岡に聞いてみるが、首を横に振られた
「城崎は……知ってるか」
「細かいことはそこに書いてあると言ってるだろ。俺に一々聞くな」
あ、はい
城崎が作業を止めずにそう言ってくる
まあ、城崎は今忙しそうだしね
あんまり邪魔するのも良くないだろう
そのまま、僕たちは二人でゆっくりと予定を詰めていった
――――――――――――――――――――
「「白い」」
僕が城崎から聞いた話を弘岡に伝えると、黙り込んでしまった
「何か気になることでもあるの?」
「……逆に神柱は無いの?」
「え?」
思うところ?
……特に思いつかないんだけど
「いや……無いかなぁ……」
あんまりそういうことを疑ったことは無いから
「……流石に城崎のことを信用しすぎ。もしかしたら、そっちは古い付き合いだからこの指示に意味があるって思ってるのかもしれないけど、私からしたら単に意味のわからないことを言われただけ」
一拍置いてから更に続ける
「今回の変な任務だってそう。存在するかどうかも分からない怪異を探せ。しかも、その怪異は前に官邸襲撃の時に死亡者が出るほど強力なものの可能性もある」
「いや、存在するかどうかも分からない、っていうのは違うと思うよ」
城崎が今まで僕たちをある程度危険な任務に就かせるときは、いつも何かしらの確証を持っていた
流石になんの確証もない状態で僕たちを危ない任務に付かせる訳では無いと思う
「……神柱には何か根拠でもあるの?」
そんなものは簡単だ
「さっき言ってた、十年来の付き合いから来る勘だよ」
今の僕から言えることはそれだけだ
これで信じられないなら、城崎に言って同行者を変えてもらうしか無いだろう
僕としては同行者は弘岡の方が良いんだけど……
暫く見つめていると、弘岡が折れた
「……分かった。じゃあ、私もついていく」
良かった
何か思うところがあるみたいだけど、一応付いて来てくれるみたいだ
さっきは他の人と行くという選択肢も考えてたけど、正直、他人と組むのは出来れば避けたい
何せ、ボッチの期間が長いから人との距離感が分からないのだ
他人と話して距離感がおかしくて引かれるのは流石にメンタル的にきつい
その点、弘岡なら元々知り合いだからそういうリスクも低いだろう
「よし、それじゃあ当日に向けて認識のすり合わせとかをしておこう」
当日って言っても明日だけど
まあ、多少であっても事前に方針を決めておくとのそうでないのでは大きく違う
今のうちに決めれる部分は決めておこう
そうだな……例えば
「ねえ、弘岡。そもそも今回、どういう怪異の調査か知ってる?」
「流石にそれは分かる」
弘岡も城崎からちゃんと聞いていたようだ
城崎に一応もう一度話を聞いてから認識のすり合わせに入ろう
――――――――――――――――――――
人払いをしてから、誰もいなくなったことを確認する
……電話、神柱か
今は取れないから切らせてもらおう
「さて……」
いけるか?
あることを試す為に俺は壁に右手、正確には装備の手袋を置いた
すると、おいた場所を中心に壁が変化していった
今度は、壁の一部を液体にしてから左手でに着けている籠手を触れさせる
すると、籠手が触れている部分を中心に、徐々に壁が凍っていった
(ならば、今度はこれも試してみる)
同じように壁の一部を液体にするが、今度は液体の前に薄い壁を作り、空洞のようにする
その空洞に一番近いところに手を当てると、内側の液体が徐々に凍っていくことが分かった
「……なるほど」
これはかなり使える
その後も幾つか確認をした後、改めて神柱からの連絡に答えた
「悪いな。手が空いていなかった。それで、要件は何だ?」
「えっと……一応今回調べに行く怪異の内容について確認しておきたいんだけど……」
「ああ、それか。なら、旧生徒会室に来い。資料にして渡してやる」
情報漏洩の可能性も考えて紙の資料にしておこう
紙のデータというのは電子データよりも遥かに機密性が高いからな
俺は準備をするために棚を漁り始めた
――――――――――――――――――――
「面倒だな……」
わざわざ取りに行かないといけないのか……
まあ、確かに紙の資料で渡したくなる気持ちもわかるけど
「どうするの?」
さっきの電話はスピーカーフォンで行っていたから弘岡も聞いている
その上で僕に意見を求めてきたみたいだけど……
「どう、って……情報を貰いに行く以外に選択肢が有るの?」
そう言って部屋のドアを開けた
ちなみに、図書室に居たまま電話をすると迷惑になるから個室に入って城崎と電話していた
この学校って、図書室に防音機能付きの個室があるんだな……
そのまま歩いて行き、目的地の旧生徒会室がある西館に辿り着いた
ノックをすると、城崎から返事がある
「入れ」
お邪魔しま~す……
旧生徒会室には作業台のような机が有る
その上に紙束が置いてあった
「これが言ってた資料?」
手に取る前に一応聞いておく
「ああ、それで間違いない。帰って詠むのでは無く、ここで読んでいけ。弘岡もだ」
あ、持って帰っちゃ駄目なんだ
弘岡と一緒に最初のページをめくる
『おおいさん』
……聞いたことが無いな
あんまりメジャーな怪談じゃ無いのかな?
「知ってる?」
弘岡に聞いてみるが、首を横に振られた
「城崎は……知ってるか」
「細かいことはそこに書いてあると言ってるだろ。俺に一々聞くな」
あ、はい
城崎が作業を止めずにそう言ってくる
まあ、城崎は今忙しそうだしね
あんまり邪魔するのも良くないだろう
そのまま、僕たちは二人でゆっくりと予定を詰めていった
――――――――――――――――――――
「「白い」」
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