93 / 220
東京事編
閑話 孤児院
しおりを挟む
「おい!お前ら!そっちの方に行くな!前に危ないったろ!」
「分かったって!」
「分かってねぇだろ!何回言ってると思ってんだ!」
しばらく怒られて、その後は解放された
「……けん、また怒られてた」
「まあ、いつも通りだろ。あいつ、人の忠告あんまり聞かないから効果ないだろうけど」
四歳にしては妙にませた二人がそう話している
「いや……でも、ちょっと位庇ってくれても良いんじゃない?放置はひどいじゃん……」
そう返しても、あんまり返事をくれない
やっぱり、ちょっとくらい行動を変えたほうが良いのかな?
「あ、それより、もうそろそろお昼の時間じゃない?」
「ん……ごはん」
隣りにいた子供は部屋の中に向かってとてとて走っていった
城崎は別の方向に向かって歩いていく
「あれ、どこ行くの?」
「俺は今から勉強会だ。あの部屋に行ってくる」
「そっか、いってらっしゃ~い」
城崎は時々別の部屋に連れて行かれる時がある
話を聞くと、【勉強会】というものに参加しているらしい
どういうものかは分からないけど、毎日のように受けているみたいだ
あと、結構重要なことらしい
時々ご飯よりも優先させていることがある
……今度ちょっと見に行ってみようかな
城崎や院長先生に頼めば見せてくれるかもしれない
まあ、面倒くさいからしないけど
だって、わざわざ首突っ込んで僕まで勉強会に参加させられたら大変だもん
そんな時間があれば早くご飯を食べて梁と一緒にポーカーでもやりたい
今のところかなり負け越していて、罰ゲームの行動をする度に院長に怒られる
流石に僕もこれ以上怒られるのは嫌だ
相手の心理を読んで出される手を予測したいんだけど、出来るのかな?
城崎はもしかすると【勉強会】でそれを学んでるのかもしれないけども
……やっぱり、今度から僕も参加してみようかな……
――――――――――――――――――――
「よし、今日の分はこれで終わりだな。」
「うん。それじゃあ俺は昼ご飯を食べてきて良い?」
「ああ、いいぞ」
そう言うと、聖は小走りで食堂に向かっていった
「……それにしても、末恐ろしいな……」
この年齢でここまでやるか……
俺の目の前には、山のように積まれたチップが有った
もちろん、ここで言う『チップ』というのは情報機器の物だ
こいつは、通常精密機器を用いてコントロールし、マイクロメートル単位で集積回路の場所を調整するはずのものを素手で埋め込みやがった
初めて見た時から、十分な才能は有ると思っていたが……ここまでとは流石に想像していなかった
そろそろ次のステップに進めた方が良いかもしれないな
「そうだそうだ。俺もそろそろ飯を食うか」
ガキ用の食堂じゃあ俺の腹を満たすのはちょっとキツい
外に食べに行くとするか
――――――――――――――――――――
あ、城崎がやってきた
城崎、勉強会の影響でご飯が遅くなることが多いけど生活リズムとか乱れて無いのかな?
「ねぇ。城崎も食べ終わったらこっち来てポーカーやろうよ。コツとか知ってるでしょ?」
「ああ、ちょっと待って」
そう言って、城崎はテーブルについた
「ん。ツーペア。僕の勝ち」
「え?あれ?……嘘でしょ?」
これで累計七十八連敗
流石にそろそろ勝たないと
どんどん罰ゲームが重くなっていってる
「よし、終わったぞ。俺も入れろ」
「早!ちゃんと噛んで食べたの?飲み込んで食べると体に悪いってこの前院長が言ってたじゃん」
こいつ、いっつも食事時間が短いんだよな……
別に食べる量が少ないわけでは無いのに……
「じゃあ、城崎。変わって!」
城崎にカードを押し付けて僕は外に向かった
二人がポーカーをやっている間は外でブランコでも漕いでいよう
時間はたっぷりあるから、大技の練習もしようか
そうして暫くブランコを漕いでいると、院長に出会った
「あ?おい!賢!んな危ねえことするんじゃねえ!」
「え?これ、そんなに危ないの?」
もしかすると、最近色々とやりすぎたせいで感覚がおかしくなっているのかもしれない
でも、ブランコで三捻りしながら回転するのは、別にそこまで危ないことじゃあ無い気がするんだけど……
「お前、そんなにちっちぇ頃から動きすぎると、反動で将来出不精になっちまうぞ」
「え?そうなの?」
じゃあちょっと控えよっかな……
「あ、ところで院長は何でここに来てたの?何か用事でもあったの?」
「メシだメシ。ここの食堂じゃあちっと量が足りねえんだよ」
あ、そうなんだ
大人にはちょっと量が少ないのかな?
「そうだ!今度、城崎と梁と一緒に外に遊びに行きたいんだけど、良いかな?」
丁度いいからこの機会に聞いておこう
「あ?う~ん……まあ、構わねぇか」
よっしゃ!
よし、それじゃあ早速城崎達の所に戻って準備をしよう
――――――――――――――――――――
この日のことを僕は未来永劫忘れない
自分の罪くらいは覚えているつもりだ
誰も僕のことを裁かなくても、僕が平穏な人生を送れたとしても
それは忘れちゃあいけないことなんだと思う
それが少しはあいつへの償いになるんじゃないかな?
そうだろ、城崎
これは僕たちだけの秘密だ
僕は地面を見下ろしながらそう思った
その先には、寂れた思い出が横たわっていた
「分かったって!」
「分かってねぇだろ!何回言ってると思ってんだ!」
しばらく怒られて、その後は解放された
「……けん、また怒られてた」
「まあ、いつも通りだろ。あいつ、人の忠告あんまり聞かないから効果ないだろうけど」
四歳にしては妙にませた二人がそう話している
「いや……でも、ちょっと位庇ってくれても良いんじゃない?放置はひどいじゃん……」
そう返しても、あんまり返事をくれない
やっぱり、ちょっとくらい行動を変えたほうが良いのかな?
「あ、それより、もうそろそろお昼の時間じゃない?」
「ん……ごはん」
隣りにいた子供は部屋の中に向かってとてとて走っていった
城崎は別の方向に向かって歩いていく
「あれ、どこ行くの?」
「俺は今から勉強会だ。あの部屋に行ってくる」
「そっか、いってらっしゃ~い」
城崎は時々別の部屋に連れて行かれる時がある
話を聞くと、【勉強会】というものに参加しているらしい
どういうものかは分からないけど、毎日のように受けているみたいだ
あと、結構重要なことらしい
時々ご飯よりも優先させていることがある
……今度ちょっと見に行ってみようかな
城崎や院長先生に頼めば見せてくれるかもしれない
まあ、面倒くさいからしないけど
だって、わざわざ首突っ込んで僕まで勉強会に参加させられたら大変だもん
そんな時間があれば早くご飯を食べて梁と一緒にポーカーでもやりたい
今のところかなり負け越していて、罰ゲームの行動をする度に院長に怒られる
流石に僕もこれ以上怒られるのは嫌だ
相手の心理を読んで出される手を予測したいんだけど、出来るのかな?
城崎はもしかすると【勉強会】でそれを学んでるのかもしれないけども
……やっぱり、今度から僕も参加してみようかな……
――――――――――――――――――――
「よし、今日の分はこれで終わりだな。」
「うん。それじゃあ俺は昼ご飯を食べてきて良い?」
「ああ、いいぞ」
そう言うと、聖は小走りで食堂に向かっていった
「……それにしても、末恐ろしいな……」
この年齢でここまでやるか……
俺の目の前には、山のように積まれたチップが有った
もちろん、ここで言う『チップ』というのは情報機器の物だ
こいつは、通常精密機器を用いてコントロールし、マイクロメートル単位で集積回路の場所を調整するはずのものを素手で埋め込みやがった
初めて見た時から、十分な才能は有ると思っていたが……ここまでとは流石に想像していなかった
そろそろ次のステップに進めた方が良いかもしれないな
「そうだそうだ。俺もそろそろ飯を食うか」
ガキ用の食堂じゃあ俺の腹を満たすのはちょっとキツい
外に食べに行くとするか
――――――――――――――――――――
あ、城崎がやってきた
城崎、勉強会の影響でご飯が遅くなることが多いけど生活リズムとか乱れて無いのかな?
「ねぇ。城崎も食べ終わったらこっち来てポーカーやろうよ。コツとか知ってるでしょ?」
「ああ、ちょっと待って」
そう言って、城崎はテーブルについた
「ん。ツーペア。僕の勝ち」
「え?あれ?……嘘でしょ?」
これで累計七十八連敗
流石にそろそろ勝たないと
どんどん罰ゲームが重くなっていってる
「よし、終わったぞ。俺も入れろ」
「早!ちゃんと噛んで食べたの?飲み込んで食べると体に悪いってこの前院長が言ってたじゃん」
こいつ、いっつも食事時間が短いんだよな……
別に食べる量が少ないわけでは無いのに……
「じゃあ、城崎。変わって!」
城崎にカードを押し付けて僕は外に向かった
二人がポーカーをやっている間は外でブランコでも漕いでいよう
時間はたっぷりあるから、大技の練習もしようか
そうして暫くブランコを漕いでいると、院長に出会った
「あ?おい!賢!んな危ねえことするんじゃねえ!」
「え?これ、そんなに危ないの?」
もしかすると、最近色々とやりすぎたせいで感覚がおかしくなっているのかもしれない
でも、ブランコで三捻りしながら回転するのは、別にそこまで危ないことじゃあ無い気がするんだけど……
「お前、そんなにちっちぇ頃から動きすぎると、反動で将来出不精になっちまうぞ」
「え?そうなの?」
じゃあちょっと控えよっかな……
「あ、ところで院長は何でここに来てたの?何か用事でもあったの?」
「メシだメシ。ここの食堂じゃあちっと量が足りねえんだよ」
あ、そうなんだ
大人にはちょっと量が少ないのかな?
「そうだ!今度、城崎と梁と一緒に外に遊びに行きたいんだけど、良いかな?」
丁度いいからこの機会に聞いておこう
「あ?う~ん……まあ、構わねぇか」
よっしゃ!
よし、それじゃあ早速城崎達の所に戻って準備をしよう
――――――――――――――――――――
この日のことを僕は未来永劫忘れない
自分の罪くらいは覚えているつもりだ
誰も僕のことを裁かなくても、僕が平穏な人生を送れたとしても
それは忘れちゃあいけないことなんだと思う
それが少しはあいつへの償いになるんじゃないかな?
そうだろ、城崎
これは僕たちだけの秘密だ
僕は地面を見下ろしながらそう思った
その先には、寂れた思い出が横たわっていた
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました
mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる