人類戦線

さむほーん

文字の大きさ
上 下
75 / 220
東京事編

第四十五話 クライミング

しおりを挟む
見た瞬間に猛スピードでドアを閉める

いやいやいやいやいや、あれは無理

幸いにも銃弾はまだ発射されてなかったみたいだけど、撃たれたら加速状態でも躱せない可能性が高い

それにしても、こんなふうに待ち伏せている人が居るならある程度集めてからまとめて突破するか、集めたらもうそこを避けて動くかってところかな

僕の目的は須斎が行動しやすいように場を整えることだから、人を集めるだけ集めてそこを避けて通る方が良いのかな?

じゃあ別の出入り口に向ってからこっちに人を連れてくるとしようか

えっと……ここの他の出入り口は……

あった。向こう側にドアが一つかな?

よし、まずはあの中にいる人をこっちに連れてこよう

まあ、実際に人が中に居るかどうかは分からないけど、こんな裏口みたいな所にも居たんだ、多分居るでしょ

居なかったら居なかったで、そっちから忍び込めばいい話だし

「でも、加速状態の時間制限も気になるから一旦解除してからの方が良いかな?」

何秒だったかはもう数えてない

そもそも、僕が今どのくらい加速出来るのかも調べてないんだけど

まあ、取り敢えず一旦解除しておこう

(解除)

誰かが僕が居ることに気付くよりも早くもう一度加速し直す

よし!多分誰にもバレてないな

じゃあ向こう側のドアも見ておこう

「……もしかして、誰もいないんじゃない?」

見たところ、扉の内側に人は居ない

「えぇ……これ、そのまま進んじゃうの……?」

本当に廊下しかないから進んで良いのか不安になる

取り敢えず、進むことにしよう

――――――――――――――――――――

さっき進むと決めてから約数十メートル

未だに景色に変化が無いことが僕の焦燥感を強める

(窓も一切無いとか流石におかしいでしょ……)

どんな廊下でも換気をしないと火事の時とかに大変なことになる

だから窓くらいはどこにでもあるものなんだけど……

何でないんだ?煙の逃げ道を塞いじゃうじゃないか

逃げ道を塞ぐ…………あれ?今、僕は攻撃されたら一切逃げ道が無いんじゃないか?

どうしよう……ここから一旦逃げたほうが良いかな?わざわざ入ったんだけど

面倒だな……どうしようか

やっぱりこのまま進もう。今更戻っても時間を無駄にするだけだ

ただ、ちょっとだけ急ぐとしよう

流石にこんな逃げ場のない場所に長時間居られるほど肝は座っていない

そんな考えから、僕は奥の方へ向って走り出した

しかし、タイマーが無いと加速時間があとどれだけ残っているのか分からないから不便だな

でも、タイマーって加速状態でも動くのかな?

その辺りの事もまたいずれ確認しておきたいな

お!前になんか見えてきた!

嬉しく思って近付いてそれをよく見る

「エレベーター……」

どうしよう……よりよって移動手段がエレベーターとは……

加速状態じゃあ動かないんだけど……

……いや、エレベーターがあるってことは近くに非常階段か何かがあるってことだ!

それを探して使うしかない

えっと……階段階段……

「無い……」

非常階段が無い……

一つそれらしきモノはあるけど、コンクリートか何かで埋められている

外の階段を探すしか無いのか?

最悪の場合、壁を登ることになるかもしれない

「加速状態ではダメージはむしろ普段より大きんだよな……」

切ったり削ったりはそこまででも無いんだけど、打撃系は何故かやたらと効く

速度が関係するからなのかな?

だから壁を登ってる最中に落ちたりしたら相当痛いと思うけど……

覚悟を決めるしかないか

僕は今まで来た道を引き返し始めた

――――――――――――――――――――

「本当に登れそうなところが無いな……」

官邸っていうものは独特な造りをしている

壁がやたらとのっぺりしているのだ

そのせいで随分と登りにくくなっている

壁登りとかやったこと無いんだけど……

近くの物を使って足場でも組もうかな……

上手く組めるかな?

まあ、多少構造がぐちゃぐちゃでも落ちるのがゆっくりだから大丈夫か

……いや、僕がドアを開けたり出来るんだから僕の触れている部分は加速が解除されているのか?

じゃあ落ちているときに僕の触れたところだけ落下するから結局痛いのか

それでもやるしかない。時間はたっぷり有るんだから慎重に組めば大丈夫でしょ

資材というよりは、元々壁だったものを切り取って僕は少しずつ足場を組み上げていった

昔、『院』の修理を手伝わされていたいたのが功を奏し、足場を簡単に組むことができた

「これ、登れるのかな……」

見てるだけでは登れる気がせず、不安になってきた

まあ、やってみるしか無いでしょ

ゆっくりと足場の下の部分から上に向かって足を進めた

――――――――――――――――――――

「ヤベ……ここから上に登れるかな……?」

ある程度登ったら、組んでいた足場の頂点に辿り着いた

ここから上に行くにはそれこそジャンプしたりしないと無理だ

高い場所からジャンプするの嫌だな……

壁に刀を刺したらやりやすいかな?

そういう意図で壁に刀を突き立てたが、スルッと入って引っかかる感触が無い

どういうことだ?コレ?

まあ、出来ないことは仕方がない

どの道、ここから降りるのは無理だからもう飛びつくしかない

覚悟を決めた僕は膝を曲げて思いっきり前に跳んだ
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚

咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。 帝国歴515年。サナリア歴3年。 新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。 アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。 だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。 当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。 命令の中身。 それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。 出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。 それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。 フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。 彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。 そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。 しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。 西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。 アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。 偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。 他サイトにも書いています。 こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。 小説だけを読める形にしています。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

レディース異世界満喫禄

日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。 その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。 その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。 冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。 全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。 巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

処理中です...