人類戦線

さむほーん

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東京事編

第二十八話 仕事

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「よし、須斎を呼べ。それと篠原と繋げ」

尋問していたところから本拠地である僕達一年三組の教室に戻って来るなりすぐに俺はそう告げた

ここには一応俺の補助をしている者たちが居る

とは言ってもまだ信用できる人間が少ないから情報がバレても問題無い仕事しか任せていないがな

それでも随分と楽になっているのは間違いない

こいつらの行動によっては、今後、俺のやっている仕事の大部分を任せても良いかもしれない

それと、近いうちにクーデター政権の方を取りに行くか

国を動かしている官僚の方にはノータッチにすることで、国民には大しての悪影響は抑えられる

まだ士官や将官といった上位の役職を持つ人たちがどのような装備を持っているかを把握しきれていないだろう

「篠原の独房に繋いであるカメラ、準備できました」

「分かった。すぐ行く」

会議の時以外で篠原と連絡を取るときはわざわざ別室に行ってからしている

変に情報を与えて勝手に脱出されては困るからな

須斎を少し待たせることになるかもしれないが、先に篠原の方と話をつけておこう

――――――――――――――――――――

「え~……聞く限り、安全なところが無いんだけど……」

「知らん。世の中では誰かが危険な持ち回りをしなくてはならない時が有る。まあ、お前がどうしても無理なら強引にとは言わないが」

そこを無理矢理やらせたらこいつ個人の士気が確実に下がる

こいつの装備は唯一無二のものだから出来るだけ意欲は高く持ってもらいたい

「いや、行くよ。無理に行かせなくても、そういう役回りをしなきゃ少なくともこの部屋からは出られないんでしょ?」

「まあ、それはそうだな」

危険に身を晒すよりは暗闇から出ることを優先したか

自分の安全を優先しそうなやつだったんだが……

こいつの人格分析プロファイリングを少し変更しておく必要が有りそうだな

「それより、言うからには完璧に出来るんだろうな」

「いや、完璧には出来ないよ」

よし、それでいい

無責任に完璧などという言葉を使うような奴ではなかったことが分かれば十分だ

「分かった。それじゃあ行ってこい」

そう言って面会用に付けておいたカメラとマイクの電源を切った

「独房の鍵を開けておけ。一応変なところに向かわないように監視はした状態でな」

首には一応遠隔操作式の爆弾をつけては有るが、俺達は篠原の行動を監視できる訳ではない

監視につける人員は出来るだけ少なく、最悪一人でも構わない

あいつにはこちらの勢力の情報を殆ど持たせていないからな

これで篠原に任せる仕事の割り振りは終わった

須斎への対応を考えておくか

今回は篠原の方に危険な役目を与えた押し付けたから、須斎のするべき任務はそこまで危険なものにはならないだろう

考えているものはあるから、須斎が来るまでにある程度決めておこう

――――――――――――――――――――

あ~あ……断らなかった……

僕、閉所恐怖症って訳ではないけど狭いところは嫌いなんだよな

もちろん、何週間も過ごしていたら慣れるとは思うけど、そうなったらもう負けだとも思う

「どうしよっかな……」

もの凄く危険なことなのは分かるが、同時にこの仕事がかなり重要なことであるのも分かる

これを勝手に途中で止めたりしたら本当にこの学校に居られなくなってしまう

僕の実家は山梨にあって、今までは寮に住んでいたからここを追い出されたら、東京から山梨まで歩いていかないといけないことになる

どこがどんな治安になってるかすら分からない現状では、長距離を歩いて進むなんて論外だ

「でも、危ないのは嫌だしな……」

あれ?そう言えば、僕にそんなことを考えている時間ってあるのかな?

行ってこい、って言われたからもうそろそろ準備した方が良かったりする?

準備とは言っても、何を持っていけばいいのか……

索敵は自力で出来るけど、警戒されてるのかまともな武器も貰えてないし

これじゃあ護身も禄に出来ないんじゃないかな?

「すみませんが、そろそろ準備をしていただいて宜しいでしょうか?」

「あ、うん。分かったよー」

もうこの身一つで向かおうかな……

……いや、ここにある鉄の棒くらいは持っていこう

武器になりそうなものを持って監視員の前に出ていったら警戒されるかもだけど、危ない場所に行くのに武器を持って行くなというのも無茶な話だ

丸腰で行って来いって言われたらその時は本当に怒ろう

「おっけー。もう出発出来るよ」

ドアを開けると少し離れたところに監視役らしき人が居た

警戒されてるのかなぁ……

「じゃあ、僕は行って来るから。ちゃんと向かったってことを城崎さんとかに伝えといてよ!」

「畏まりました」

う~ん……対応が味気ないな……

まぁ、これからは仕事だからちゃんとやらないと

「ふぅ。じゃあ、やるか」

――――――――――――――――――――

「そうそう。あの二人が帰ってないってことは、僕達が主犯なこともバレてるかもしれないから、警備の交代の仕方を変更しとくよ。」

「やり方を変えるんスか?やめて下さいよ……制度なんてそんなにしょっちゅう変えるものじゃないですよ」

「そうだ。我としては交代頻度を変えた方が良いと考える。方法の変更はもう少し状況が落ち着いてからの方が良いのでは無いだろうか?」

会議は続く
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