異世界で貧乏神を守護神に選ぶのは間違っているのだろうか?

石のやっさん

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第29話 これ本当に奴隷なんですか?

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「マヤさん、本当にこれで良いんですか?」

「はい、これで良いんですよ? ご主人様が凄く喜びますからね!」

私は奴隷の筈なのに…可笑しいのです。

◆◆◆

昨日の夕飯はご主人様が作ってくれて、私にも同じ物を用意してくれました。

オムライスっていう料理だったのですが、ケチャップという赤い調味料でハートマークが書かれていましたよ。

ハートマークの意味をマヤさんに聞いたら…

好きだって言うツバサ様からの愛情表現だそうです。

『好き?』

耳長族の私を?

そんな事は…ありません。

だって、私は嫌われ者ですから…

『大した物じゃ無いけどね、僕の場合は祝福をくれた神様の影響で贅沢は出来ないんだ』

そうツバサ様は言いますが…

こんな素晴らしい食べ物、私は食べた事はありません。

しかも椅子に座って食べて良いんですって…

本当に奴隷じゃないですよ。

お腹がすいていたから、ガツガツと恥ずかしいですが、食べていたら自分の分まで半分くれるなんて…信じられませんでした。

私にとって他人は…

『嫌われるだけの存在』

『勝手に憧れ、暴力を振るい…暴言を吐く存在』

それだけしかありません。

耳長族、エルフの偽物と本物のエルフやダークエルフやドワーフからは石を投げられる存在。

ここギルメドは治安が良いから『嫌われる』だけで済んでいますが、住む場所によっては石をぶつけられ、暴力を振るわれても可笑しくありません。

生きる為には働かないといけません。

荷物持ち、ポーターとして働くと…

偶に耳長族を知らない民族や新人冒険者が私を雇います。

彼等のうちの多くは『体目当て』だった。

私の事を知らない人が私を雇い、ダンジョンの暗がりで良からぬ事をしてきます。

「ほらほら、お姉さんここはダンジョンだから助けは来ないよ」

「いや、いやぁぁぁーー」

「静かにしろよ…おら…ああっああつ、此奴まさか漏らしたのか…くせーっ、おえっ…」

「汚物処じゃない…おえっ、なんだ、まさか硫黄、違ううえっ、生ごみ…なんだよこれ…此奴から臭いってきているのか…うぷっ…こんな臭い女抱けるかよ…うげぇぇぇぇーー、あっち行けよ…」

「…」

「うげぇぇっうぷ、ゴミ女…汚い体しまって消えろ、消えろおぁぁぁーー」

「お金」

「ホームレス女…おらよ」

大体が銅貨3枚…酷い時は1枚。

相場の半分以下を嫌な顔で投げつけられたわ。

それが私…

いつしか、汚いホームレス女。

そういう噂が流れ…普通に雇ってくれる人は居なくなり…

お金の無い冒険者が『臭くてもやれるなら良い』そう思って雇い。

無理やりしようとして、悪臭から出来ず罵倒される存在。

それが私だった。

『いやぁ、あの女、使えるかと思って雇ったけど、あれは駄目だ…生ごみみたいで抱けねーよ』

『スラムのババアの方がまだまし』

そこ迄言われるのが私だったわ。

若い時でそれなんだから…今の私がどれだけ価値が無いか解ります。

そんな事情を知っていても奴隷にしてくれました。

それだけでも本当にありがたかったです。

だって、あのままだったらきっと私は遅かれ早かれ死ぬ運命にあったのですからね…

◆◆◆

それが、なんなんでしょうか?

この程度なら大丈夫かな…そう思い。

マヤさんに勧められるまま、何とも卑猥な下着姿でツバサ様の前に立ちました。

『喜ばれるなら』そういう気持ちと流石に『こんなおばさん需要はないだろうな』そんな気持ちが入り混じった気持ちだったのですが…

ツバサ様が顔を赤くして見ているから…興奮してしまい。

また異臭の臭い汗が浮かび…騒動になりました。

幸いツバサ様がすぐ気がついて窓を全開にしてマヤさんに風呂場に連れていかれ、水を掛けられた事で難を逃れました。

罵倒されるのを覚悟していたんですが、ツバサ様は罵倒もしないで、ただ私とマヤさんを顔を赤くしながら見ていました。

そして此処から更に可笑しな事になります。

「今日は早目に寝ようか?」

此処迄は解りますよ。

此処迄は…

「それじゃ僕は床で眠るから、ターニャさんはベッドを使って下さい!」

え~とですね…私は奴隷なんですけど?

「はい?」

「ご主人様が床なら、私も床で寝ますね」

「マヤさんはターニャさんとベッドを使いなよ! 女の子なんだから」

「私はジークの民です! 忘れていますよ、私の体は機械ですからね、床でも痛くありませんから、それに最近はご主人様を抱き枕にしないと眠れないんです」

「それなら良いか…それじゃターニャさんお休み」

「あの…」

ローソクの炎を消されてしまいました。

主人であるツバサ様が床で私がベッド?

どうして、こうなったのでしょうか?


まだまだ、可笑しな話は続くんです…

朝、良い匂いで目を覚ましました。

マヤさんはまだ床で寝ています。

「ターニャさん、おはようございます」

「ツバサ様、おはようございます…」

「う~ん、ご主人様、おはよう…」

「まだ、2人とも寝ていて良いよ、朝食が出来るまでもう少し掛かるから…」

「ふわぁーい」

「はい…」

ツバサ様が作るのですか?

朝食は 目玉焼きにベーコン焼、サラダにパン、スープ。

どう考えても奴隷の食事じゃありません。

ご飯を食べている私やマヤさんを嬉しそうにツバサ様は見つめているのです。

そして…ダンジョンに潜ると言うのでバッグを背負ったのですが…

「ターニャさん、それ要りません!ご主人様は、収納持ちです」

「はぁ」

あれ、可笑しい…私もそうですが、マヤさんも戦闘職に見えません。

知らない武器を持ってはいますが…使う事は無いみたいです。

「ご主人様、来ました、前からオーガ2体です」

「そりやぁぁぁーー」

魔物の場所は教えていますが、マヤさんは戦闘に参加しないで後ろで見ています。

「あの、マヤさん、私達はなにをすれば…」

「そうですね、何もしないのは心苦しいでしょうからターニャさんは魔石を拾って下さい」

「え~と、それだけですか?」

「それだけです!」

「本当にそれで良いんでしょうか?」

「はい、見て下さい! ご主人様を嬉しそうに戦って居るじゃ無いですか…全く、傍に居てくれるだけで幸せだなんで照れちゃいますよね」

「私もですか?」

「多分そうです!」

私、本当に奴隷なんですかね…

此処迄でも可笑しいのに…

「あの私、奴隷ですよ?」

冒険者ギルドで私もパーティに加わったのですが…

「うん、知っているよ?」

今日の利益は金貨4枚に銀貨3枚です。

それなのに…ニコニコしながら金貨2枚を私に渡してくるのです。

「流石に、それは貰えません」

「大丈夫です! 私も結構な金額が溜まっていますから、なんでしたら私から金貨1枚…」

「いやいやいや大丈夫ですから」

可笑しいですよ…こんなの絶対に奴隷の扱いじゃありません。

「特に使う予定がないなら、一緒に買い物に行きませんか…色々買い揃えましょう」

「ツバサ様、宜しいのでしょうか?」

「2人一緒なら安心だから行っておいで」

自由があってお金が貰えて…ほぼ何もしない。

これどういう扱いなんでしょう?









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