27 / 59
第27話 違和感の正体
しおりを挟む「ターニャさん、本当に良いの?」
奴隷商の前に来た。
何となく恥ずかしいのでマヤさんは宿に残って貰った。
「はい、私の方が望んだ事ですし、なにより奴隷に成れる事が幸せなのです」
そう、ニコニコされて言われると奴隷にする事が正しいような気がする。
ターニャさんの人生がどれだけ過酷な物かが良く解った気がした。
「これはこれは、お客様、本日はどのような奴隷を…」
「今日は奴隷の購入では無く、奴隷紋を刻んで貰いに来ました」
「奴隷紋?そちらの女にですか? 失礼ですが、そちらの女性はエルフでは無く、耳長族ですよ、しかも耳長族は、性行為中に異臭をする汗を流すので性処理奴隷に使うのに適しません…その歳の耳長族だと閉経していますので、そもそも子供も作れ無いでしょうが、価値は全くありません…それでも大丈夫なのですか?」
奴隷商の説明を黙ってターニャさんは聞いている。
目が潤んでいるのが解る。
「随分と詳しいのですね」
「奴隷商人の間では、通称:詐欺エルフと言われ数百年前に、幾つかの奴隷商が被害を被ったのです! その為、今では見分け方がしっかりとマニュアル化しています。方法は商売上の秘密なのでお伝えできませんが」
「あと、閉経って…」
「人工的に昔、異世界人に作られた種族で、愛玩用として妊娠しないように17歳で閉経して子供が出来ない体に調整されたそうですよ。尤も、調整の失敗で破棄された存在なので、最近は…見かけませんでしたが」
「破棄?」
「先程申し上げた様に、性的な事をすると異臭をする汗をかきます、それを取り除く事が出来なかった為です。室内じゃ窓を開けてすら行為は出来ない、そう思った方が良いですよ…人工的に作られた一族なので神々からも祝福されないからジョブやスキルが無い、それでも奴隷にしたいですか? 奴隷としての価値はその年齢じゃゼロどころかマイナスです、抱き合わせじゃ無ければ引き取りません…それで良いなら奴隷紋を刻ませて頂きます」
ターニャさんが泣きそうな顔でこちらを見つめて来た。
「お願いします」
「全て解った上なら結構です、銀貨2枚になります」
僕は銀貨2枚を支払い、ターニャさんに奴隷紋を刻んで貰った。
◆◆◆
ターニャさんは奴隷紋を刻んで貰ったお尻を愛おしそうに見ている。
「ターニャさん、嬉しいのは解るけど、人前でスカートを捲るのは、見えちゃってますよ」
「下着くらい見られても構いません…こんな微妙な年齢の女の下着なんて誰も見たいと思いませんよ…」
巨乳エルフお姉さん。
前の世界なら目が釘付けの筈なんだけど。
確かに誰もこっちを見ていない。
そうか…もしエルフならこの容姿は高齢者の筈だから、そう言う目で見られないのかも知れない。
「ですが、ツバサ様…本当に良かったのですか? 私、役立たずですよ?」
「役立たず?」
そうか…引っかかっていたのはこれだ。
雪乃様は『とびっきりの仲間を用意する』そう言っていた。
それはパーティの戦力としてという事だ。
ターニャさんはどう考えても『戦力』じゃない。
うん、多分、勘違いだ。
だけど…
「はい、役立たずだけど一生懸命頑張らせて頂きますね」
この笑顔の彼女なら、そんな事は関係ないな。
◆◆◆
ターニャさんと宿に帰り、少しベッドで横になった。
すると頭の中に雪乃様の声が聞こえてきた。
どうやら、僕の様子が解っているようだ。
『翼くん、完全に勘違いだね! 僕が探していたのはパーティとして戦える仲間だぁ! ただ一緒にいる存在じゃないよ?』
「確かにそうですね、完全に勘違いでした。それで雪乃様、仲間の心当たりは見つかったのですか?」
『う~ん、それがなかなか難しくてね!獣人族の中で候補は居るんだけど…保留中だよ』
「雪乃様、後衛を探して居るんじゃなかったのですか?」
『うん、本当はそうなんだけど、この世界の魔法使いの殆どは、精霊や神からの祝福の力で魔法を使うんだよ! 翼くんにあげた器用貧乏はかなり例外なのさぁ…この世界の神様じゃ僕は外様みたいな物だからね、他の神の祝福を受けた子を翼くんの仲間にするのは、ちょっとね…なにか考えてみるけど…無理そうだよ』
「確かにそうですね…」
よく考えれば解かる事だ。
『そうなんだ、だけど、その分魔法が使えない者の多くは祝福を貰えていない者が多いから、探すのはそう難しくない…器用貧乏を使いこなして翼くんがオールラウンダーを目指すのも良いかも知れないね』
「オールラウンダーですか?」
『そう、オールラウンダー…まぁ、翼くんは使命も何もないんだから、ゆっくり考えなよ』
「そうですね」
『時に、あの翼くんが、邪な気持ちで仲間にしたエロエロ巨乳エルフモドキだけど、かなり辛い人生を歩んできたみたいだから優しくしてあげると良いよ』
「エロ巨乳エルフ…邪?」
『だってそうだろう? あの巨乳に引かれて仲間にしたんだろう! ぼ.く.の.翼くんは…全く、思わず嫉妬しちゃうよ…だけど残念だったね、鑑賞は出来るけど、出来ないんだから仕方ないね…うんうん、精々目の保養をするんだね』
「雪乃様?」
『翼くんの馬鹿…あっゴメン、また邪魔が入った…なんなんだい異世界って、また今度…それじゃぁね…』
相変わらずドタバタしている。
神様も忙しいんだな。
34
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる