61 / 77
第三章 この世界の不条理
第61話 デモノプリンス誕生
しおりを挟む「理人ゴメンなさい! 今日の順番はキリネに譲るから…キリネと一緒に楽しんでね!」
「あの、サキュバ…どうかしたの? 体調が悪いのかな? 大丈夫!」
「うん、大丈夫だから気にしないで…これでも魔王だから、忙しいのよ…本当に残念だわ…次回はちゃんと参加するから安心してね」
「大丈夫なら良かったです! 無理しないで頑張って下さい!」
「うん、頑張るから」
笑顔の理人に後ろ髪をひかれつつ部屋を後にした。
◆◆◆
【別の男性保護施設】
一応は魔王なので此処をシャルナからキリネが借り受け、側近を待機させていた。
此処に居た男は恐らく人権をはく奪されたのかも知れない。
今回は…急用で此処に来た。
「別に付き添いは要らぬ! 我はサキュバスクィーン、出産などお手のものじゃ」
「ですが、魔王様、確かに魔王様は出産に優れた種族ですが、その子は魔国の運命を背負った子です…是非、傍で様子だけでも見させて下さい」
「魔王様はサキュバスクィーンですが出産の経験はありません!心配でなりませぬ」
「気にする必要は無い、この子の父親は正常な男!我が交わった男のなかで唯一子が欲しいと思った男だ!きっと強い子が産まれるに決まっておる…心配せず別室でどんと構えておれば良い」
我の種族はサキュバス。
相手が正常な男なら、どんな種族の子でも妊娠できる。
これもサキュバスの能力だ。
そして、我はその中でも最高位のサキュバスクィーン。
相手さえ正常なら竜の子すら産んで見せる。
人族との子をもうける等たやすい事だ。
今迄が悪夢過ぎたのだ。
サキュバスクィーンの血を継ぐ子が生殖能力皆無等、信じられぬ。
お腹の中でそれを感じた我は『産むのをやめた』
だが、この子は違う。
今迄の妊娠と違い…今の状態から既に愛おしくて堪らない。
サキュバスクィーンの私が愛おしいと感じるような子。
この子はきっと私の血を継いでいるに違いない。
サキュバスクィーンの私を魅了するような子供。
もしかしたら、今は滅びてしまったサキュバスの同族の男。
インキュバスかも知れない。
私の側近が騒ぐのも解る。
もし、この子が『真面な子なら』ようやく魔国に待望の王子が産まれえるのだから。
そして、それは人族との完全和解への一歩となる。
何しろ『王子の子が人族』なのだから…
◆◆◆
「おぎゃぁぁぁーー!おぎゃぁぁぁーー」
「おお、ついているでは無いか!」
「サキュバ様、とうとう生まれたのですね…うっうっ、男の子です、やりましたね」
「凄い、待望の男の子です…これで世界に救いが…」
「私がしっかりと筆おろしを…」
「まだ、安心するでないわ!正常な男かどうか判断してからの話だ!お前は馬鹿か? 幾らインキュバスでも精通するまで時間は掛かる、それまでは性交禁止だ」
我は鑑定の鏡を持ってこさせ鑑定をさせた。
「これは凄いです、魔王様…種族:ハーフインキュバスキング、個体能力:デモノプリンス…です」
デモノプリンス?
魔王子じゃないか?
ハーフとはいえ、我と同じキング種なだけでなく魔王子。
魔族は長命だから魔王こそ引き継げないが、魔界の王子の誕生だ。
しかも、理人に似ていてなかなかの美形。
「ほう…未熟ながらも生まれてすぐに魅了を使うか…末恐ろしい才能だ」
「まっ魔王様、王子…王子は私に育てさせて下さい!」
「その子を私に下さいませ、さすれば生涯の忠誠を王子と魔王様に誓いますわ」
「いいえ、王子は私の…物ですわ! 魔公爵の私こそが教育係に相応しいわ」
貴族階級のサキュバスが簡単に魅了される。
これが『正常な我が子』の能力。
母として魔王として誇らしく、愛しいが…親子として愛す必要は無い。
何故ならサキュバスやインキュバスは他の物を魅了して勝手に育っていく。
この世界が可笑しくなってからは別だが。
この子はインキュバスだし、もう貴族階級のサキュバスすら魅了している。
同族でこれなら、きっと他の女はもう奴隷も同然な筈だ。
「この子の名前はザインだ! 魔公爵バスタ、お前に王子を任せる!王子へ忠誠の褒美に精通後の筆おろし教育係も任せる…では!」
「有難き幸せですわ…ですが魔王様は何処に行かれるのですか?」
「こほん、理人の所に決まっているでは無いか? 王配の権利を与え…2人目を仕込んでくるわ」
「「「「「魔王様ずるいです(わ)」」」」」
我を妊娠させ王子を産ませたのだ、充分に王配の権利を与えある程度の魔国で通用する地位も与える必要もある。
ザインの誕生は魔国全体での祝い事だ。
また、シャルナと話し合う事が増えたな。
1
お気に入りに追加
287
あなたにおすすめの小説
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る
イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。
《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。
彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。
だが、彼が次に目覚めた時。
そこは十三歳の自分だった。
処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。
これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる