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第二章 甘い生活
第36話 麗華SIDE 最悪勇者誕生。
しおりを挟む「せめて体を隠すテント位は用意して下さい!」
幾ら、周りに男が居ない状態とはいえ、こんな所で水浴びをするなんて…
旅に出た私達は久々の泉を見つけて水浴びをしようとしたのだけど…
此処は公衆の場所らしく、平気で人が水を汲んでいきます。
よく見ると近くに集落もあり、そこから丸見えです。
「なに言っているんですか?見られて困る物じゃないでしょう?」
「集落に男性が居たら見られちゃうよ」
「そうよ、流石に恥ずかしいわ」
私や同級生は抗議しましたが…
「それは、凄く魅力的な妄想ですね?! 村にも男の1人や2人居るかも知れませんが…気持ち悪がって女の裸なんて見ませんよ!」
「ハァ~ もし覗いて勃起するような男がいて、押し倒して犯してくれる…メルヘンですわ…あっ凄く官能的…バナナをじゅる…しゃぶりたいですわ」
「ショタは最高ですが、爺でも勃てば文句言いませんわ『儂のマラを使いたくば跨るんじゃ牝豚が』たまりません、たまりませんわーー」
キモイ…一緒に旅をしているヒーラーはこんな感じ。
頭が可笑しいのかも知れない。
『なんで、私はこんな事しているんだろう』
異世界に来て、大好きな大樹に振られ。
命がけの戦いに駆り出される。
しかも、服はまるで風俗嬢にでもなったみたいにヒラヒラで透けているしパンツは丸見え。
男性用のトイレと違って女性用のトイレは形ばかりの仕切りがあるだけで、覗こうと思えば覗ける…
狂っているとしか思えない。
しかも…私以外の討伐メンバーも女子ばかり。
男子は居ない。
私以外の交際している男女も居たけど…全員が振られている。
この世界は可笑しい。
そう思ったわ。
◆◆◆
「この世界は男女比1対5で、男性は女性が嫌い…なんですか…」
「勇者様、知らなかったんですか? うふふふ、だからあんな事言ってらしたのね!」
私だけじゃない、クラスの仲間も皆が驚いている。
『冗談じゃない!』
しかも、この世界に来た時点で、徐々に男性は女性が嫌いになるんですって…ふざけているわ!
あの女神…そんな事言って無かったわ!
これじゃ騙されたような物だわ。
私から『大樹』を奪ったのはこの世界という事じゃ無い?
最後に会った大樹は…もう、私の好きな大樹じゃない。
私の傍に居る位なら『死』を選ぶとまで言っていたわ。
「皆、路銀も沢山あるし、東に行かない? 噂だと、海があって魚が美味いって聞いたわ」
「待って下さい、魔国は北になります…東は遠回りになります」
「だから何? いつかは魔王と戦えば良いんですよね? 私達は未熟だから、体を鍛えなくちゃね…温泉に入って、お魚食べて…うんうん訓練しなくちゃね」
「そうね、私達は未熟だから、しっかり食べて鍛えないと…」
「うんうん、賛成」
「皆さま、待って下さい! 世の中には助けを求める人が沢山いるのです…」
「うん?! 知らない、そんな事! 私の約束したのは魔王の討伐参加だわ…今戦っても死ぬだけ…鍛えても死んじゃうかも知れない、そんな仕事をさせられるんだもん…この位の遊興費、国庫から出すように言いなさいよ! これから、泊る場所は、王侯貴族専門の宿で最高のもてなしを要求します…嫌なら逃げ出すわ…そうよね皆」
「「「「「うん、異議なし」」」」」
私はこの世界が嫌いになった。
私から大樹を奪った、この世界が嫌いだ。
だから、『最悪の勇者』になってあげるわ。
戦わない、世界を見捨てる…異世界人なんて幾ら死んでも構わない。
私が守るのは同級生だけ…うんうん、それで良い。
まずは、慰謝料代わりに思う存分、遊び惚けてやるわ。
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