上 下
36 / 77
第二章 甘い生活

第36話 麗華SIDE 最悪勇者誕生。

しおりを挟む

「せめて体を隠すテント位は用意して下さい!」

幾ら、周りに男が居ない状態とはいえ、こんな所で水浴びをするなんて…

旅に出た私達は久々の泉を見つけて水浴びをしようとしたのだけど…

此処は公衆の場所らしく、平気で人が水を汲んでいきます。

よく見ると近くに集落もあり、そこから丸見えです。

「なに言っているんですか?見られて困る物じゃないでしょう?」

「集落に男性が居たら見られちゃうよ」

「そうよ、流石に恥ずかしいわ」

私や同級生は抗議しましたが…

「それは、凄く魅力的な妄想ですね?! 村にも男の1人や2人居るかも知れませんが…気持ち悪がって女の裸なんて見ませんよ!」

「ハァ~ もし覗いて勃起するような男がいて、押し倒して犯してくれる…メルヘンですわ…あっ凄く官能的…バナナをじゅる…しゃぶりたいですわ」

「ショタは最高ですが、爺でも勃てば文句言いませんわ『儂のマラを使いたくば跨るんじゃ牝豚が』たまりません、たまりませんわーー」

キモイ…一緒に旅をしているヒーラーはこんな感じ。

頭が可笑しいのかも知れない。

『なんで、私はこんな事しているんだろう』

異世界に来て、大好きな大樹に振られ。

命がけの戦いに駆り出される。

しかも、服はまるで風俗嬢にでもなったみたいにヒラヒラで透けているしパンツは丸見え。

男性用のトイレと違って女性用のトイレは形ばかりの仕切りがあるだけで、覗こうと思えば覗ける…

狂っているとしか思えない。

しかも…私以外の討伐メンバーも女子ばかり。

男子は居ない。

私以外の交際している男女も居たけど…全員が振られている。

この世界は可笑しい。

そう思ったわ。

◆◆◆

「この世界は男女比1対5で、男性は女性が嫌い…なんですか…」

「勇者様、知らなかったんですか? うふふふ、だからあんな事言ってらしたのね!」

私だけじゃない、クラスの仲間も皆が驚いている。

『冗談じゃない!』

しかも、この世界に来た時点で、徐々に男性は女性が嫌いになるんですって…ふざけているわ!

あの女神…そんな事言って無かったわ!

これじゃ騙されたような物だわ。

私から『大樹』を奪ったのはこの世界という事じゃ無い?

最後に会った大樹は…もう、私の好きな大樹じゃない。

私の傍に居る位なら『死』を選ぶとまで言っていたわ。

「皆、路銀も沢山あるし、東に行かない? 噂だと、海があって魚が美味いって聞いたわ」

「待って下さい、魔国は北になります…東は遠回りになります」

「だから何? いつかは魔王と戦えば良いんですよね? 私達は未熟だから、体を鍛えなくちゃね…温泉に入って、お魚食べて…うんうん訓練しなくちゃね」

「そうね、私達は未熟だから、しっかり食べて鍛えないと…」

「うんうん、賛成」

「皆さま、待って下さい! 世の中には助けを求める人が沢山いるのです…」

「うん?! 知らない、そんな事! 私の約束したのは魔王の討伐参加だわ…今戦っても死ぬだけ…鍛えても死んじゃうかも知れない、そんな仕事をさせられるんだもん…この位の遊興費、国庫から出すように言いなさいよ! これから、泊る場所は、王侯貴族専門の宿で最高のもてなしを要求します…嫌なら逃げ出すわ…そうよね皆」

「「「「「うん、異議なし」」」」」

私はこの世界が嫌いになった。

私から大樹を奪った、この世界が嫌いだ。

だから、『最悪の勇者』になってあげるわ。

戦わない、世界を見捨てる…異世界人なんて幾ら死んでも構わない。

私が守るのは同級生だけ…うんうん、それで良い。

まずは、慰謝料代わりに思う存分、遊び惚けてやるわ。


しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る

イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。 《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。 彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。 だが、彼が次に目覚めた時。 そこは十三歳の自分だった。 処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。 これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

処理中です...