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第一章 顔に傷がある女性を好きになりました
第7話 ヒロイン登場②
しおりを挟む「しかし、お前も随分な物好きだな! お前みたいな色男なら、幾らでも飲む相手が居るだろう? 好きな物を好きなだけ奢ってやるが、何を飲みたい?」
「オレンジャジュースで」
「オレンジャジュース? 酒じゃ無くて?」
「この世界じゃ、もう成人なのですが…実は異世界人なので向こうでは未成年なんで…」
「そう? だけど異世界人の多くは黒髪、黒目って聞いたけど?え~と君は違うよな?」
「まぁ色々ありまして…」
「まぁ、人にはそれぞれ事情って言う物がある! 無理には聞かない」
「そうしてくれると助かります」
しかし、この美少年いったいなんで私と話しているんだ?
普通なら、幾らでも女なんて選び放題だろう…
これ程の美形で性格も良さそうだ。
しかも、男特有の横柄さが全くない。
こんな男、そうは居ない…
「それで?!何故、私と飲んでくれるんだ? 顔にこんな傷がある女だぞ?気にしないにしても、無い方が良いだろう?」
「別に気になりませんよ…というか、架空の人物、まぁ伝記や小説のヒロインだと思って下さい!顔に傷があるんですよね。他にも沢山の英雄や凄腕のヒーラーにも顔に傷がある人が多く居ます。そのせいか気になりません…凄い美人にしか俺には見えませんし、さっき言った通り、その傷は勲章です」
「そうか?確かに私は元王宮騎士で王族の側近護衛をしていたから、そこそこの美貌はあったかも知れないな!人形みたいだと言う事で『ドール』と呼ばれていたよ!」
「だから、そんなに綺麗なんですね、俺が会った女性で貴方程…」
「カセリアだ」
「カセリアさん程綺麗な女性は見た事がありません」
本当にこの顔の傷が気にならないのか?
「ふっ…それも昔の話だ、今じゃこの醜い傷のせいで『スカーフェィス』って呼ばれ、側近護衛を外され、それ処か王宮騎士も辞めさせられ、挙句騎士の時に…まぁ問題を起こして、今や騎士でも何でもない」
「そうですか…」
「ああっ、だから冒険者をして生活を立てている顔に傷があるただの女だ…少年が」
「すいません、俺も名乗っていませんでしたね、理人です」
「理人はそんな私とでも友人になりたい? そう思うのかい?」
「そりゃなりたいですよ…」
こんな夢みたいな話…男に免疫の無い私が正常に居られる訳ないよな…理人が悪いんだ…
◆◆◆
「げげげ言質とったからな! 今更嘘とか言ったら暴れるからな」
あれっ急に雰囲気が変わったみたいだ。
「嘘なんて言いませんよ…」
「そうか…なら良し! それなら、さぁ行こう、すぐ行こう…さぁさぁさぁーーーっ」
「え~と、何処にですか?」
「詰所か冒険者ギルドに決まっているだろう?何を言っているんだ? まさか揶揄ったなんて事無いよな?」
そんな怖い顔して剣に手を掛けないで欲しい。
「揶揄ってなんて無いですよ」
「そう…良かった…さぁそれじゃ詰所に行こう?なぁ今すぐに」
そう言えばジュース…
「まだジュースが…」
「登録が終わったら100杯でも奢るよ!」
「それじゃ行こうか?」
「うん」
しかし、ミムの時もそうだが、凄い世界だな。
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