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第一章 顔に傷がある女性を好きになりました
第2話 文句は言えない
しおりを挟む俺が追い出されるのは仕方がないと諦めがつく。
異世界に転移して女神の空間で一通りの説明を受けた。
ルミナスという世界のデリモス王国が魔王に悩み、勇者召喚を行った。
そして、その召喚で呼ばれたのが俺の居たクラスだった。
そして、その世界を管理する女神イスカル様が、異世界で戦い、生活出来る様にとジョブやスキルを与えてくれる。
そう言う話だった。
女神イスカル様がクラスメイト1人1人にジョブやスキルを与えている時の事だ…
『運が悪かった』
順番に加わり並んだ時だ。
俺の前に並んでいたのが南条麗華や北条大樹達、まぁクラスの人気者たちだった。
THEモブ…そう言う容姿の俺は、コンプレックスがあり、彼らが凄く羨ましかった。
だから、きっと、心から『羨ましい』そう思っていたんだと思う。
さらにぼーっとしていた。
自分の順番が既に回ってきているのに気がつかずに、思い続けてしまった。
「良いでしょう! 貴方が心から望む物…それは美しさと魅力ですね! それでは貴方の希望のスキルをあげましょう…では」
「あっ…」
気づいた時には俺のジョブやスキルは与えられた後だった。
妄想癖が恨めしい。
隠して俺は、美しさと魅力に特化した偏った能力になってしまった。
理人
LV 1
HP 34
MP 5
ジョブ:侍
スキル:翻訳、アイテム収納(収納品あり)
エクストラスキル: 美しさは罪(レベルが上がれば上がる程、美しくなりモテる。更に魅了(常時発動)が強くなる効果がある)
こんな感じだった。
どう考えても強さが削られている気がする。
更に、容姿も変わってしまった。
シルバーの髪にブルーアイ。
美少年と名高い大樹よりも…確実に美形に見える。
こうして俺の容姿や能力はこれに決まってしまった。
誰が悪いんじゃない…大切な場面でぼーっとして可笑しな妄想をした俺が悪い。
それだけだ。
◆◆◆
デリモス王国に着いてからは特に鑑定とかは無く、歓迎会が開かれ、その後訓練が始まった。
昔は水晶を使った鑑定をしていたそうだが、過去に良いジョブやスキルを持って無い者を冷遇した事に怒った女神が異世界人に鑑定が通じないようにした。
その結果…異世界人は自分しかステータスが解らないようになっていた。
尤も、訓練の後に毎日口頭でステータスを聞かれ、しっかりと訓練の様子を見られるのでバレバレだ。
そんな中で俺は、クラスの皆から白い目で見られていた。
全く別人の容姿になったって、他の容姿になった人間は俺1人しか居ない。
だから『身バレ』している。
クラスの皆は俺の元の姿を知っているし、王族にも誰かが告げ口している。
貴重な異世界での戦力を『こんな事に使ってしまった』そういう思いと『美形になったやっかみ』からか浮いた存在になっていた。
クラスメイトからしたら『全身整形手術』をした奴。
そんな感じなんだと思う。
だから、役立たずなのは自分でも痛い程解っている。
訓練にも遅れているんだ…文句は言えないよな。
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