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第19話 逃げ出す
しおりを挟む「ご主人様…そろそろ起きたらどうじゃ」
ああっ…少し眠ってしまったようだ。
雅に抱き着かれて寝ていたようだ…流石サキュバスクイーン気持ちが良い。
「眠ってしまったのか…う~ん久しぶりにゆっくり眠った気がする」
「まぁわらわ達は夢魔でもあるのじゃ…初対面だから記憶は覗かなかったが…寝やすい様にはしておいたぞ」
「ありがとう…」
「いえいえ、これから生涯世話になるのじゃ、容易い事じゃ」
今、何を言った?
生涯? そう言ったよな?
「え~と 生涯?」
「パンパカパーン! これが『素晴らしい特典』サキュバスクィーンやロードを含む今回倒されたサキュバスや邪精霊たち全員は貴方の奴隷になりました…凄いでしょう!」
受付のお姉さんが笑顔でそう言ってきた。
「嘘だろう?」
「嘘じゃありませんよ! 驚きですよね? こんな凄い特典が貰えるなんて思わなかったでしょう? 約200人のサキュバスの奴隷…しかもその中の一人はクィーンで4人はロード…他のサキュバスは基本逆らえないので、世の中の奴隷になってないサキュバス全てが貴方の物なのです…お好みならエルフからダークエルフに擬態すらします…世界の美女を全部手に入れたと言っても過言じゃありません」
「冗談だよな…幾らサキュバスでもだからって奴隷は嫌だろう?」
「何を言っておるのじゃ? お主の『精』は最高に美味じゃ…サキュバスは人間と仲良く人権を持っているが『魔』じゃから貪欲じゃ、その貪欲の対象は『精』…精が全てに優先するのじゃ」
「そうなのか?」
「ええっお恥ずかしながら…私だって同じですよ! 他の皆さんもです…こんな最高の『精』見逃すわけないじゃ無いですか? これが手に入るなら人殺しを始め、どんな犠牲も厭いません」
「それって特典じゃなく『押し付け』っていうんじゃないか?」
「あははっそうとも言いますね?」
此奴開き直ったぞ…
「あの…俺は勇者だから、もし俺の奴隷になるなら魔王と戦う事になるぞ」
「それは構わぬよ…其方の『精』は最高じゃから…それが貰えるなら魔王と戦う位何ともないわい」
「冗談だろう?」
「冗談ではありませんよ…その位リヒト様の『精』は凄いのです」
「それにじゃ…其方が寝ているうちに、全員が『奴隷紋』を刻んでおる…もうとっくに成立済みじゃよ」
なに勝手な事をしているんだ…
「それじゃ、勝手に奴隷紋を刻んで奴隷契約をしたって事か?」
「はい、そういう事ですね」
「はぁ~もう良い解った」
「それじゃあ」
「終わった事は仕方が無い…それじゃ俺は此処を出て行くから自由に今まで通り生活してくれ」
「なんじゃそれは」
「いや…よく考えたら奴隷になっても命令しなければ良い…それだけじゃないか?」
「待て、それは無いのじゃ…これからわらわ達と酒池肉林の生活をじゃな」
「それは今は良いや…それじゃ俺は出て行くから、そのまま動くなよ」
「待て、せめてわらわだけでも連れて行って欲しいのじゃ」
「雅様ズルいです」
「自分だけなんて…酷い」
揉めている間に俺はその場を後にした。
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