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第2話 婚約破棄...ありがとう..本当に感謝しかありません...本当ですよ。 黒薔薇誕生 バースデイ

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私の名前はマリア。

ルドルフ子爵家の次女だ。

子爵と言えば凄く聞こえは良いけど...実質は貧乏貴族。

しかも、私の親の領地は片田舎。

うん、ちょっと裕福な平民と実質何も変わらない。

それなのに、それなのにだ私は何故か、この国の王子フリードの婚約者に抜擢されている。

正直これは異例の事なのだろうと思う。

貴族の娘なら誰もが喜ぶ栄誉なのだろうと思う。

だけど...これは私にはただの苦痛でしかない。

多分、この国の王女や王妃の条件が何かを知れば...多分..なりたくないそう思うはずだ。

少なくとも私にはただの苦痛にしかすぎない。

これは私の過去の物語....

楽しい日々とのお別れの物語...


その日私は領地にある港町を歩いていた。

護衛? そんなの要らないって...ここは凄い田舎だもん。

お父様じたいが街の人に好かれているし、知らない人も少ない。

だから、全然、安全だ。

「マリア様、良いリンゴがあるんだよ..一つ上げるよ」

「ありがとうおばさん」

ねぇ、貴族って感じしないでしょう?

田舎の貧乏貴族なんてこんな物だって。

だが、この日は少し、いや少しどころじゃない..違う日だった。


港に近い倉庫街を私は歩いていた。

この先の景色が好きで私は良くここを通る。

いつもどおり、鼻歌を歌いながら歩いていると何故か目の前に血の跡があった。

その血に目を奪われる。

好奇心にかられて、血の先を見た。

そこには....1人の騎士が倒れていた。

倒れていた騎士と目が合う...地方領主の娘とはいえ貴族だ、国の騎士が倒れていたら放っておけない。

騎士の元へ駆けつける。

「良かった..ここで味方に会えるとは...貴方はルドルフ様の娘様ですよね」

「はい、マリアと申します...手当をさせ」

「それは良い..それより、この暗号、「ひとものかのほるものか」この暗号をお父上を通して宰相のロゼル様に伝えて貰いたい」

「それよりも手当を」

「マリア殿、これは国の一大事に関わる事だ、騎士1人の命なんかより遙かに重い..急いで」

《この服装は王家直轄の白薔薇騎士団..それが重要というんだ...田舎貴族の私だってその重要性が解る》

「わかりました、「ひとものかのほるものか」ですね..覚えました、直ぐに父に伝えてきます」

騎士が微笑んだ気がした。

「頼みました」

私は直ぐにその場を離れようとした。

「居たぞ、あそこだ!」その声がしたかと思うと、複数の男の足音が聞こえてきた。


「ここは私に任せて逃げて下さい」 

私は頷くとすぐに走り出した。

後ろから騎士の断末魔の声が聞こえてきた。

追手がすぐそこまできた。

私は、近くにあった樽を転がして時間を稼ぎ逃げようとしたが...


「うん、何処に逃げようと言うのかなお嬢ちゃん!」

目の前に男が現れ...私の頭を殴りつけた...私はそのまま気を失った。


気が付くと私は真っ暗な部屋にいた。

体が動かない...完全に拘束されているみたいだ。

急に明るくなった...

「気が付いたようだね...」

「ここは一体どこですか?」私は震えながら聞いた。

「それはお嬢ちゃんが知る必要は無い事だ...それより君は、騎士から何か聞かなかったかね?」

《多分、あの暗号は重要な機密だわ...しかも国の一大事に繋がる物》

「何も、何も聞いてません...ここから帰して...お願い」


「それは、嘘だね! お嬢ちゃんの眼を見れば解るよ...ほら目が泳いでいる...嘘つきには罰が必要だね」

「痛い痛い痛い痛い...髪を引っ張らないで...痛いわ」

「それは良かったね! これで罰は終わらないよ!」

ブチブチブチッ...髪の毛が一房分引き抜かれた...そこからは血が流れていた。

「そんな、私の髪が、私の大事な髪が..酷い」

「嘘をつくからいけないんだよ...本当の事を言えば...何もしない」

「痛い、痛いのよ...何で何で何で、私にこんな事するの、私は何も知らないわ..本当に知らないのよ!」

《これでも貴族なんだ...言える訳が無い...騎士が命に代えてまで守ろうとした秘密だ》

「強情だな、私もこんな事はしたくないんだが...」

「なっ何でナイフを私の指にあてているの..ねぇ..」

「お嬢ちゃんまた嘘をついたね!罰を追加だ」

《嘘、そこは私の薬指...まさか》

ゴキッ ボリっ

「私の薬指が、大事な薬指が..」

「お嬢ちゃんがが悪いんだよ...可愛そうにお嬢ちゃんの婚約者は何処に指輪をはめれば良いのかな?」

「本当に、本当に知らないの...知っていたら教えるわ...ねぇお願い、お願いしますやめて下さい」

「だから、本当の事を言えば帰してあげるって言ったよね?嘘をつくお嬢ちゃんがいけないんだ...また嘘ついたね!」

「嫌、嫌、嫌、嫌だよー」

私の残り四本の指に男は刃物をあてがうとそのまま上からハンマーで叩いた。

「うぎゃがやがやぎゃーっ 痛い、あたしの指、あたしの指ー」

下を見ると指が落ちていた。

《そうだ、嘘をつこう、助かるにはそれしかない》

「言います、本当の事を言いますから助けて下さい」

「....やっぱり嘘だったんじゃないか...」

男は再び私の残り髪を掴んだ。

《嘘嘘嘘嘘...髪を全部引き抜こうと言うの..》

ブチブチブチ...メリメリメリ...凄い音がした。

指を切断された以上の痛みが頭に襲い掛かってきた。

「痛い、痛い、痛い、痛いのよー もう辞めて、、うぐっうぐえん..」

「あーあ、お嬢ちゃんが正直に話さないからこんなになっちゃった」

男は鏡を私に見せた。

髪が全部なくなっている...しかも一部は血が流れて頭蓋骨が見えていた。

「そんな、これが私、嫌、嫌だ」

《これじゃ多分ポーションでも治らないわ》

「本当の事をいうんだったな..」

「はい、本当の事を言います...ほげちょびん、ほげちょびんです」

「お嬢ちゃん俺をおちょくっているのか?」

どが、どき、バキ どご、男が私の顔を殴った、歯が折れたのと鼻が折れたのが解かった。

「ぎゃぁー痛い痛い痛い..おちょくってなんていません、暗号です、暗号」

「それならちゃんと言えよ」

男が私の鼻にストローを刺した。

「それは罰じゃない、ご褒美だ、そうでもしないと息ができなくて死んじゃうからな...素直になったご褒美だ」

「いたー痛い、苦しい、苦しいいっそ、殺して、殺して下さい」

「駄目だな...そうだ、情報が正しければ楽に殺してやろう...約束するぜ...最初から素直に言えば綺麗なままで死ねたのに」

男が私に鏡をみせた。

《これが私...最早化け物にしか見えない..もう、女としての幸せは望めないわね》

私の中の何かが目覚めた気がした。
..........................................


........................

男が帰ってきた。

「お嬢ちゃん、いやお前騙しやがったな」

《何かしら? 多分ミスしたから焼きでも入れられたのね...私に比べたら大した事無いじゃない》

「嘘はいってないわ..本当よ」

《なんだ、此奴さっきまでと何かが違う」


男は私の服をはぎ取った。

「何、私を犯そうと言うの..醜い化け物女...よく犯せるわね」

「俺は拷問担当だ、そんな事はしねーよ..」

男は私の乳首をつまむと思いっきり針をさした。

「痛い、痛い、痛い、痛い..やめて」

「嘘をついた罰だやめねーよ」

もう片方の乳房をナイフで切り落とした...床に落ちた乳房を男は踏みつぶした。

「あははははははははは.....終わったわ...私...終わったわ..もう良いわやりなさい...今度は目を潰すのかしら、耳を削ぐの?」

「お前..」《此奴、可笑しくなったのか?》

男は私の目をくり抜いた...眼球が床に落ちたのが見えた。

「痛いわね...これで片目が見えないわよ..わははははっははは...誰が言うもんか! 私が言わなければ貴方達困るのよね...ははは」

右足が切断された...

《あれっ可笑しいわ...今迄程痛く感じない..麻痺したのね》


「足を切断したのかしら?....いいいわ、やりなさい! 絶対に私は言わない...どうせ連続令嬢殺人事件も貴方達がしたんでしょう? 最初から私..助からなかったのよね...嘘つきが良く言うわ」

「お前は一体....何者だ?」

「知らないわ...ただのか弱い女性よ...ゴミ人間、さっさと殺しなさいよ!」

「煩い、煩い煩い煩い」

《怖い、拷問管をしていて、こんな悪魔みたいな奴に出会ったのわ初めてだ...まるで悪魔つきみたいだ》

「あら、やらないの? まだ片手と片足が残っているわね..目だって片方あるし、耳も両方あるわよ...乳房だって片方針つきであるわ」

「お望み通り、壊してやるよ」

「ええ、壊すと良いわ...だけど、絶対に私は喋らない...困ったわね...多分貴方責任を取らされるわね」

《ここまでされたんだ...絶対に喋るもんか...クズ人間》

「へぇー耳からするの?」

ブチブチっ

「両方いっぺんに取るなんて勿体ないわね..2回にして取れば2回苦しめられたのに...残念ね」

《こいつ...本当に人間なのか?泣き喚かなくなったぞ》

「今度は目なのね....うふふふふふ...やれば」

《.....》

「本当に馬鹿ね...目は最後まで残しておかないと...楽しみが減るわよ」

《怖い...可笑しい、俺は拷問のプロだぞ》

「とうとう、心臓を刺したわね..ゴフっ....お前の負けだわクズ人間...情報も聞けず...まだ数か所拷問できる場所があるのに放棄したゴミだわ」


「俺は何をしてしまったんだ....拷問の対象を殺してしまった...こんな事初めてだ」


「くーず....」

けたたましい足音が聞こえた。



私は光の中で目覚めた.....

あれっ可笑しいな...私は拷問の末に死んだはずじゃなかったっけ。


「「「「「「「「パチパチパチパチパチ」」」」」」」」

何で拍手が聞こえてくるんだろう。

「「「「「「おめでとうございます」」」」」」

あれっ真っ黒な鎧を着た騎士が数名私に跪いている。

《夢なのかな》

「そうだ、私..」

体を触った...目も見えている。

「大丈夫ですよ...傷一つついて無いわ」

「えっ、王妃様?」

私は直ぐにベットからおりて跪こうとしたが止められた。

「そんな事しなくて良いわ...貴方は特別な存在になったのよ」

「特別な存在...?」

「ええっ黒薔薇候補...次期王妃候補になったの」

「何がなんだか解りません...」

「さっき拷問があったでしょう?あれはね時期王妃候補、黒薔薇になれるかどうかの試験なのよ」

「試験?」

「そう、国に対する忠誠心の試験...そして見事に貴方は合格したのよ」

「だけど、私死ぬような怪我をしていたと思うんですが....」

「それは秘薬、リクシャーで治したわ」

「それは国宝ではないですか?」

「黒薔薇に比べたらゴミみたいな物だわ...黒薔薇は王家の宝だもの」

「あの..もしあの試験に落ちていたら...」

「そのまま放置して見捨てるわね....ゴミに国宝は使えないわ」

「はぁ...もしかして連続令嬢殺人も」

「この試験に落ちた者達ね」

「そうだったのですね」


「さてと、最初の合格者の貴方には何かプレゼントをあげるわ....何でも言いなさい..国宝でも良いわよ」

「では先程、私に拷問を加えた男を下さい」

「それが貴方が望む物ですか? 解りました」

《ゾクゾクするわ、この子、こんな田舎に来たかいがありました》


「見させて頂いても良いかしら?」

「面白くないですよ」

「王妃様...黒薔薇様、助けて下さい..俺は命令に従っただけじゃないですか...忠実に」

「駄目ね...新しい黒薔薇候補の頼みだもの...無理だわ」


《凄い、凄いわこの子...天性のものがある...黒騎士の中でも日が浅い者は気を失いかけている》

《人は此処まで残酷になれるのね...私以上だわ...彼女なら私の跡をついで、いやそれ以上の黒薔薇になれる》


「終わりました」

《拷問して顔色一つ変わらないのね...それどころか艶ややかだわ...》

「決めました...今日から貴方が黒薔薇よ」

これは異例な事...本当は王子と結婚して王族になって初めて黒薔薇になれる。

だが、この子になら先渡ししたい...

この子がいれば...王家は安泰だ。



こうして私は、黒薔薇になった。

なりたくも無いのに.........
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