伝説の悪党は今の虐めは甘すぎると笑う。

石のやっさん

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誘拐とシスコン

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とうとう3年から呼び出しが掛かった。

放課後に河川敷に来い…そういう内容だった。

名前は、森と久保田と連名で書いてある。

決闘状なんて古いな…

しかも、森は『極悪少年愚連隊』とも繋がっていやがる。

今回は『数でくる』そうに決まっている。

それに対してこっちは無勢…終わった…なんて思うか…バーカ。

森も久保田も甘めーんだよ。

こういう奇襲は間髪入れずにやるから効くんだ…相手に時と場所を教え、間を置いた時点で『もうおしまい』先手を打たれて大変な事になる。

とはいえ、余り時間がねーんだよな。

「先生…腹が痛いから早退すんわ」

「おい、田向…そういう事は教師が決める、まずは保健室でだ…」

「うるせーよこの糞教師…痛っいてぇー――っ、早退だっんだー-っ」

「ああっ解った…早退だな」

いちいち文句言うんじゃねーよ。

三年は平気で顔パスで帰るんだからな…

久保田の奴がこっちを睨んでいる。

まぁ『逃げる』そうとるだろうな…

だが、此処で逃げたらこれで俺は終わる。

一度、負けちまえば…落ちるところまで落ちる…だから引く訳にはいかねー。

先公が後ろを向いた瞬間、俺は久保田の頭を思いっきり殴った。

「痛ぇぇぇー――っ」

「お前は…もう終わりだ」

そう小さく久保田に伝えると俺は教室を後にした。

多勢に無勢…俺はどうするべきか?

前の時から考えると対処は3つ。

① 銃を手に入れてぶっ放す…今からじゃ間に合わねー。

② 車を盗んでひいてしまう。…そのあたりにある車で引いてしまえばどんな奴でも終わりだ。

③ 人質をとる…この場合は誰の人質を取るかだ…



◆◆◆


「君が大隅歩美ちゃん?」

「うん、そうだけど…お兄ちゃん誰?」

「僕は健くんの友達で田向良治っていうんだ?お兄ちゃんに頼まれて迎えにきたんだ」

「えっ、そうなんだ…それじゃお兄ちゃんの手下なんだね」

「そうだね…確かに手下だぁぁぁー-。それじゃ行こうか?」

「うん」

ここの幼稚園は普通にみんな歩いて帰る。

だが、過保護な大隅健は自分か手下に必ず迎えに行かせる。

『此奴が極悪少年愚連隊の頭、大隅健の弱点だ』

これで随分と状況はこちらに傾く。

◆◆◆

「私、旅行から帰ったばかりなんだけど? これお土産…はい! それで、その子は何? 流石にロリコンには手を貸したくはないけど…」

「萌子…流石の俺もそんな趣味は無い…それで歩美ちゃん、お姉ちゃんと夜まで遊んでいてくれるかな? その代わり、出前で好きな物奢っちゃうよ…あと、そうだ欲しい物ある?」

「うんとね、ゲームソフト…真ん中暮らしが欲しい」

「夜まで、遊んでてくれたら買ってきてくるよ? そのあとは家まで送ってあげる」

「解ったよ」

萌子に目線を送り、キッズスマホとブザーを隠すように指示した。

これで良い…歩美ちゃんと写真を撮ってこれでおしまいと。

「それじゃ、萌子頼んだ…あの部屋は鍵が掛かっているけど近づけさせるなよ…それじゃーね歩美ちゃん」


◆◆◆

俺は歩美から健の電話番号を聞いてある。

これで勝ちだ。

「こんにちわ~健く~ん」

早速電話した…

【電話にて】

「なんだお前ぇ? 誰だ?」

「俺は田向良治…これから久保田と森…まぁあんたの仲間にボコられる予定の者だ」

「なんだ、お前手心を加えてくれ…あっもしかして止めてくれとかいうのか? 良いぜ…金さえ出せば、止めてやっても良いぜ、だがよー-っかなり金積んだみたいだがお前に出せるのか? あん?」

「そうですね…なら300万でどうです」

「300万? 良いぜ!」

「そうですか…いやぁ良かった。実は大隅歩美っていう子をね、さっきさらってきたんですよ。なかなか可愛いから、オタクのロリコン野郎に高く売れそうなんですよ…なぁにこの子ならエロDVDにしても金が取れそうだ」

「おい…おい、まさか歩美って…俺の妹じゃねーか! ふざけんじゃねーよ! お前殺すぞ!」

「ええっ攫わして貰いました…どうですかね? 妹さんの価値…300万処か1千万の価値があるんじゃないですか?」

俺はそう言いながら、俺と歩美が映っている写真も送った。

「おい…本当に歩美じゃないか? なぁ…妹に何する気なんだ…なぁ…」

「さぁ? それは健、貴方しだいだぜ! そうだな…森は兎も角、久保田は殺してくれないか? なぁ久保田を殺すだけで妹ちゃんは返してやるよ…どうだ?」

「お前、ふざけんなよ、流石に殺しはやらねーよ!」

「そうか? もし何だったら森をとおして久保田に聞いて貰っても良いけど…俺も殺しはした事は無いけどさぁ、人の顔を焼いた事はある。…歩美ちゃん顔を焼かれたら、その後の人生どうなるのかな」

「止めろ…そんな事しやがったらお前殺すぞ!」

「なら、久保田を殺した方が良いんじゃねーか? そうしたら歩美ちゃんも無事…俺に関わってこねーなら、二度と関わらねーよ」

どうせこの手の奴は…人は殺せねー。

まぁ三流だ…

「それは流石に出来ねーよ、なぁ頼む…妹、妹を助けてくれ、返してくれよー――っ」

「そうだな…それなら俺の代わりに久保田と森に焼きいれてくれねーかぁ。殺しが出来ねーなら、再起不能でよいや。 あっ、それさえしてくれるなら今後はお互い不干渉で良いぜ、俺はもうお前の妹に手をださねー。そっちは俺の中学から手を引く…どうだ?」

「俺の妹の保証は?」

「それは信じて貰うしかねーな…ただ今現在、お前の妹は美味しい物を食べてゲームして遊んでいるよ…それにな歩美ちゃんにはゲームをプレゼントしてあげる約束をしている…まぁお客さんだ。だが、敵に回るなら、一生会えないかもな? もし会えてもチャイルドポルノスターかもな? ああっ二目と見れねー化け物みたいな妹かもな…」

「解ったやるよ…それで良いだろう…」

「それで、俺は現場に行けばよいか?」

「来なくて良い…お前は、妹に約束のゲームソフトを買って来い、約束は約束だ、怖い思いさせないで家に帰せ…久保田と森には俺がしっかりと焼きを入れてやる…良いな? 妹には一切怖い思いをさせるな…させたら」

これ以上追い詰めたらヤバい。

余り追い詰めたらこっちに牙をむくかも知れねー。

此処で終わりにした方が良いだろう。

「それじゃ…頼むわ。俺は約束だから『真ん中暮らし』買ってくるわ…終わったら写真を数枚メールでくれ…そうしたら妹を指定の場所に送っていく」

「解った」

◆◆◆

「歩美ちゃん、はい約束の『真ん中暮らし』」

「お兄ちゃんありがとう! お姉ちゃんもお寿司ありがとう! ゲーム楽しかった」

まぁここは元は哲也の家だ。

大型テレビにゲームステーション6を繋いでいるんだ…まぁ楽しいよな。

「それで、お兄ちゃん、今忙しくてもう少し此処で遊んでいて欲しいらしいんだ。電話が来たら送っていくから、もうちょっと遊んでいて欲しいんだ」

「うん、解った…それじゃお兄ちゃんも遊ぼう?」

「ああっ解った」

この俺がガキと遊ぶのか…まぁ良い。

久保田と森退治の代金だと思えば安い物か…

「あれぇ~良治は子供が嫌いじゃなかったのかなぁ~」

「ああっ、これはお礼だ、お礼」

何だか妙にニヤニヤしている萌子と一緒に双六みたいなテレビゲームで遊んだ。

暫くしたらスマホに写真が届いたので歩美を送る為に外に出た。

5分も歩くと大隅健に出会った。

「よっ、歩美、随分楽しそうだな」

「うん、お兄ちゃんとお姉ちゃんに遊んで貰ったの、あとねほら『真ん中暮らし』買って貰った」

「良かったな」

「うん」

もっと怖い奴かと思ったが…優しいお兄ちゃんしているじゃないか?

「お前、ちょっと歩美を送っていってくれ」

「解ったよ健くん」


◆◆◆

「お前本当に汚ねーな…だが妹に関して約束を守ったから、俺も約束は守る…二度と妹に手をだすんじゃねー――ぞ」

「それは断る」

「そうか? なら…許せねーな」

「待て、俺のまぁ彼女がお前の妹と友達になっちまった…だから、次は人質じゃねー。友達としてだ」

「そうか…それじゃお前も妹の友達…そういう事か? 糞野郎」

「まぁな」

「ハイハイ…それじゃ仕方ねー…ほらよ、俺からのプレゼントだ」

俺が箱を開けると…指が数本と耳が入っていた。

「あいつらは『まだ手駒』としか思ってねー。妹を危険に晒した…けじめもプラスしてるぜ…まぁもう真面に歩けねーかもな、かなり腰をバットでいわしたからね…殺しは割が合わないからやらないだけだなんだよ~。だって確実に刑務所行きだからねー。二度と歩けない位やっても喧嘩なら、暴行傷害で済むからさぁ」

「そうか、確かにそうだ」

此奴、結構ヤバい奴だ。

俺と同類かもな…
「そうそう…お前の彼女妹と友達なんだよな? 俺がこんなだから歩美、あまり友達が出来ねーんだよ…お前らそのまま友達でいろ…それがお互い幸せだ(笑)」

「俺はガキは嫌いなんだよ」

「おいおい、俺たちはクズだが『友達』は大事にするぜ!田向お前は違うか、あん?」

俺は友達には裏切られてばかりだった…

だが、本当の『友達』なら…大事にするのは当たり前だ。

あのガキと萌子…楽しそうだったな。

「そうだな、お前は正しい」

「そうかだったら『妹を泣かせるな』 それだけ破らなければお前達は『妹の友達』手は出さない…それじゃあな」

そういって手をヒラヒラしながら去って行った。

彼奴『絶対に俺がガキには手を出さない』

そう思っているよな?

箱の中に耳が3つに指が4本あった…

敵に回したくねーから…関わるのはやめよう。












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