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ディナー
しおりを挟む萌子と一緒にフランス料理の店に来ている。
案外、当日でも予約ってとれるのな…
「良治…幾ら美味しい物って言っても此処は高過ぎない?」
女や仲間に見栄を張るなら高級な店に限る。
結構な門構えの店でも1人3万円見てればお釣りがくる場合も多い。
今日、予約入れたのは1万8千円のコースだ。
これでも上から2番目のコースで6品+デザートがつく。
最も飲み物は別、ワインを飲みたいが中坊だからジュースかウーロン茶だな。
「偶には良いんじゃねーか? 何時もお互いに貧乏しているんだからな」
「だけど、良治、本当に大丈夫?」
「気にするな…この位は何とかなる」
萌子と話していると店員が気がついたようだ。
「予約した田向です」
「ご予約頂いた田向様ですね、どうぞ」
ここはビルに入っていて景色が良い。
窓の近くの景色の良いテーブルに案内してくれた。
勿論、ドレスコードはあるが、ネクタイ着用までの厳しい物ではなくTシャツジーンズは駄目という軽い物。
案外、学生服とセーラー服は万能で厳しくないお店ならドレスコートをクリアしている。
あらかじめ、自分達が未成年であることは伝えてあるから、余計な詮索は無かった。
『親からのご褒美』そんな感じで予約をとった。
「お飲み物は何にしますか?」
「ウーロン茶を」
「コーラでお願いします」
萌子は何だか緊張しているな。
俺は、今は兎も角『慣れている』から大丈夫だ。
ヤクザを破門になる様な俺だが、悪い事するには『見栄』も必要だ。
弟分に見栄を張る為に、料亭もこう言う店も経験済みだ。
結構、厳しく…マナーが出来ないと『兄貴分や親分に恥をかかせた』と鉄拳制裁は当たり前だ。
座る位置を間違えたと言うだけで指が無くなる。
ヤクザも少し上になったら…案外マナーは出来ないと洒落にならない。
「メインはお魚とお肉から選べます、魚料理はヒラメの包み焼きで、肉料理は子牛のソテーです」
「それじゃ俺は肉料理で、萌子はどうする?」
「私も肉で」
「畏まりました」
それから、直ぐに前菜が出てきた。
「前菜はサーモンを使いクリーム状にムースにした..」
料理の説明が始まり…
「外側の小さなスプーンをお使い下さい」
最近はテーブルマナーも楽だ。
どれを使って食べれば良いかしっかりと説明してくれる。
食べる時に音でも立てなければ、マナー違反にはならない。
「なっ、萌子、余り気にしないで良かっただろう?」
「知らなかったぁ~ちゃんと教えてくれるんだ」
「ああっ、ドラマと違って料理の説明と同時に、ちゃんと説明してくれるんだぜ」
まぁ、あらかじめお願いすればだがな。
こんなサービスは普通にあるなんて知らない事の方が多いよな。
「案外らくだね」
「まぁな」
「お飲み物h如何ですか? パンの追加は如何でしょうか?」
「それじゃ、俺はウーロン茶とパンの追加お願いします」
「私はオレンジジュース、パンは大丈夫です」
「畏まりました」
楽しい食事の時間は案外早く終わった。
◆◆◆
「良治、ありがとう」
「俺の女だからな、これ位はしてやるよ」
「それじゃあ、私今日は頑張っちゃおうかな?」
「今日はそれは良い」
「嘘、まさか私に飽きちゃったとか言わないよね?」
「言わない、今日はこれから仕事だ、仕事、その代わり明日はこのホテルで一晩中返さないからな」
偶にはこう言うのも良いだろう。
「嘘、ここ高級ホテルだよ…高いよ」
「気にするな、その代わりちゃんと親に泊りの説明しておけよ」
「うん、ちゃんとしておくよ」
「なら良い」
俺は萌子を家まで送っていった。
しかし、何時も自分から腕を絡めてくるし、バカップルに周りから見える位いちゃついてくる。
哲也とは本当に付き合う…そこ迄いって無いかもしれないな。
「さようなら」
「また明日」
さぁ、これから哲也に追い込みを掛けないとな。
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