伝説の悪党は今の虐めは甘すぎると笑う。

石のやっさん

文字の大きさ
上 下
27 / 65

逃げ得は許せねー

しおりを挟む
「ただいま~母さん」

「良治ちゃん、お帰りなさい、嘘、怪我しているじゃない。また母さん学校に抗議しにいくわ」

親が抗議して終わるなら虐めなんて発生しない。

「大丈夫だよ!母さん、俺だって虐められっぱなしじゃない、これからはやり返すから安心して」

ああっ、歯が浮く…やり返すってよりは『おもちゃ』だな。

今迄搾り取られた分は、何百倍にして返して貰う…それだけだ。

「本当に、大丈夫? その顔は…凄く怪我しているじゃない」

「そりゃ、男の子だからね…ほら母さん」

俺は、サイフとシューマイ弁当を差し出した。

「良治…これ?」

「ああっ、やり返したら、奪われた分の一部のお金を返してくれたんだ、それで買った。サイフはプレゼントだ。シューマイ弁当も買ってきたから、食べよう」

「良治ちゃん、頑張ったんだね。お母さん嬉しいわ」

いきなり抱き着かれた。

凄くうざい。

だが、これは愛情表現なのは解かる。

だから、目くじら立てる必要はないだろう。

「母さん苦しい」

「そんな事言わないの、母さん良治がしっかりしてくれて嬉しいんだから」

仕方ない。

この母親、郁美は良い母親だこれ位は我慢だな。


◆◆◆

「おはよう萌子」

「良治…流石に森崎先輩は無理だったかぁ~まぁ仕方ないよね」

そう言いながら腕を絡めてきた。

俺が負けてもあっけらかんとしていて、それでいて離れていこうとしない。

俺みたいな悪党には『良い女』だ。

「いや、ちょっと苦戦したけど、森崎はスクラップだ、勝ちか負けかなら俺の勝ちだ」

「森崎先輩に勝った…すごいじゃん」

「まぁな…だが、これだけ怪我しちまった」

「それで森崎は?」

もう『先輩』もつけねーのな、なかなか良い根性している。

「もう、真面に歩けねーし、物も満足に持てねーかな…まぁ人生真っ暗だな」

「凄いじゃん!勝ったって事だよね!流石に大袈裟だけど…」

本当にスクラップなんだが…それを誇張して言う意味はねーな。
「そんな訳で戦利品もあるし、別に金も入ってくる予定もある。今日はカラオケでも何でも萌子のいきたい所連れていってやるよ」

「やった~今日はカラオケは良いや、何か惜しい物食べに連れていってくれない」

「ああっ良いよ、連れていってやるよ」

そのまま学校に行くと、クラスの人間の様子は一変していた。

「おはよう」

「おはようございます…田向さん…失礼します」

「おはよう田向くん、それじゃ」

俺が挨拶する度に目を伏せて直ぐに目の前から立ち去ろうとする。

俺が怖いのか…うわはははっ怖ぇよな。

『森崎』ってあれでもこの辺りじゃ有名な不良だったんだぜ。

それがもうスクラップなんだからな。

もしかして噂を聞いたのか?

まぁ良い…

「よっ石川…ちゃんと持ってきたか?」

「…はい…10万円…あの、森崎さんが学校に来てなくて、その噂を」

「ああっ、森崎ならスクラップだ…人生終了だ」

なんだ此奴青い顔して…おおよその事は知っていただろうが。

「なぁ、田向…その森崎先輩、入院して手術するって聞いたんだ…学校中その噂で持ち切りなんだ…何したんだよ」

馬鹿か此奴、それを聞いてどうするんだ。

「ああっ、不良をしてれば怪我したり、死ぬのはあたり前だ…不良なんだからな…そんな気が無いなら不良なんて辞めちまえよ」

「おい…そんな物騒な事は…」

此奴は馬鹿か。

「あるんだよ、そういう世界だ」

「凄いね良治、本当に森崎先輩潰しちゃったんだ…流石」

「萌子、疑っていたのか? 俺は嘘は言わねーよ」

「そんな事ないよ…ちゃんと信じていたよ」

「なら、良いわ」

「あの…それじゃ俺行くから…」

「明日からちゃんと金持ってこいよ」

「解かった..」

石川はとりあえず、これで良い。

「久保田~」

「解っている..ほら1万円はいっている、これで許してくれ」

「まぁ良いよ…哲也は?」

「俺は知らねー…今日も学校に来てねーよ…」

もしかしてもう彼奴、転校手続きが終わる迄…来ないのか。

「そういえば、哲也の親父って家に余り居ないのか」

「そう言っていたよ」

萌子とのデートが終わったら行ってみるか…逃げ得はさせねーよ。


しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...