勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん

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第59話 空竜艇にて

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頭に袋をかぶされ馬車に乗せられた。

これから、馬車で王都の奴隷商人の所に行き…そのまま『主人になる人間』の所迄送られるそうだ。

相手については教えて貰えなかった。

こんな使い物にならない片腕奴隷を買う人物。

きっと…私達に恨みを持っている人物か…慰み者にするに違いない筈だ。

馬車で揺られていると罵声が聞こえてきた。

「お前が飲んだくれている間に…俺の、俺の娘はオークに連れていかれたんだ」

「お父さんとお母さんを返して!」

なんで私達を責めるんだ。

私もミルカも確かに遊んでいたかも知れない…

だけど、ジョブが違っていても剣位持てるし…戦える。

何故、死ぬ気になって戦わない『あんた等』に言われなくちゃならないんだ。

私やミルカだって負けたら苗床の戦いをしていたんだ。

『戦わない奴』に言われたくない。

『たった1回負けただけで…奴隷になる人生』

私は私なりに頑張ったよ。

それで、文句言うなら…自分がやればいいじゃない。

自分は戦わず『楽しく生きて』負けたらこの仕打ち。

『私達もクズかも知れないけどあんた等もクズだよ』

どうせ…この後『奴隷』として地獄みたいな生活を私達は送るんだから…

『私達が奴隷になって嬉しいでしょう?』

良かったね…

◆◆◆

「お前達が、リダとミルカか?」

目の前に大男が居た。

多分、この男が奴隷商人だ。

「そう…です」

「はい」

これから先私達は檻に入れられるんだな…

大男は私達を品定めするように上から下まで舐める様に見ていた。

「俺の名はセバス…まぁ見ての通り王宮ご用達の奴隷商人だ! お前達が購入できるチャンスがあったら購入して欲しいと頼まれていてな、その方の『代理人』として購入させて貰った」

誰だろう?

もしかしてロマンスクラブの…そんな訳ないか?

「一体誰? ミルカは心当たりある?」

「私も無いよ…一体誰かな?」

「悪いが…俺は只の代理人だ。依頼人の希望で…たどり着くまで名前は伏せる事になっている。お前達は商品だから、此処からは丁重に扱ってやる。この店でシャワーを浴びて、服を着替えろ…それが終わったら、すぐに出発して貰う」

「「何処に?」」

「秘密だ…だが、空竜艇を頼まれて用意した…凄く遠いのだけは教えて置く」

何もかも秘密…怪しい。

だが、私もミルカも手が無い。

幾ら若いとはこんな女を態々買う人間は居ない。

しかも空竜艇まで使うなんてどう考えても可笑しい。

空竜艇を使う位なら普通の奴隷が10人は買えるはずだし。

まさか家族が死んだ恨みとか…その可能性もあるかも知れない。

余り期待しない方が良い…生きていられるだけまし…

「リダ…」

「ミルカ、もう仕方ないじゃん!諦めよう…多少乱暴な事されるかも知れないけど『奴隷』には権利があるから殺されたりはしないから大丈夫だよ…あっちの方は拒めないけど…これは仕方ないよ! 手が無いのに買ってくれた…そう思おう」

「そうだね…死ななかっただけマシだよね…」

「お前等、いい加減すぐに支度しろ! お前等2人に金貨100枚も出したから、高級奴隷扱いしているんだ…早く支度しろ」

「「解かりました」」

こうして私達は得体の知れないご主人様の元に送られる事になった。

◆◆◆

「凄いよ、流石空竜艇…豪華だね…あははは奴隷とは思えない」

「そうだね…今の所、待遇は凄く良いけど…」

ミルカも驚いている…そりゃそうだ。

服は衛生的な平民服…奴隷の服じゃない。

食事も普通の物を三食貰っている。

少なくとも『雑に扱われていない』

これなら怨恨関係じゃない気がする。

そう考えたら『愛玩奴隷』しか考えられない。

「ミルカ…これって、恐らく…」

「言わないで…多分、愛玩奴隷、下手したら『性処理奴隷』かも知れないよ」

「そうだよな…」

エルフとか高級な奴隷は待遇が良いって聞いたけど…

正にこれがそうなのかも知れない。

いずれにしても、私もミルカも『今後は死ぬまで好きでも無い男』に抱かれる…そういう人生しかないんだな。

「あははっ、出来たら2枚目だと良いな…」

「リダ、二枚目は態々奴隷を買わない…まして手が無いんだよ私達…そんな夢見ない方が良いよ」

「そうだね」

「うん…」

「さぁ、お前等もう少ししたら着くぞ! お前等の主人になる人が居るから、笑顔でいろよ、愛想を振りまくんだぞ…」


私達の地獄がこれから始まる。




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