勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん

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第58話 奴隷落ち リダ ミルカ SIDE

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「此処に入れ」

私たちはあのまま馬車に乗せられ牢獄へと連れていかれた。

もう私たちは終わりだ。

「痛いよ…こっちは片手が無いんだ。もう少し優しく扱えないのか?」

「そうよ、確かに敗北こそしたけど、それなりに戦っていたのよ」

どうせ待遇は変わらない。

この後はみじめな人生しかない…なら萎縮する事はない。

『死』か『奴隷』しかないんだから。


「お前らがサボって酒浸りの毎日を送っていた事を知らないと思うか? どこで飲んでいたか解らんが毎晩お酒を浴びるように飲んでいて碌に討伐もしていなかったんだ…違うか?」

そうか…行為やお酒を飲んでいる姿は知られていなくても、その後酔っぱらって帰る姿は…見られていてもおかしくない。

「そうね…確かにお酒に溺れていたわ」

「しょうがないじゃない…ストレスが溜まっていたんだから」

「そうか…しょうがない…か。だがお前らが真面に討伐していれば滅ばないで済んだ村や街が幾つもあった。俺の故郷は、滅ぼされてもうない…お前らのせいでな…俺はお前らを殺してやりたい位憎い!だが俺の仕事は牢番だ…この仕事にプライドがある。だから殺さない! お前らが逃げ出さないように見張るだけだ…とっと入れ!」

「「解った(よ)」」

本当にもう終わりだ。

よく考えたら私たちに『奴隷』は多分無い。

ストイックに戦っていた勇者のレイラが奴隷落ち。

なら、中途半端に遊んでいた私たちは多分『死』しかない気がする。

◆◆◆

「飯は不味いし、毛布も無いと…最悪だね」

「リダは随分落ち着いているんだね…」

「なるようにしかならないからね…諦めたが本音」

「死ぬかも知れないのに…」

「私はもう死ぬ覚悟はした…だから後は穏やかに暮らすだけだよ…私らが遊んでいたせいで沢山の被害が出たのなら…仕方ないだろう?」

「そうだけど…」諦めきれないよ」

「まぁ、私は私ミルカはミルカで、良いんじゃない?」

私だって本音でいうなら…怖い。

だが、怖がっても何も変わらない。

『これなら、リヒトと結婚して農民として暮らした方が良かった』

カイトはフリージアが好きだったから…そのままくっつくだろうし…

残ったリヒトを私とミルカが取り合って…もし四職じゃなかったらそんな未来がだった筈…

剣聖のジョブなんて…

今更考えても仕方がないな。

そのあと、鑑定人が来て調べたら…私もミルカもジョブが無くなっていた。

おそらく、こんな無様な生き方をしたから消えたのかも知れない。

『なくなるジョブ』

他のジョブは何をやっても無くならないのに…どこまでも腹がたつよ。

こんなジョブ…どこが良いのか最早解らない。

考えても仕方がないね。

今は寝るか…

◆◆◆

「なに呑気に寝ているんだ!起きろ!」

折角寝ていたのに…

「もう起こされるのか…」

「…」

ミルカは死んだような目をしているな。

牢屋の前に騎士が6名立っている。

ご苦労な事で腕が無く武器も持っていない女に随分物々しいな。

「お前に言い渡す…略式裁判にて二人の奴隷落ちが決まった。暫くしたら奴隷商人に引き渡すから、そのつもりで居ろ。以上だ」

「へいへい」

「…奴隷...私が奴隷…」

裁判も無しに…これか…

「裁判も無しか…」

「良かったじゃねーか! お前らに恨みがあるのか、はたまた余程の変態なのか、解らないが、お前らを買いたいという奇特な奴がいたんだな。王宮に出入りの奴隷商からの指名買いだ…死ぬまで慰み者だ…お前らにお似合いの末路だな」

「「…」」

取敢えず命は助かった。

だけど…これからは『女として本当の地獄が始まる』

そういう事だな。







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