勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん

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第54話 ワイバーンの考察

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リヒトSIDE

「そう言えばリヒトくん、今迄で一番強い獲物って何を狩った事があるの?」

「リヒトって私達と別に狩りもしていたんだよね? 一緒の時はオーガだったからオーガ?」

「ワイバーンかな?」

「ちょっと待って! ワイバーンが狩れるなら、普通に勇者パーティで戦力になるよ! フリージア、なんでリヒトくん追い出したの?」

「ワイバーンなんて私達4人掛りでも危ないのに…どうして狩れたのよ!」

「いや…お金に困ってから、頑張って狩ったんだよ」

「それにしても無理だと思うよ」

「私もそう思うな」

「カッコ悪い話だから、余り話したく無いんだけどな。まぁ良いや、説明するけどひかないでね」

ワイバーンは1年に1度狩りやすくなる時がある。

それは産卵の時期だ。

ワイバーンの雌はこの時期、手頃な洞窟に住み卵を守っている。

そこに『痺れ薬を調合した粉毒』を少しずつ流し込む。

暫く時間を置いてから踏み込む。

「まぁ、こんな感じだな」

「リヒトくん、それ可笑しいよ」

「ワイバーンが死ぬような毒を流せば、苦しくて飛び出してくるよ」

「それは、そこ迄苦しくない…痺れて動きが鈍る位の毒を使うんだ、これがミソだな」

「それならまだ充分脅威だと思うけど?」

「鋭い牙と爪…まだ危ないと思うよ」

「そこからはワイバーンを狙うんじゃなく、卵に攻撃を仕掛けるんだ。そうしたら母親としての本能なのか…間に体を割り込んできて翼を広げて卵に覆いかぶさって守ろうとするんだよ。あとはもう只の的だよ」

「ワイバーンとはいえ、少し可哀そうな気がする」

「母親の本能を使うなんて、まぁ敵はワイバーンですから気にしなくても良いけどね。それでも少し同情してしまいますね」

「俺は昔のレイラや今のフリージアの様な『超人』じゃない、只の人間だから、確かに可愛そうだけど、これしか倒す方法が思いつかなかったんだ。確かに卑怯だとは思うけど、あの時はカイト達と旅をする資金が底をつきかけていたからな…仕方がなかったんだよ」

「相手はワイバーンだし、格上だから当たり前といえば当たり前だね」

「ごめん…あの時はリヒトの事を考えてあげられなくて…本当にごめんなさい」

「気にしなくて良いよ、まぁ俺位の実力じゃこうでもしないとワイバーンなんて狩れないよ…真面にやったらエサになるだけだ」

「まぁね…あれはなかなか強烈だよね。空を飛んでいるワイバーンは捕らえるのも大変だし、あと少しという所で負けそうになると飛んで逃げる…確かに真面なワイバーンを狩るのはかなり難しい」

「勇者の時のレイラでも難しいの?」

「スピードという面で考えても手強いよ、亜竜とはいえ竜種、牙や鋭い爪はやすやすと鎧や盾を引き裂く…油断したら一瞬で死につながる相手には間違いないよ…それに逃げるのも速いから仕留めるのは至難の業かな」

確かに真面な人間ならワイバーンを相手になんてしないよな。

俺も、金に困らなければ手を出さなかった。


◆◆◆

カイトSIDE

「カイトなんで、ワイバーンなんて指定したんだよ!」

「どう考えても今の私達じゃ狩れないよ…どうしよう…」

「リダ、ミルカ、焦る必要は無い! 俺達はこれでも勇者パーティだ。魔族ならいざ知らずワイバーンなら余裕で狩れる…安心しろ」

「「どう言う事(なの)?」」

「それはな…」

俺はワイバーンの真実を知っている。

強くて有名な魔物ではあるが…恐らくは知名度程強くは無い。


滅多に遭遇しない事、空を飛べる事。

見た目の怖さに、種族が亜竜とはいえ『竜』そこに恐らく勘違いが起きている。

その証拠に、あのリヒトが狩っていた。

四職の中で一番戦闘力の低いフリージアより弱いのにだ。

あの時のリヒトはオーガをようやく狩れる程度。

俺が楽勝で狩れるオーガ相手に苦戦しながら狩っていた。

だから、恐らくは俺達なら余裕で狩れる。

「リヒトが狩れたんだ…あの時より私はかなり強くなっているよ」

「リヒトに狩れたのなら、うん問題ないね」

「まぁ、念には念を入れて3人でやれば余裕で狩れる筈だ。リヒトが無傷で狩れる獲物なんだから3人でやれば余裕だ」

「そうだね…それなら安心だね」

「そうなんだ、文献じゃ物凄く強いという物しか無かったけど…リヒトが狩れるなら問題は無いよね」

ワイバーンという抜け穴があって良かった。

これで時間は稼げたが…問題はその後だ。






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