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第47話 更に南へ
しおりを挟む「凄い事言うね、リヒトくん」
「リヒトは昔から交渉が得意だったけど…まさか教皇様や王様相手にそこ迄話すなんて…どうして出来るの?」
そりゃ頭の中に『逃げるが勝ち』があるからだな。
直接会っていたら、流石に怖くて言えないが『通信水晶』だから最悪揉めたら逃げれば良い…そう思っているからだろう。
「俺の事は半分こじつけだが、レイラに関しては完全に国のミスだ。だから、そこにつけ込んだだけだ。大体『レイラを殆どの人間が見捨てた』のは本当だからこちらが『世界を見捨てた』って文句言われる筋合いは無いな」
「確かにリヒトくん、その通りだけど、教皇様や国王様に、言えるのが凄いわ」
「普通言えないよ」
正直言えば『魔王』と戦う位なら『王国』や『聖教国』と戦った方がまだ勝ち目がある。
俺はそう思っている。
勿論、そんな事はしないが、本気でやれば『王城』位簡単に3人で落とせる様な気もしないでもない。
むしろ魔王と戦う位ならその方が多分歩がある。
「教皇も王もただの人だからな。そう考えたら『魔王』みたいに怖くない。それに魔族と戦う位なら、教皇も王の力の及ばない所迄、俺は大切な2人を連れて、更に逃げる…それだけだ」
「「リヒト(くん)」」
「これは最近気がついたんだが…結局はお金も地位も権力も必要ない。俺には『大切な人』が居ればそれ以外はただのおまけだ」
これは昭和という時代を生きた俺なりの結論だった。
DCブランドの高いスーツもローレックスの時計もスープラも結局は女性を口説く為に必要だったからだ。
高級レストランも、高級ホテルに、スキー旅行も同じ。
ヘネシーやマーテル…コーヒーならブルマン…俺には美味しいとは思えなかった。
そこ迄カッコつけていた俺の結論。
『良い女とキッチリ恋人になった奴の勝ち』
勝ち組だと思っていた人生より
『軽自動車でイチャつくジーンズにTシャツ姿のバカップル』の方が幸せに思えた。
尤も前世の俺は、それを多分手に入れられなかったのかも知れない。
虫食いで記憶は定かじゃ無いが…
「あはははっ、その大切な人って私?」
「レイラ…私達でしょう?」
「二人ともって事だよ! そんな状態だから聖教国リキスタンには寄らず、更に南、グンダール帝国に向かって進もうと思うけどどうかな?」
「確かに寄ったらまた教皇様に説得されそうだから、寄らないに越したことは無いね」
「聖女だから、確かに引き留めが怖いわね」
「なら決まった…聖教国に寄らず、取り敢えず帝国に向かう、それで決まりだな」
「「うん」」
こうして俺達は逃げる様に南に向かう事を決めた。
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