勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん

文字の大きさ
上 下
44 / 67

第44話 教皇と

しおりを挟む


やっぱりこうなったか。

「リヒト殿! やってくれたな…まさか、これが目当てだったのか」

通信水晶が強く光り出て見たらこれだ。

そろそろ、連絡する必要も無いし…これ返そうかな。

「メルカリオ教皇様…お久しぶりです」

大体要件は解っている。

フリージアの事だろうな…

「久しぶりではない。何が目的なのだ…元勇者に聖女まで引き入れて…」

「別に何も魂胆なんてありませんよ。あれはこれからの人生、戦いとは無縁の怠惰な人生を送ろうと思っています」

「元勇者パーティで、そこ迄の人材を持っていて、何もしないと言うのですか? 今も魔族による被害が起きているのですよ」

これは恐らく…嘘だ。

魔王は魔王城から出てこないし、強い魔族は滅多に魔族領から出てこない。

だが、こちらから攻めるから向こうも攻めてくる。

俺はそう考えている。

それに大きな『戦争』をしていない。

前の世界で戦争なんてしたら、国が大変な事になっている。

だが、この世界はどうだ。

勇者パーティが命がけで戦っているのに…

商人は普通に店を開けて商売しているし、酒場や娼館も普通に営業している。

そして貴族は舞踏会を開き、王は玉座から動かない。

『頭が可笑しい』

『大体、本当に魔族と戦争するなら、幾ら『超人』のように強いとはいえたった4人の勇者パーティより、万単位の軍勢で戦う筈だ』

本当の所は解らないが前世持ちの俺からしたら『本気で戦争なんてしてない』そう思えてならない。

「賢明なる教皇様ならご存じかと思いますが、魔族以上に『病気や怪我』で亡くなる人間が多い…ですから私は聖女フリージアと共に『救世』の旅に参加します」

「ですが、リヒト殿、貴方とフリージア殿、そしてレイラ殿が」

俺は話を遮るように話した。

「教皇様、レイラは前の戦いの時に、その責任を取らされ『犯罪奴隷』にされていました。 俺だって円満とはいえ、勇者カイトからクビを言い渡された人間です。嫌な言い方ですみませんが『要らない』そう判断された人間なのです。もし、俺達が教皇様の言うような有能な人間だと言うのなら、教皇様は俺達を斬り捨てた人間を罰してくれますか?」

「それは…」

流石に出来ないよな。

俺をクビにしたのは『勇者』だ。

レイラに責任を取らせたのは『王族』や『貴族だ』

「そうですね、私達二人がされた事を教皇様が、やった人間にして頂けるなら考えますが…」

出来ないよな。

勇者をクビにして王族や貴族を奴隷に落とす等…無理だ。

「それは流石にできません…」

これで良い。

「だったら、このままにするしか無いでしょうね。リヒトは使えない人間、レイラは犯罪奴隷。それを決めた人間を処罰できないなら『それが正しい』それで通すしかないでしょう? フリージアの『救世』は教皇様が許可したのでしょう?俺達は『皆が決めた』なかで楽しく暮そうとしている…それだけです」

「ですが、実際に貴方は有能ではないですか、15歳とは思えぬ発想をし、現に、元勇者と聖女を手にしている。 単純な戦力なら、勇者パーティに次ぐ力を持っています」

「買いかぶり過ぎですよ…所詮は『皆が』無能とみなし捨てられた人間です。まぁフリージアは違いますが…よく考えれば、もう勇者パーティを追放されて結構な時間が経ちました。私の様な物が教皇様や王様と話せる通信水晶を持っているのも可笑しな物です…冒険者ギルドから返却させて頂きます」

俺は『追放』は救いだと思っている。

『勇者が使えない』そう判断したと堂々と言える。

戦いたいとか手柄を立てたい者は別だが、戦闘に参加しない者にはある意味『免罪符』だ。

それにレイラは正式な裁判で『犯罪奴隷』になっている。

その際に『手足の事』も書類に記載がある。


『おかげさまで堂々と戦えない』

そう言える。

「いや、通信水晶は、聖女フリージアと共に居るなら、そのままお持ち下さい。ですが…経緯は兎も角、実際のリヒト殿は戦えるし、レイラも手足は治っている…そう聞いております…それなのに立ち上がってはくれないのですか」

しつこいな。

「教皇様、私が有能でレイラが戦えるというのなら『勇者カイトの目は濁っていた』『国王ガルア4世を含むレイラの裁判に関わった者は戦える元勇者を奴隷落ちさせた』それを公言して貰えるのでしょうか?教皇様が言われている事は、その2つを認めるという意味です。もし、どうしても戦闘に出ろと言うのなら、手柄を立てる度に堂々とそれを言いますが宜しいのですか?」

これで困るだろう。

「それは…困ります」

「でしょう? 良いですか? 私達は表舞台に立ちたくありません。皆で、面白可笑しく生きるつもりです。怠惰に自堕落な生活を楽しむつもりです。活躍しなければ『前の二つ』の立証は出来ません。だから極力は放って置いて貰えませんか」

ここまで言っても諦めないなら…

帝国から先に行くしかないな。

「解りました…今は一旦諦めます」

「そうですか…それでは失礼します」

これで、聖教国行きは無いな。

通り過ぎて帝国に行くか。






しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

鋼なるドラーガ・ノート ~S級パーティーから超絶無能の烙印を押されて追放される賢者、今更やめてくれと言われてももう遅い~

月江堂
ファンタジー
― 後から俺の実力に気付いたところでもう遅い。絶対に辞めないからな ―  “賢者”ドラーガ・ノート。鋼の二つ名で知られる彼がSランク冒険者パーティー、メッツァトルに加入した時、誰もが彼の活躍を期待していた。  だが蓋を開けてみれば彼は無能の極致。強い魔法は使えず、運動神経は鈍くて小動物にすら勝てない。無能なだけならばまだしも味方の足を引っ張って仲間を危機に陥れる始末。  当然パーティーのリーダー“勇者”アルグスは彼に「無能」の烙印を押し、パーティーから追放する非情な決断をするのだが、しかしそこには彼を追い出すことのできない如何ともしがたい事情が存在するのだった。  ドラーガを追放できない理由とは一体何なのか!?  そしてこの賢者はなぜこんなにも無能なのに常に偉そうなのか!?  彼の秘められた実力とは一体何なのか? そもそもそんなもの実在するのか!?  力こそが全てであり、鋼の教えと闇を司る魔が支配する世界。ムカフ島と呼ばれる火山のダンジョンの攻略を通して彼らはやがて大きな陰謀に巻き込まれてゆく。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

【石のやっさん旧作】『心は』●●勇者…さぁ勇者褒美をとらす! 欲しい物をなんでも言うが良い! 「はい、では●●●で!」

石のやっさん
ファンタジー
主人公の理人(りひと)はこの世界に転生し、勇者に選として、戦い続けてきた。 理人は誰にも言っていなかったが、転生前は42歳の会社員の為、精神年齢が高く、周りの女性が子供に思えて仕方なかった。 キャピキャピする、聖女や賢者も最早、子供にしか見えず、紳士な彼からしたら恋愛対象じゃない。 そんな彼が魔王を倒した後の物語… 久々の短編です。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

救助者ギルドから追放された俺は、ハズレだと思われていたスキル【思念収集】でやり返す

名無し
ファンタジー
 アセンドラの都で暮らす少年テッドは救助者ギルドに在籍しており、【思念収集】というスキルによって、ダンジョンで亡くなった冒険者の最期の思いを遺族に伝える仕事をしていた。  だが、ある日思わぬ冤罪をかけられ、幼馴染で親友だったはずのギルド長ライルによって除名を言い渡された挙句、最凶最悪と言われる異次元の監獄へと送り込まれてしまう。  それでも、幼馴染の少女シェリアとの面会をきっかけに、ハズレ認定されていた【思念収集】のスキルが本領を発揮する。喧嘩で最も強い者がここから出られることを知ったテッドは、最強の囚人王を目指すとともに、自分を陥れた者たちへの復讐を誓うのであった……。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...