勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん

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第42話 彼女達の事情

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朝、目を覚ますとおばさんと目が合った。

一緒に肌をあわせたのだから、おばさんは失礼だわね。

『お姉さん』と呼べばいいのかな?

お姉さん(仮)は目を扉に向けた。

リヒトは横で寝ているから、起こさずに外で話したい。

そういう事ですね。

「ふぅ~寒いわね」

「そうね…フリージアちゃん」

「フリージアちゃん?」

「私はリヒトくん。そう呼んでいるから、それなら、フリージアはそれに合わせて『ちゃん』が良くないかな?」

「確かにそうかもね…それで、私は貴方をなんて呼べば良いのかしら?」

「そうね…レイラで良いわ」

「そう? それじゃレイラ…宜しくね」

「宜しく!」

一緒に肌をあわせたから解るわ。

レイラは間違いなくリヒトを愛している。

悔しいけど、多分私よりきっと…愛している。

それが解ってしまったわ。

そして『割り込んできた』私も受け入れてくれた。

だけど、此処迄愛しているリヒトとの仲に、どうして私を迎え入れてくれたのか…それが解らない。

私なら『独占したい』そう考える筈だよ。

もし、私がレイラと同じ立場なら絶対にその輪に加えたりしないわ。

「それで、フリージアちゃんは子供を産める?」

「なんで、そんな事聞くの?」

「あはははっ、私って元勇者だったじゃない? 常に体を鍛えて修行をしていたから、現役勇者時代から月の物がなかったのよ…それで回復魔法だけじゃ治らないような大きな怪我を何回もしたからね…赤ちゃんは出来ない体なんだよね」

そう言えば、レイラは私達とは違う。

ストイックに体を鍛え上げて過酷な戦いを繰り広げていた。

そういう話を聞いた。

うふふっ…馬鹿ね。

これ程まで努力しても魔王はおろか幹部にも負けた。

どう考えても、私達が勝てる訳ないわ。

確かに噂で聞いていた位の修行や戦いをしていたら、そうなるのも無理は無いわ。

「それは、なんて言ってよいか…私は、今は出来ますが…実は子供はもう諦めています」

「どうして…出来るなら作った方が良いわよ!女としての幸せの1つじゃない」

「私はこう言う性格だから、きっと子供は愛せそうにないですよ。多分子供が出来てもリヒト以上に愛せないと思います。1番愛して貰えない子供は不幸です。それに『聖女』の使う魔法は生命力に依存しますから、体に負担をかけていますので…将来という意味では私も同じかも知れません」

「そうなの、聖女は聖女で大変なんだね」

「それに、私はまぁ、形上『救世』をしなくちゃいけないですから」

「そうだね」

「本気で『救世』なんてしませんけどね!(笑)」

「そんな事言っちゃうんだ」

「だって、レイラさんに起きた事を考えたら馬鹿らしいですから」

「確かにそうだね…それでね、フリージアちゃんお願いがあるの…これはもう二度とは言わないけど…私が死んだら、その後はリヒトくん…頼むわ」

そうか…自分が年上だから、将来を考えて『私を受け入れた』のね。

優しい人間には優しい人間が集まってくるのかな。

「うふふっ、レイラさん、私聖女ですよ! まだ死ぬ事なんて考えるのは早すぎますよ…頑張って長生きして貰います」

「そう? だけど私が死なないと何時までも2番よ」

「大した自信ですね…それはすぐに私が奪いますから」

「そう、精々がんばってね」


此処の方がカイトのパーティより遥かに居心地が良いわ。

リヒトとは比べられないけど…レイラも…良いな。


◆◆◆

「「ただいまぁ~」」

「おかえり…ご飯は作って置いたから食べよう」

「今日はオムレツとパンとスープ…わぁハートマーク。嬉しいな」

「リヒト…私のオムレツは? なんで私のオムレツが無いの?」

どう見ても顔色が悪いフリージアに通常食は無理だろう。

「いや…昨日は事情が事情だから無理させちゃったけど…どう見ても具合悪そうじゃん…だからフリージアはお粥にした」

「嫌だ、私もオムレツが良い…リヒトのオムレツが食べたい」

「そうか…じゃぁ俺のやるよ」

無理して食べたフリージアはその後…吐いた。

だから言ったのに。






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