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第39話 VS フリージア③ SIDE フリージア
しおりを挟むやはりリヒトは違った。
凄い…一瞬で、私はリヒトの世界に引きずり込まれたわ。
凄い…
私は聖女。
聖女は他の三職、勇者、賢者、剣聖と大きな違いがあるの。
他の三職は『ただ強ければ良い』
だけど、聖女に求められるのは『強さ』だけじゃないのよ。
司る力は『癒し』
その力は『人を怪我や病気から助ける』力でもある。
だから、戦うだけじゃなく教会から『人を救う事』を学ばせられたの。
ある意味『気高い存在』だけど…人を救うという意味では『奉仕者』でもあるのよ。
本当はそんな事を言ってはいけないのかも知れない。
だけど…この『奉仕者』の心が恐らく、SEXの中に僅かな違和感を感じ取ったのかも知れないわね。
だから体を重ね続けた時に…そこには『愛』が無い事が解ってしまったの。
フリージアではなく『聖女』を抱きたい男。
自分が気持ち良くなる為の『身勝手なSEX』
それでも確かに気持ち良いのかも知れない…だけどそれは虚しく感じる様になった。
どうしても…私には愛に伴う物とは『違う物』にしか思えなくなっていったの。
そうしたらもう駄目。
行為の後はただただ虚しさしか残らない。
本物も知らない癖に…これは『偽物』だと心が騒ぎ出す。
その違いを解らないカイトやリダ、ミルカが羨ましい。
もう、楽しいとは思えなくなっていったの。
奉仕者でもある聖女の私や教会は、女神による無償の愛を良く人に説いていた。
教義とSEXを結びつけるのは可笑しいのかも知れないけど…
カイトも含み…他の男とのSEXは『相手に対する思いやり』が無い。
ただ、『自分が快楽を貪るだけの詰まらないSEX』にしか思えない。
そこには『愛』は無い。
それに気がついてしまってからは『もうどうでも良い物』になっていた
『これは私が欲しかった物じゃない』
美少年に愛される生活…違う。
何処にも愛は無い。
だけど…やっぱり、リヒトは違ったわ。
最初はなかなか始めなくてもどかしかったけど…いざ始まったら…
「フリージア、愛しているよ…」
私の名前での愛の言葉を囁いてきたのよ…
やはりリヒトは違う…
リヒトは聖女じゃなく『フリージア』を見てくれる。
そして、愛してくれている。
やはりそうだ…リヒトの全てに愛がある。
料理を含む家事…そこにも『愛情』があった。
だから、きっと…やはりそうだった。
指が口が、私の体が喜ぶように動き出すの。
『他の男』のそれとは全然違う…私を喜ばせる為のSEX。
そう…まるで『相手を喜ばせる為』のSEX。
自分勝手じゃない…理想のSEX。
『全然違う』
恥ずかしい所迄、汚いと思わず優しくリヒトの口や舌が触れてくる。
頭がピンクに染まり…もうリヒトしか考えられない。
『相手がしてくれるからこそ私もする』
最高の楽器と奏者によって奏でる最高の演奏にそれは近いのかも知れない。
そこには、私、フリージアに対する大きな愛がある。
じゃなくちゃ『あんな事や、そんな事絶対出来ない』
私だって…相手がリヒトじゃなくちゃ『恥ずかしくて同じ事は出来ない』わ。
自分が聖女じゃなく『ただの女』になって行くのが解る。
『こんな淫らな女』
他の人の前じゃ絶対に見せられない。
何回、快感で気を失ったのか解らない…
何回も何回も頭が真っ白になり、思いの全てがリヒト一色に染まる。
「ハァハァ…凄いわ…リヒト、やっぱり、リヒトは私の事愛してくれていたのね…私、こんな気持ちになったの初めて…ハァハァ、凄く満足したわ…これが私が欲しかったもの『愛あるSEX』だわ…リヒト、私、貴方の為ならなんでもする…だから一生傍に居てね…お願い」
やはり、リヒトは…違った。
『私にとって愛おしい大切な人…癒してあげるどころか…私が癒されてしまったわ』
髪の毛の先からつま先まで『全部リヒトの物』になってしまった。
もう女神も勇者も関係ない。
この『愛』を邪魔するなら…排除するだけだわ。
私は『最愛』の男性を手に入れたの…
だけど…
「本当に性女は冷たいね…これからは一緒のパーティになるんだからさぁ…混ざりに来たのよ…さぁ行くよ」
「おばさん本気、ハァハァ冗談よね?」
「冗談じゃ無いよ?リヒトくん、私『こっち』を頑張るって言ったよね?ビッチ聖女、私達が仲が悪いとリヒトくんが困るのよ…聖女って立場なら少しは解るでしょう?」
「そうね…解ったわ」
レイラというおばさんが混ざって来たのよね。
最初は『なにこのクソババア』と思っていたんだけど…
凄かったわ…このおばさん…いや、もうおばさん呼ばわりは駄目ね。
『お姉さん』と呼ぼうかしら?
この人と一緒のSEXにも『愛』があったのよ…
私の命より大切なのがリヒトだとすれば…多分、命の次に大切な存在に、そのうちなるかも知れない…そんな気もする。
『ここが多分、私の居場所』
今の私はこの二人以外の人間に価値は…無い…そう思える程に狂っているのかも知れない。
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