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第38話 VS フリージア②
しおりを挟む重苦しい空気の中部屋に戻ってきた。
「リヒト…おかえりなさい…」
まるで病人の様なフリージアが痛々しい。
「ちょっと良いかな?」
「おばさんがなんのよう!さっきリヒトを貸してくれるって言ったよね? まさか今更、嫌とは言わないよね?」
「私は『元』だけど勇者だったんだ。約束は守る…だが、糞ビッチ…条件はつけさせて貰うよ」
「糞ビッチ…おばさん、聖女に向かって、よく言うわね」
「そうじゃ無かったら性女かな?」
「まぁ、良いわ…時間が勿体ないから、おばさん、その条件を早く言って」
なんだか、今にでも戦いが始まるんじゃないか?
そう思える程に空気が冷え込んでいる気がする。
「簡単だよ…今回は性女、アンタは暫くの時間は受けになる。それだけだよ…自分から何かするんじゃなく、最初の暫くの時間はリヒトのする事を受け入れるだけ…そこから火がついたら後はもうどうでも良いけどね」
なんでこんな条件をレイラが言っているのか解らない。
「なんで、そんな条件を…まぁ良いわ。暫くの間は私が受けになっていれば良いのね…良いわ」
「そう、それじゃ、おばさんは暫く居なくなるから、リヒトくん頑張って」
「あっ」
幼馴染だぞ、そういう対象に見た事はないんだ。
どうして良いか解らない。
◆◆◆
「どうしたの?リヒトほら、しなさいよ…リヒトからする約束なんだから」
いや、幾らなんでも唐突すぎる。
幼馴染、しかも年下の姪っ子みたいな感覚で接していた奴を簡単に抱けるかよ。
「あの…フリージア、その緊張してそのな、ほら俺達幼馴染で、それにフリージアはその…」
「リヒト…気にしないで良いから…私リヒトが好きだから、それに私はリヒトが思っている程綺麗じゃない、経験も多いし…その前から多分結構『淫乱』の気があったのかも知れない…リヒトだって見た事あるよね…覗いていたでしょう?」
気がつかれていたか。
あれは報告用でそういうつもりじゃないんだけどな。
「あれは…」
「それに私はリヒトが好きだから、リヒトを思って自分でした事があるよ…もうずうっとリヒトだけ思って1人でしていたから…」
もう逃げられないな。
「解った…腹を括るよ…」
「リヒト」
「フリージア、愛しているよ…」
「嬉しいわ…リヒト」
◆◆◆
「ハァハァ…凄いわ…リヒト、やっぱり、リヒトは私の事愛してくれていたのね…私、こんな気持ちになったの初めて…ハァハァ、凄く満足したわ…これが私が欲しかったもの『愛あるSEX』だわ…リヒト、私、貴方の為ならなんでもする…だから一生傍に居てね…お願い」
可笑しいだろう…
沢山のイケメンとしてきたフリージアが俺で満足するわけが無い。
俺は普通にしていただけだ。
なのに…
こんな訳はない。
これは多分、ピロートークだよな。
「もし俺がカイトを殺せって言ったらどうする」
「うふふっ、焼きもち…嬉しいわ…殺すわよ…勿論…ハァハァ」
冗談だよな。
「それじゃ『女神を捨てろ』って言ったらどうする?」
フリージアは聖女だ。
冗談でもこれは言わない筈だ。
「リヒトって本当に焼きもち焼きなのね…ハァハァ、捨てるわよ…本当に女神にも焼きもち焼くなんて…愛しているわリヒト…」
不味い…のでは…
そう思った時ドアが開いた。
「はぁい! 二人とも元気にやっている?あらあら凄いわね」
「レイラ…」
「ハァハァ、おばさん、なにしに来たの!」
これは気恥ずかしい。
なんで此処にレイラが来るんだよ。
「本当に性女は冷たいね…これからは一緒のパーティになるんだからさぁ…混ざりに来たのよ…さぁ行くよ」
「ちょっとレイラ…」
「おばさん本気、ハァハァ冗談よね?」
「冗談じゃ無いよ?リヒトくん、私『こっち』を頑張るって言ったよね?ビッチ聖女、私達が仲が悪いとリヒトくんが困るのよ…聖女って立場なら少しは解るでしょう?」
「レイラ…あのな」
「良いから!」
「そうね…解ったわ」
マジか…
だが、此処迄きたら仕方が無い。
もう何がなんだか解らないが…やるしかないな。
「お手柔らかにお願い致します」
「「うん」」
勇者と聖女だからか…何故か息があっている気がする。
さっき迄仲が悪かったとは思えない位に息があっている。
だが俺にも意地がある。
『女の子を満足させなくちゃ男じゃない』
「むにゃむにゃ…リヒト最高…愛している」
「う~ん、リヒトくん…大好き」
本当に疲れた…俺は前世で30年位は生きた。
だから、前世をなぞって生きたと考えたら30歳。
プラスして考えたら45歳。
いい大人だと思っていたが…この程度じゃ女なんて語れないな。
今となっては顔も思い出せない、上司が『女の中身はいつになっても解らない』そう言っていた気がする。
この位の年齢で解った気になっていちゃいけない…起きてからがまた大変なんだろうな。
取り敢えず今は…このまま眠ってしまおう。
朝が憂鬱だ。
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