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第33話 教皇から
しおりを挟むもう二度と光らないだろう。
そう思っていた通信水晶が光っていた。
嫌な予感しかしないから、レイラから離れて、その通信を受けた。
『教皇 メルカリオ様』からの連絡。
でない訳には行かない。
「リヒト殿聞いていますか…リヒト殿」
なんだか凄く慌てている。
「どうかされましたか?教皇様」
「リヒト殿大変な事になった! 聖女フリージア殿が…勇者パーティから抜け『救世の聖女』になってしまった」
あのフリージアが?
勇者パーティから抜ける事も良く解らないが、あの性格で『救世』どう考えても信じられない。
「そんな馬鹿な…」
「だが、本当の事だ! 一体どうしてくれるんだ!」
どうしてくれる…そう言われても俺にはどうする事も出来ないな。
だが、この分だと責任を俺に押し付けて来るかも知れない。
どうするべきか?
そうだ…
「良かったじゃないですか?」
「なにが良かったというのだ!リヒト殿の言う通りにしたら貴重な『聖女』を失ったじゃないか」
『聖女』ね…所詮、教皇が愛しているのは『勇者』『聖女』その称号だ。
だれも個人を見ていない。
同情はしないけどな。
「確かにフリージアを失ったのは痛いかも知れませんが、代わりに『容姿の良い女性ヒーラー』を送り込めるじゃないですか? 聖女の代わりとなれば2人位送り込んでも怪しまれません。これで都市部だけじゃなく、野営や旅の時も勇者の下の管理が出来るし、より『勇者の子供』を手にするチャンスが広がりますよ。 勿論、人選は教皇様が自由に出来るから、色々と便利だと思います。それに『救世』を選んだ聖女は過去にも居たのですから、なにか問題はありますか?」
俺ですら感じているんだ。
聖教国のトップが感じないわけない。
『今回の魔王討伐は勝てない』
『レイラが敗北したのだ、それ以下が勝てるわけが無い』
そんな事が解らない筈はない。
そうでなかったら『勇者パーティの回復役』の聖女がパーティから抜けるのをそう簡単に許す筈が無い。
勇者が好きな教皇がどう考えているか迄は俺にも流石に読めない。
だが、聖女以上に勇者を好きな教皇…この条件ならどうだ。
「リヒト殿は…本当に貴方は15歳か…解った。そうしよう」
流石に真意までは解らないが…どうにかこれで責任は逃れられたようだ。
本当の所は『もう関わりたくない』のだが、この世界は人族は一神教。
関わらないで生きていけない。
「ご納得して頂けて良かったです。ただ、私はやはり若僧で未熟者のようです。今後もアドバイスは致しますが、重要な判断はやはり教皇様の様な人生経験が豊富な方にご判断をお願い致します」
「いや、そこ迄謙遜なさらないでも…」
「いえ、今回の事で自分の浅はかさを知りました、ご迷惑を掛け申し訳ありませんでした」
「解りました。今後は私達もリヒト殿任せにせず、しっかり判断を致します」
そろそろ潮時か。
少しずつ距離を取る様にしないとな。
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