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第28話 ロマンスクラブの真実
しおりを挟む「本当にカイトの奴腐っているわ」
「か弱い私達だけで討伐に行けなんて酷いよね」
「本当に思いやりの無い奴だったんだな。勇者だから仕方ないが、もう討伐以外で一緒に行動したいと思わないな」
「そうよ!大体、大して美形でも無い癖に勇者だからって相手してあげたらこれよ!」
「まぁ、ロマンスクラブに居る男の子に比べたら、ブサイクも良い所だわ」
「ブサイクならブサイクでリヒト位気を使えっていうんだよ」
「そうよ、あの馬鹿がリヒトを追い出したから悪いんじゃない」
「そうだよね」
「うん、そうだ」
「それで今日も行くんでしょう?」
「「勿論」」
本当に腹が立つわ。
ロマンスクラブに行って美少年でも愛でないと、やってられないわ。
◆◆◆
「連日のご来店ありがとうございます!聖女フリージア様、賢者ミルカ様、剣聖リダ様 ロマンスクラブにようこそ!」
「「「「「美しい聖女様、賢者様、剣聖様、いらっしゃいませ」」」」」
「今日もまた凄い面子ね」
「うんうん、私好みの美少年ばかり、凄いね」
「凄い、私好みの線の細い子もいる、流石解っている」
「だけど、その…美形なのは解るけど、なんで此処の男の子達は、優しいの?」
「言えてる、まるで物語の王子様みたい」
「本当の騎士みたいにしか思えない人もいるよ。しかも手に剣だこまである人も居るし…」
「はははっ、この世の中で一番気高く美しいのは聖女様達でございます。その聖女様達のお相手出来る名誉、誰もが優しくなるという物です」
「そんな、私なんて」
「私、そんなに綺麗じゃないわ」
「私なんて男みたいだって言われるし」
「なにをおっしゃいますか! この世の男性は子供から大人まで一度は聖女様達との恋愛に憧れるものでございます。その夢を叶えて貰え、どの少年も一生忘れられない思い出と心に刻む事でしょう」
「そうですか…そのなんていって良いか」
「そんな大げさだよ」
「そのありがとう」
そうよね、私達…凄く可愛いものね。
◆◆◆
【リンドール王国&リヒト】
「リヒト殿、なんと申しました?」
通信水晶で連絡が来た。
この水晶は、勇者パーティに貸与している物で、直接王である儂に繋がる様になっている。
「いや、聖女フリージア、賢者ミルカ、剣聖リダの3人を貴族や宗教者の口の堅い者限定で抱かせてあげてはどうか? そういう提案です」
「リヒト殿、今の話ではまるで3職を娼婦の様に扱う話ではないか!幾ら同じパーティとは言え事と次第によっては只ではすみませんぞ」
「王も噂では聞いていると思いますが、今の勇者パーティはカイトのハーレムパーティと言うのは周知の事実です…これを」
リヒト殿が持つ記録水晶に映った物は淫らな行為をする勇者パーティの姿だった。
確かに一線を越えていないとはいえ…これは問題だ。
「これは…これの告げ口を儂に…」
「違います。彼等も15歳、本音で言うなら『ヤリタイ盛り』です。普通に田舎で勇者でなく農民として育っていれば普通の行為です。まぁ複数は少し可笑しいですが」
「だが、彼らは勇者パーティ、この様な行為は問題になる。これでは将来の婚姻関係も難しくなる」
「もう無理でしょう…私だけじゃ無くてもう多くの人間がこの事を知っております」
「だからと言って…それは」
「まず、お話をお聞きください、この際、聖教国と王国で『勇者パーティの性の管理をしては』という提案です」
「どう言う事じゃ」
リヒト殿は儂に『サロン』と『ロマンスクラブ』計画という物を勧めてきた。
この計画は『勇者パーティのしもの管理』を聖教国リキスタンとリンドール王国でするという話だった。
確かに『勇者の子』を授かりたいという女性は貴族に多くおり、言われる通りじゃ。
だが、女性である聖女フリージア、賢者ミルカ、剣聖リダを男性に抱かせるのは流石に問題がある。
そう思っていたのだが、リヒト殿は先程の記録水晶の映像を見せて説明を続けた。
『最後の一線以外を全て他の男に捧げた女に真面な縁談は無い』
確かにその通りだ。
自分の妻と考えたら、この様な破廉恥な者など妻には絶対しない。
そしてリヒト殿の言うにはこのまま旅を続け、いつしか一線を越えて妊娠をしてしまったら大きな問題になる。
そういう忠告もされた。
その為に『解消』させる必要があるのだと。
「それで儂にどうしろというのだ」
此処でリヒト殿が提案してきたのが『ロマンスクラブ』という物だった。
簡単に言うと功績のある『宗教者』や『貴族』に聖女たちを抱かせるという物だった。
確かに彼女達は特別な存在。
彼女達に憧れる…そういう者は多く居る。
それは解る。
だが、三職にそんな娼婦みたいな事をさせて良いのだろうか。
「どうでしょうか?」
「ですが、リヒト殿、幾らなんでもそれは」
「今までの話では、勇者パーティが魔王を討伐を達成した時に多くの者がかなりの年齢と聞きます。そう考えたら『女の幸せ』を捨てている。そう私は考えます」
「確かにそうかも知れぬが…聖女殿達が」
「彼女達は、イケメンで優しい男が大好きです。そういう存在との恋愛を夢見ています…だから誰でも良い訳じゃありません。手柄や功績のあった貴族や宗教者で顔の良い者に彼女達を口説き行為までの権利を与えるのです。ちょっとした褒賞になるのではないでしょうか?勿論、自分で口説くのが前提です」
「そうか…」
悩んだ末王妃に相談した儂は『確かに女性として不憫』という話を聞き、リヒト殿のいうロマンスクラブの提案を受け入れる事にした。
気軽に利用できるように『昔からあった』という事にして…
この話は『真実さえ知らなければ』全員が幸せだ。
勿論、ここの中の事を漏らした場合厳罰を与える事を決め。
口が堅く信頼のおけるもの限定に与える『特別褒賞』とした。
詳しい事は聖教国と話し合いで決まっていく。
メルカリオ教皇様とも話したのだが、この話はリヒト殿には利益が何もない。
尤もメルカリオ教皇様いわく『大きな貸し』が出来て怖い。
そう言っていた。
可笑しな話だが『仲間』を思って『こちらに利のある話』だ。
この絵を描いたのが15歳の少年だとは到底思えないな。
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