26 / 67
第26話 更に南へ
しおりを挟むレイラとの生活を楽しみながら、更に南へと向かっている。
まだまだ、聖教国リキスタンは遠い。
それでも、もう強い魔物には余り出会わなくなってきた。
今現在この辺りで出会う魔物で一番強いのはオーガだ。
明らかに今迄とはランクが違う。
この辺りの魔物なら最早、俺やレイラなら余裕で無双できる。
それでも一度狩りに出れば金貨10枚(約100万円)は稼げるからお金には不自由していない。
簡単に言うなら今迄の地域がゲームで言うとレベル60位のプレイヤーがようやく戦える地域だとするなら、今いる地域はレベル45位のプレイヤーが余裕をもって戦える地域。
そんな感じだ。
「かなり南に進んで来たね」
「ああっ、まだ聖教国リキスタンは遠いけど、この辺りでも魔物は弱いし魔族は殆ど見かけたことは無いって話だからまずは安全だな」
「そうだよね! この辺りならもう私達なら余裕で倒せる魔物ばかりだよ…ひとまずは安全だね」
これで一安心だ。
カイト達勇者パーティは北に向かっている。
俺達は南に向かっているから距離はどんどん離れていっている。
もう今後の人生で会う事は無いだろうし、連れ戻しに来ることも無いだろう。
きっと、俺が彼らの消息を知る時は、彼等が栄光を掴んでいる時か破滅している時だ。
「そうだな」
「それで、これからリヒトくんはどうするの?」
「俺の夢は半分叶ったから、此処からは残り半分の夢探しだな」
「あの…叶った夢って…それ私かな?」
「当たり前じゃない?。俺の夢は5歳から変わらない。レイラと甘い生活を送る事だったんだから…」
「あーあっ…凄く嬉しいけど、本当に凄いね。こんなおばさんになっても」
「レイラ」
「あっゴメン、だけど10年間も好きで居てくれたなんて未だに信じられないよ…こんなに永く愛して貰えたなんて凄く嬉しいよ」
レイラ程の美人は前世も含めて会ったことは無い。
芸能人やアイドルだって恐らく此処迄スタイルが良い人間は居なかった気がする。
魔族に勝てず負けて奴隷になってしまったが『人間としての生き方』もカッコ良かった。
それだけじゃない
俺は早くに両親を亡くした。
前世の記憶があるとはいえ、精神は体にかなり引っ張られるのか『凄く悲しかった』
そんな時に会ったのが『勇者レイラ』だった。
10年たった今でも、あの時に慰めて貰った記憶は残っている。
これで憧れるな、好きになるなって方が難しいだろう。
しかも、今のレイラは、あの時以上に俺の理想の年齢で美人なんだから。
あれっ…10年前ならレイラは18歳だ。
あの時でも前世の記憶はあったよな。
自分の中身が30歳~45歳の中年だと意識しだしたのはいつからだ?
18歳のレイラに恋をしたという事は、あの時はまだ精神より体に引っ張られていたのかも知れない。
今は…最低でも20歳、出来たら25歳以上が理想だ。
「俺は少し変わっていて、今位のレイラの歳の方が好みだ。18歳の時のレイラも魅力的だけど、今のレイラの方が更に女性として磨きが掛ったと言うか、凄く魅力が増した様な気がするよ。だから10年間好きで居たというより、10年掛けて『更に好きになった』というのが正解かも知れないな」
「リヒトくん…リヒトくんは本当に私の事、好きすぎだよね!リヒトくんのせいで、いつも顔が真っ赤だよ!」
そう言いながらレイラは絡めていた腕を更に引き寄せてきた。
今迄でも胸が当たっていたのに、更に強く押し当てられた状態になった。
「レイラ」
「リヒトくん、これが嬉しいんでしょう? 最近解ったんだよね。それと今夜もまた『私頑張るからね』楽しみにしててね」
「うん」
体に精神が引っ張られるのか、どうも最近レイラに押されっぱなしな気がする。
後は残り半分の夢...レイラと一緒に幸せに暮らせる場所を探す。
それだけだな。
35
お気に入りに追加
855
あなたにおすすめの小説

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

【石のやっさん旧作】『心は』●●勇者…さぁ勇者褒美をとらす! 欲しい物をなんでも言うが良い! 「はい、では●●●で!」
石のやっさん
ファンタジー
主人公の理人(りひと)はこの世界に転生し、勇者に選として、戦い続けてきた。
理人は誰にも言っていなかったが、転生前は42歳の会社員の為、精神年齢が高く、周りの女性が子供に思えて仕方なかった。
キャピキャピする、聖女や賢者も最早、子供にしか見えず、紳士な彼からしたら恋愛対象じゃない。
そんな彼が魔王を倒した後の物語…
久々の短編です。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

救助者ギルドから追放された俺は、ハズレだと思われていたスキル【思念収集】でやり返す
名無し
ファンタジー
アセンドラの都で暮らす少年テッドは救助者ギルドに在籍しており、【思念収集】というスキルによって、ダンジョンで亡くなった冒険者の最期の思いを遺族に伝える仕事をしていた。
だが、ある日思わぬ冤罪をかけられ、幼馴染で親友だったはずのギルド長ライルによって除名を言い渡された挙句、最凶最悪と言われる異次元の監獄へと送り込まれてしまう。
それでも、幼馴染の少女シェリアとの面会をきっかけに、ハズレ認定されていた【思念収集】のスキルが本領を発揮する。喧嘩で最も強い者がここから出られることを知ったテッドは、最強の囚人王を目指すとともに、自分を陥れた者たちへの復讐を誓うのであった……。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる