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第24話 勇者パーティへの思い
しおりを挟むしかし、あいつ等は今頃楽しんでいるだろうか?
『親友』『恋人』ではない。
だが、長い時間を一緒に過ごした『幼馴染』ではあるんだ。
別に不幸になって欲しいとは思っていない。
ただ『命に代えても守ってやりたい』そこ迄思って無かっただけだ。
前世で言うなら、偶に遊ぶ同級生で幼馴染の関係に近い。
もし成功したなら『おめでとう』そう言える位の気持ちはある。
ただ、悲しいかな、あいつ等は半分終わっている。
その素行の悪さから、その栄光の大半を手放してしまっている。
例えば『ハーレムパーティ』
流石に『最後の一線』を超えないがかなりの関係になっているのは、もうあちこちで知られている。
王族や上位貴族は『他人のお手付き』を嫌う。
如何に『最後の一線は超えていない』とはいえ、殆どの事をやっている人間を抱きたがるだろうか?
そんな人間を大事な娘の婚姻相手に選ぶだろうか。
恐らくは『もう無理だ』
『名前が欲しくて』形上の婚姻はあっても、下手したら肌を合わさない。名前だけの『仮面夫婦』が関の山。
いや、悪名が知れ渡っているから、それすら無理なのかも知れない。
もし、4人がもっと『慎重にしてくれていたら』、俺は全員の夢を叶える為動こうと思っていた。
だが、それを壊したのは、自分達だ。
尤も、15歳のやりたい盛りの男女にそれを望むのも酷という物だ。
この世界なら成人。
周りが結婚してヤリまくり子供を作り家庭を築くなか、ストィックに魔物と魔族退治。
『気高く品位を保つ』
無理だな。
そんな生活を何年も続ける…あいつ等には無理だ。
『訓練の足りなさ』
彼奴らは兎も角、訓練が足りない。
5歳の時に会ったレイラは俺から見たら『理想の勇者』だった。
あくまで噂で聞いた限りだが、ストイックに強さを求めていた。
そのパーティの実力はレイラの強さ以外にも、賢者ジャミルは 噂では灼熱呪文を操る天才と呼ばれ、聖女リリアは回復と防御呪文のエキスパート。そして剣聖ソーダスは神速の剣使いと呼ばれていた。
そんな強い勇者パーティが四天王はおろか、ただの幹部に簡単に負けた。
恐らくカイト達が
恐らくカイト達が死ぬ気でひたすら訓練をしてもレイラ達に届くと思えない。
それなのに、カイト達は一直線に『魔王城』に向かっている。
このままだと、数年後に魔王城に着く。
俺は『自力をつけて、ゆっくりと』と進言していたが聞いて貰えなかった。
28歳のレイラが魔王城にたどり着いて無い。
これはゆっくりと力をつけながら旅をしていたからだ。
それでも届かなかった。
だから…俺が言った…
『よく考えて見ろよ! 此処で俺が別れるよな? 恐らく数年後にカイト達は魔王と戦う…負けたら4人が死んでもう俺には会えないだろう』
これは可哀そうだが、俺の本音だ。
だからこそ、俺は別れる前に『楽しい冒険のしおり』『楽しい夜の冒険のしおり』を作ったんだ。
親友でも無い恋人でも無い。
だから命までは掛けられない。
それでも『幼馴染』ではある。
だから、死ぬまでの残りの日々を楽しめるようにプランを変えた。
カイトもフリージアもミルカもリダも、死の運命から逃げられない。
それに名声も既に堕ちている。
なら、彼らが夢見ていた生活の一部を前払いで貰っても良いだろう。
だから、国王、教皇を口説いて、サロンやロマンスクラブの使用を認めて貰ったし、これからも楽しめる様なプランや特典を幾つも交渉して作った。
4人はきっと何も手にする事無く『死ぬ』だろう。
だったら、その時が来るまでは楽しく生きて欲しい。
それが俺の身勝手な願いでも…
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