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第17話 下心の無い優しさ レイラSIDE
しおりを挟む宿に着きました。
「ふぃ~気持ち良いね。これ一体なに?」
「足湯だよ。旅から旅でブーツ履いているから足が疲れるだろう? だから薬湯をいつも作って浸かって貰っていたんだ。」
「しかし、凄くまめだよね。まさか勇者パーティの時もこんな事までしていたの?」
「まぁね。それとレイラが嫌じゃ無かったら、後でマッサージもしようと思うんだけど良いかな?」
「まるで孝行者の息子を持った気分だよ。至れり尽くせりだね」
「そこはせめて、尽くしてくれる恋人か、旦那様にして欲しいな」
「あっごめん」
「まぁこればかりは、心の問題だから仕方ないけど、俺はレイラを恋人の様に思っているから」
「それは良く解っているからよ。大丈夫だよ。マッサージもお願いしようかな」
「それじゃ、軽くシャワーを浴びてきてくれる」
「解った。だけど、良く此処迄尽くすリヒトを追い出したもんだね」
◆◆◆
「お前さぁ、変態なのか?フリージア達の足や体を触りたいからってキモイんだよ」
「そういうの、セクハラって言うんだよ」
「変態」
「女の体が触りたいからって、それは駄目だ。幼馴染が変態だとは思いたくないから、もう止めろ」
◆◆◆
「こんな感じだった」
「随分、大変だったんだね。それじゃシャワーを浴びてくるね」
「それじゃ準備して待っているから」
「ううん…」
今の勇者パーティって馬鹿の集まりなのかな?
こんな子を追い出すなんてアホの集まりにしか思えないよ。
私は此処迄『男に大切にされた思い出は無い』
『下心がある』もしそうだとしても、此処迄されたら『応えたい』そう言う気にならないのかな?
大体、今の生活は…良すぎるわ。
『奴隷』の筈が勇者の時より遥かに楽しい生活なんだから、思わず笑っちゃうわ。
此処迄の旅で野営の見張りはリヒトが全部行い、家事も全部リヒトが行っていたわ。
これじゃどっちが奴隷なのか解らないわよ。
しかも、その料理が全部美味いのよ。
オムライスにハンバーグモドキにカレースープ。
こんな美味しい物食べた事なかったよ。
異世界の料理らしいわ。
もうどうして良いか解らないよ。
大体、魔族に負けて帰ってきた私に全て押し付け投獄。
碌に治療も受けさせて貰えないで、1日1回の具の無いスープと水と固いパンの生活。
そして買い手が付かないで廃棄されるかもしれない奴隷オークション。
世の中には敵しか居ない。
そんな人間しか居ない、そう思っていたのに…
『リヒト』はそんな場所から私を助けてくれた。
それだけでも感謝しかないのに。
今迄で一番幸せだと思えるこの毎日。
少し前の絶望が嘘の様に思えていく。
『リヒトは凄く優しくて、大切にしてくれて、今の私にとって一番大切な人』
それはもう解っている。
だけど、どうしようかな?
28歳のおばさんが、15歳の少年の恋人。
しかも28歳の癖に恋愛経験ゼロ。
どうしようかな…
「シャワー浴び終わったよ…」
「解った、それじゃ此処にうつ伏せになってくれる」
「うん…」
「それじゃ行くよ」
そう言って裸にタオル1枚巻いた、うつ伏せ状態の私にリヒトが跨ってくる。
「あ~っそこ気持ち良い、凄く効くわぁぁぁ」
首筋にリヒトの手が触れて優しく摘まんでくる。
「結構効くでしょう?」
それが肩にまで降りて来て凄く気持ちが良い。
そのまま肩甲骨に腰と揉まれてさらに気持ちが良くなる。
お尻に太腿ふくらはぎまで揉まれているけど、全然イヤらしく感じない。
寧ろ、彼の優しさが良く解る。
体から疲れが抜けていく気がする。
リヒトの居たパーティってやっぱり馬鹿だわ。
これの何処に『下心』があると言うのかな。
これは、疲れを癒すために揉み解しているだけだよ。
「随分、マッサージ上手いね」
「これは俺の考えだけど、勇者パーティに居る以上は、仲間の健康管理も俺の仕事だと思っていたんだ。少しでも勝率をあげる為にマッサージも覚えたんだ。まぁ拒まれて行ったことは無いけどね」
「そうなんだ。それは勿体ない事していたね。うんうん極楽、極楽」
凄いなこれ。
揉まれる度に体が蕩けそう。
大体、私は奴隷なんだから。
抱きたいなら『裸になって俺に跨れ』で体を開かなくちゃいけない。
そういう存在なのよ。
だから、これは『下心』じゃない『優しさ』それしか無い。
本当の意味で私も腹を括らないといけないのかもしれないわ。
親子ほどの歳の差があっても此処迄されて『嘘だ』そんな事言えないよね。
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