勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん

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第15話 南へ

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「それじゃ、行こうか?」

「うん。それで何処に向かうのかな?」

一応、『楽しい冒険のしおり』を渡したから大丈夫だと思うが、気が変わり連れ戻されると困るから、すぐに旅立つ事にした。

「最初に少し伝えたかも知れないけど、魔王領と真逆、南に向かうつもりだ。まずは聖教国リキスタンに行こうと思うんだ」

「あそこには確か魔族を避ける強力な結界があるって聞いたよ。もしかしてそれが目当て?」

「正解。ただ、その分税金や寄進が多いようだから、あくまで仮。住みやすい場所が見つかるまでひたすら南に進む。そんな感じだよ」

「凄い徹底しているね!だけどリヒト位の実力なら、そこ迄しないでも、良いんじゃない? かなり弱くなったけど私だって居るし」

「レイラは自分を過小評価している」

「過大評価じゃなく、過小評価?」

「そうだよ! 子供の頃見たレイラはそれこそ、カッコよくて綺麗で、凄い勇者だと思ったよ」

「そんな照れるよ…あははは、そんなカッコ良かったかな」

「うん、だが、そんなレイラが四天王以下の幹部クラスに歯が立たなかった」

子供の頃に見たレイラは女性としてだけでなく『勇者としてもカッコ良かった』

ストイックで常に自分を鍛え上げていた。

この人ならもしかしたら『魔王を倒せる』そう思える程に見えた。

『それが負けた』

カイト達は才能こそあるが、一番伸びる可能性がある、今の時間を怠惰に過ごしている。

俺が見た感じでは、此処からどう努力しても『俺が憧れたレイラ』には届かない気がする。

残念だが、次の魔王討伐も恐らく失敗するだろう。

尤も、それでも恐らくは、殆どの人間は普通に生活している。

最悪、魔族との境界線が後退するだけだ。

「そうだね。あはははっ、もうあんな怖い思いはしたく無いや」

「だからこその南下だよ。魔族の怖さと無縁の土地に行き楽しく暮らす。それで良いと思うよ!」

「それ確かに良いね! だけど…それならなんで私を選んだの?別に1人でも良いし、それこそお金も有るみたいだし、エルフも元貴族令嬢も思いのままじゃない」

「だから、5歳の時からの憧れだったからだって、もう流石に恥ずかしいから言いたくない」

「へぇ~本当にそうなんだ。いまだに信じられなくて…ゴメン」

そういうと俺の顔を覗き込んできた。

傷がすっかり無くなったレイラは綺麗すぎる。

「…」

「なんで目をそらすのかな?」

「まぁ良いじゃないか…ほら行くよ」

しかしレイラは余程自分の容姿に自信が無いんだな。

同じ事を何度も聞いてくる。

これ程の美人が、自信が無い俺からしたら実に可笑しく感じるが、これが異世界なのかも知れないな。

「うん」

こうして俺達は街を離れ南へと向かっていった。





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