勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん

文字の大きさ
上 下
11 / 67

第11話 黒い手足

しおりを挟む


なんだか、凄く良い匂いがする。

それに凄く柔らかい物に包まれて…

ふよふよして…凄く柔らかい。

目が覚めた。

俺は今…レイラの右手で惹きつけられて抱き着かれていた。

15歳の俺とレイラ…簡単に言うと中学生と背の高い女性。

う~ん。

本当は逆だとカッコ良いんだけどな。

体格差は仕方ない。

もう少し成長すれば…多分大丈夫だ。

ミルクでも飲もうかな。

暫く、抱きつかれたまま感触を味わっているとレイラと目が合った。

「おはよう」

「はい、おはようって…なんだい、顔を真っ赤にして…ああっこれね!あははははっそんなにいいもんじゃないだろう? なんなら触ってみる? そうしたら夢も希望も無くなるだろう?若い子と違って大きくて形も良くないし…」

いや、若い子の小さな胸に俺はようが無い。

胸は大きい方が俺の好みだ。

「いや、俺はレイラ位の大きさが好きだから」

「そう? なら好きな時に別に触る位ならしても良いよ?」

「いや、それは、そのもう少ししてからで良い」

「まぁリヒトがそれで良いなら良いんだけど。奴隷オークションに参加する位なのに随分初心なんだね」

「レイラだって年齢=処女だろうが?」

「あはははっ、確かにそうだ!だけど、それはリヒトも同じだよね?」

「俺は(前世で)豊富に経験がある」

「あはははっ、嘘は言わないで良いよ! 勇者パーティに入っていたんだから、そんなわけ無いよね?」

確かにこの世界じゃ新品だよ。

何故かレイラにニマニマされさながら、俺はレイラを着替えさせた。

◆◆◆

「美味しい…リヒト、さっきもの着替えもそうだけど、家事から介護まで、本当に上手だね」

小さい頃に両親の介護を僅かだけど経験したし、前世も若干経験した様な気がしないでもない。

それにカイトのパーティでは雑用は全部やっていたから慣れだな。

「まぁ、経験者だからね」

「それで今日はどうするの?」

「そうだな、まずはギルドに行ってレイラとのパーティ登録をして、その後は義手と義足について聞いてみようと思うんだ」

「あの、何度も聞いて悪いと思うけど? なんで私を買ったのかな? 「『元勇者』がオークションにかけられる」だから会場に来た。此処迄は解るよ。小さい頃に会って、その私に憧れていたならね…だけど今の私を、態々買うかな? しかも今迄の話だと義手や義足まで買ってくれるんだろう?」

「また、同じ話になるからね『レイラが俺の好み』だから。取り敢えずこれで終わり。それじゃ支度しようか?」

「そうだね…」

レイラは『何故買ったのか?』しつこく聞いてくるけど、真面目に、好みだったから買ったとしか言えない。

『憧れる位の美人のお姉さんが売られたから買った』

それ以上でもそれ以下でもない。

だから、本当に返答に困る。

そろそろ納得してくれないかな。

俺は自分とレイラの身支度を整えて冒険者ギルドへ向かった。

◆◆◆

「ようこそ冒険者ギルドへって…貴方はリヒト様ですね、今日はどう言ったご用件でしょうか?」

《ねぇねぇ、あのオンブしているのってお母さんかな?》

《冒険者ギルドにお母さんオンブして来る》

《リヒトって孝行息子だったんだな》

聞かない事にした。

これでも勇者パーティだから、そこそこ顔は売れている。

身バレをすぐにするのは仕方が無いな。

「まず、確認したいんだが、俺は『黒羽の翼』を抜けたんだがその手続きは済んでいますか?」

「え~と勇者パーティから抜けたんですか?」

「はい」

「まだ手続きは済んでいないようですが…」

やっぱり、あいつ等はズボラだな。

「そうですか、それなら、その手続きをお願いします」

「ですが、リーダーのカイト様が許可した証拠が無いと出来ません」

「それなら、こちらの記録水晶を確認願います」

あぶねー。

やはりこっそりと記録を取って置いて良かった。

あいつ等書類仕事嫌いだからな…

何となく後回しで、すぐにしない気がしたんだよな。

良く、4人とも『そんな事言っていない』と文句を言うから、記録に残す癖がついていて良かった。

「これなら問題無いですね。これで手続きをさせて頂きます。それでは冒険者証をお願いします」

「ついでにレイラとのパーティ申請もお願いします」

「えっ、レイラ…そのおぶさっている方がレイラさんですか?」

レイラは俺以上の有名人の筈だが、何故知らないんだ?

「そうだけど? もしかして知らなかった?」

「いえ、知ってはいますが…まさか此処に来るなんて思わなくて結びつきませんでした。確か『犯罪奴隷』でしたね。解りました。リヒト様の奴隷として登録致します。今しばらくお待ちください」

「頼みます。それでこの辺りで義手や義足を販売しているお店はありますか?」

「ああっ、それならこのギルドで紹介していますよ? 良かったらお話してみますか?」

「それじゃお願いします」

「はい、手続きは以上です。 それではサロンでお待ちください。すぐに専門家を伺わせます」

◆◆◆

「久しぶりのサロンだわ、うんうん此処に来ると選ばれたって感じだね」

「確かに、まぁ勇者パーティは抜けても一応は高ランクではあるからな。尤も今回はお客だから、それを抜きにしても此処で話しをすると思うよ」

「確かにそうだね…だけど義手や義足は結構高いと思うけど、良いの?」

「構わないよ。必要な物だからね」


「お待たせしました」

そう言うと背の低い男が気弱そうな男を連れて入ってきた。

気弱そうな男が幾つかの荷物を抱えているから、助手なのかも知れない。

「宜しくお願いします」

「それでどんな義足や義手が欲しいんだ? 着けるのは横の姉さんで良いんだよな?」

「どんな物が良いかが解らないから、色々見せて欲しい。着けるのは横に居るレイラで間違い無い」

「素材を決めてから、採寸して作っていくんだ。」

「それじゃ完成まで結構な時間が掛かりそうですね」

不味いな。

万が一、カイト達に連れ戻されると困るから、出来るだけ早く南に向かいたいのに、暫く足止めか。

「まぁな、簡単な物で4日間、複雑な物なら1か月は掛かる。当たり前だろう?」

「確かにそうですね。値段は張っても構わないので良い物が希望なのですが、時間がなぁ~」

何だか背の低い男の目が光った気がした。

「あるぜ、待たずに済む最高の義手と義足」

「あるんですか?」

「あるとも、最高の物がな」

「それはどう言った物でしょうか?」

「見て見るかい?」

男が見せた物は瓶に入っている黒い液体で、どう見ても義手や義足には見えなかった。

「薬品ですか?義手にも義足にも見えませんが」

「正確には義手でも無いし義足でも無い、正しくはエリクサールの失敗作だ」

エリクサール?

世界に10本しか現存しない最強の治療薬。

確か聖教国の教会が8本、他は各国で1本ずつしか無く王族ですら使うのは難しいと聞いたことがある。

「エリクサールですか?」

「その失敗作だ。10年位前の話だ。エリクサールを人の手で作れないかと考えた男が居てな…その男が作ったのがこれだった」

「それで…効果はどうだったんですか?」

「確かに『完全ではないが多くの病気は治った』だが四肢欠損の患者に使った時に生えたのは黒い手足だった」

「黒い。それだけですか?」

「それだけだ」

「そんな凄い物なら、なんで普及していないんですか?」

「エリクサールを作ろうとしたのが女神への背信行為と取られ、男が処刑されたからだ。だからこれが最後の1本。どうだい買うかい?」

「レイラはどう思う? これはレイラの問題だからレイラが決めて良いよ?」

「私は、色が黒くても、自分の手足になるなら欲しい」

「解った。これは貴方達に譲るとしよう」

「それで代金は幾らでしょうか?」

「代金は@*wa;kewaka@rannだ」

「えっ、それは一体….」

なんでだろう。急に眠たくなってきた。

◆◆◆

どうやら少し眠ってしまったようだ。

レイラは…無事に黒い手足がついているようだ。

しかし俺もレイラもなんで寝ていたんだ。

黒い手足か?

これはこれでカッコ良い。

悪くない。

「リヒト様、お待たせしました。義肢装具士の先生をお連れしました」

「えっ?」

それじゃ一体レイラの手足は誰がくれたんだ。

幾ら考えても解らないな。














しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

救助者ギルドから追放された俺は、ハズレだと思われていたスキル【思念収集】でやり返す

名無し
ファンタジー
 アセンドラの都で暮らす少年テッドは救助者ギルドに在籍しており、【思念収集】というスキルによって、ダンジョンで亡くなった冒険者の最期の思いを遺族に伝える仕事をしていた。  だが、ある日思わぬ冤罪をかけられ、幼馴染で親友だったはずのギルド長ライルによって除名を言い渡された挙句、最凶最悪と言われる異次元の監獄へと送り込まれてしまう。  それでも、幼馴染の少女シェリアとの面会をきっかけに、ハズレ認定されていた【思念収集】のスキルが本領を発揮する。喧嘩で最も強い者がここから出られることを知ったテッドは、最強の囚人王を目指すとともに、自分を陥れた者たちへの復讐を誓うのであった……。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

道具屋のおっさんが勇者パーティーにリンチされた結果、一日を繰り返すようになった件。

名無し
ファンタジー
道具屋の店主モルネトは、ある日訪れてきた勇者パーティーから一方的に因縁をつけられた挙句、理不尽なリンチを受ける。さらに道具屋を燃やされ、何もかも失ったモルネトだったが、神様から同じ一日を無限に繰り返すカードを授かったことで開き直り、善人から悪人へと変貌を遂げる。最早怖い者知らずとなったモルネトは、どうしようもない人生を最高にハッピーなものに変えていく。綺麗事一切なしの底辺道具屋成り上がり物語。

処理中です...