勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん

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第5話 レイラ

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レイラを落札した俺はテントで待たされていた。

先に落札した人間の手続きをしているようだ。

暫く待ち、ようやく俺の番が来たみたいだ。

「この度は、当オークションに参加して頂き有難うございます。まさか現勇者パーティの方がご参加して頂けるとは思いませんでした。リヒト様」

まだ追放されて間もない。

ずぼらなカイト達じゃ手続きをしていない可能性が高い。

この分じゃ、一応はまだ籍があるような気がする。

「もうじき、実力的に着いて行けなくなるからな。今だけだ」

「そうでございますか。 それで代金の方ですがレイラは銀貨5枚、それに落札手数料が10パーセントで銅貨5枚。それに加えて犯罪奴隷は『一番強い奴隷紋』を刻まなければならないのでそちらが金貨1枚、合計金貨1枚と銀貨5枚、銅貨5枚(円=15万5千円位)になります。お支払いをお願い致します」

元々、頑張って貯金をおろして来たから問題は無い。


俺は収納袋からお金を出し、手渡した。

「これで足りている筈だ」

「ありがとうございます。それではまず書類をお渡しします。名義がリヒト様になっている事をご確認下さい」

俺は書類に目を通し、名前が自分になっているのを確認した。

「確認した」

「尤も『犯罪奴隷は終身奴隷』ですので書類はあまり重要でございません。1番強い奴隷紋を刻みますので書類を無くしても『服従』し続けますからあくまで形だけでございます。それでは奴隷紋を刻みますので血をこちらの皿にお願い致します」

「解った」

普通の奴隷なら『奴隷紋』を刻む前に話をしたりするのだが、犯罪奴隷は違うらしい。

万が一に備えて『奴隷紋』を刻んでから引き渡されるそうだ。

暫く用意してくれた個室のテントで待っていると奴隷商人がレイラを連れてやってきた。

「お待たせしました。準備が整いました…奴隷をお引渡しします。もし何かお話があるのなら1時間位であれば、此処をお使い下さい」

それだけ話をして奴隷商は行ってしまった。

そしてレイラが俺の前に現れた。

頬に大きな傷はあるが、シルバーブロンドの綺麗な髪と赤み掛かった美しい瞳、そしてまるで陶磁器の様に綺麗な肌は薄汚れていても健在だ。

確かに左手右足は無く、隻腕、隻脚だが、それでも購入した事に後悔は無い。

目が合った。

するとレイラはその場に跪いて土下座の姿勢をとってきた。

「この度はううっ!醜い役立たずの犯罪奴隷の私をお買い上げ頂き...」

俺は慌ててレイラの傍に行く。

「レイラ、そんな事をしないで良いから」

「ですが…私は若くも無いしもう綺麗でも無い…強さも無い、何も無い…それどころか、手足が無いから…何もできない、こんな最低の奴隷なんですよ…こんなの奴隷ですらない、迷惑しか私は貴方にかけない…生き汚くてゴメンなさい…だけど死にたくはないんです…」

なんだか話を止めてはいけない。

そう思い、そこ迄は聞いた。

これ以上は聞く必要は無いな。

「そうかな? レイラは凄く綺麗だと思うよ!それは今も変わらない!」

俺は確かに若いが心は30歳~45歳。

俺から見たレイラの年齢はドストライク。

確かに顔に傷はあるし、隻腕、隻脚だけど、それでも、この世界で会った誰よりも綺麗に思える。

それに何より『凛々しい』綺麗だけじゃない凛々しいんだ。

一目惚れとはこう言う事を言うのだろうな。

「お世辞は良いですよ。今の自分がどれだけ醜くく役立たずで惨めな存在かは解っています。今の私は人のお世話をする処か、お世話して貰わないと生きていけない存在です。よく貴方みたいな若い子が買いましたよね…」

目が濁っている。

そのせいで俺から見た『美しさ』はそのままだけど『凛々しさ』は隠れてしまったようだ。

今のレイラに何を言っても無駄なような気がする。

「俺にとってのレイラは理想の女性だ、それは今も昔も変わりないよ。だけど、後の事は此処を出てから話そうか?」

「…はい」

雑用なら慣れている。

どうでも良い奴とは違う。

自分の好きな相手なら、多分同じ事をしても楽しいと思える気がする。
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