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第49話 宴と俺の居る場所
しおりを挟む「邪神様!最高! この生き血に乾杯――っ」
「お客様だから、もてなしますわ。それは10代の処女の生き血…とっておきの一品ですわ」
「だからですね黒薔薇さん…邪神様って凄い! 良かったらあたしも家臣にして…痛いっ」
「邪神瞳様に何たる言いぐさですか? 神に対する言葉使いを覚えなさい!」
しかし、ドラキーナさんもエミリーさんもなかなかの美少女だ。
ドラキーナさんは見た感じ凄く黒薔薇に似ている。
こうして2人が一緒に居るとまるで姉妹みたいだ。
「ハァハァ、あっあっあああーーっ」
「瞳様、気をつけて下さいまし…しかしなんでドラキーナに…」
「黒薔薇ゴメン、制御になれていなくて…ドラキーナも悪かった」
「ハァハァ、構いませんが…一体それなんですか? 急に体中をまさぐられた様な感覚に襲われました。とんでもない快感…でした」
「ドラキーナさんが羨ましい…それはまさしく神の寵愛です…あとでこのエミリーにもお願い致します」
「いや、まだ上手く制御出来ていなくてな…ははは悪い」
「それで何故ドラキーナに…なのですの?」
「瞳様…寵愛なら私に欲しい」
知らないうちにしてしまったが、不味いよな。
「いや、黒薔薇とドラキーナが姉妹みたいに似ているからついな」
「似てませんわ」
「あたしと黒薔薇さんですか?余り似て無いと思いますよ」
「余り似ていない…」
「どうだろうか?確かに雰囲気は似ているけど。ソックリではないな」
「もしかしてですが邪神様は神ですから、見えている物が違うのかも知れません。二人とも『吸血』をする者ですから神の目には似て映るのかも知れませんね」
そうか…まぁ俺の目は変わっているから違って見えるのは仕方が無いな。
「まぁ、俺から見たら全員、美形にしか見えないから…うん問題ない」
「流石、邪神様ですね。私やドラキーナさんも綺麗に見えるなんて…」
やはり、彼女達はまた『俺にのみ綺麗に見える』んだな。
ドラキーナさんは、白い髪に赤い目、黒薔薇と同じようにゴシックロリータの服を着ている。
黒薔薇が見つめると吸い込まれるような綺麗な瞳をしているのに対して目がくすんでいて濁っている。
少女だから、そんなことは無いが、黒薔薇が身を持ち崩して何かに絶望した姿が一番近い。
やや背が高くやや大柄な感じだ。
黒薔薇の姉妹…そう言う感じだ。
ただ、どちらが出来が良いかと言われれば黒薔薇だ。
黒薔薇の下位交換…そんな感じだ。
エミリーは、THEメイドと言う感じだ。
秋葉原に居るようなパチ物じゃなく、本当に綺麗なメイドのお姉さんという感じではにかむ笑顔が輝いて見える。
黒牡丹と同じで黒髪なのが日本人だった俺にポイントが高い。
おかっぱ頭に眼鏡をかけていて、この目になる前の俺が見た姿で一番近いのが『頭脳明晰なデキるエルフ、更に巨乳』
エルフは貧乳が多いがエミリーは違う。
俺のパーティは黒薔薇や黒牡丹は年下に見え、京子は同級生位。
そう考えたら…大人の女性…思わず癒し系の笑顔に『いいな』そう思ってしまう感じだ。
「いや、本当に綺麗だよ! エミリーさんはデキる大人の女性みたいだし、ドラキーナさんはそう、まるで黒薔薇の姉妹みたいに素敵に見えますよ」
「本当ですか?! 嬉しいです! 本当に嬉しいなぁ~そんな風に言われたの私初めてです…諦めて同性専門の冥途(メイド)になっていたのに…丁度私、次に仕えるご主人様を探していたんです! 雇って貰えますか?」
お金も食料も幾らでもある。
「別に構わないけど…」
「それじゃ、今から瞳様がご主人様です! なんなりと申しつけ下さいね」
「解った」
別に大人の魅力に負けたんじゃない。
周りの世話をしてくれる人間が欲しかっただけだ。
しかし…
「嘘…私があんなのに似ている…可笑しいですわぁぁぁぁーー」
「あたし、あんなに悍しかったの?だから、だから四天王になってもモテなくて陰口叩かれているワケ? あはははっもう人生にヤル気無くなったよぉぉぉーー」
「…ドンマイ」
「うわあっはははっ!あたいらが醜いのは当たり前じゃん。ドラキーナさんも結構醜いよ、蝙蝠怪人みたいで…自覚した方が良いよ」
「まぁ良いじゃないですか? 邪神 瞳様に寵愛を受けているのですから…ねっ」
俺にはこの光景が凄くほのぼのして見えるんだけど…オーガが怯えているのは何故だ。
◆◆◆
「このソーセージって奴、凄く美味いですな~」
「それを言うなら、このハンバーグもなかなかですよ」
俺はあれから後、宴に向かって準備をさせて貰った。
帝国軍が持っていた酒の一部と食料を吐きだした。
それと同時に俺は『全自動ソーセージマシーン』と『全自動ハンバーグマシーン』を作った。
全知全能って凄いな。
思っただけで簡単に作れてしまう。
一応、俺の『世界』にも同じマシーンを放り込んで置いた。
確かに、オーガは俺には美しく見える。
だが、幾ら美男美女に見えても『人間を食う姿』は気持ち悪い。
イメージして欲しい、普通の人間がゾンビをカジカジしている姿。
やっぱり見たくはない。
そこで、これを作った。
これなら、ソーセージにハンバーグでパーティ開いている。
前世で言うならドイツみたいな光景だ。
少し離れた場所で俺は宴を見ていたのだが…エミリーが近づいてきた。
「あんなに楽しそうにしているオーガは初めて見ました」
「そうか…」
確かに俺にもそう見えるし、見ている俺も嬉しい。
「今迄、魔族側に勇者が現れないから、何万、いえ何十万もの魔物に魔族が死んでいきました。いつも皆が不安がっていたんですよ!それが勇者様を通り越して邪神様です!しかも憎き勇者召喚国の王国を滅ぼして、帝国軍まで…感謝しかないです」
確かに俺は沢山の人間を葬ったが、そこまで感謝される事か?
「大した事してないだろう?」
「大した事です! 私の家族は王国の召喚した異世界人に殺されました…だから本当に嬉しいんです」
「そうか? これからは人間は『食料』として生きていく、それだけだよ…おれは邪神としてこれからも魔物や魔族を守って生きていくだけだ」
「ありがとうございます」
エミリーさんの素敵な笑顔を見て、俺は宴に加わりにいった。
此処が俺の居る場所だ。
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