49 / 54
第49話 宴と俺の居る場所
しおりを挟む「邪神様!最高! この生き血に乾杯――っ」
「お客様だから、もてなしますわ。それは10代の処女の生き血…とっておきの一品ですわ」
「だからですね黒薔薇さん…邪神様って凄い! 良かったらあたしも家臣にして…痛いっ」
「邪神瞳様に何たる言いぐさですか? 神に対する言葉使いを覚えなさい!」
しかし、ドラキーナさんもエミリーさんもなかなかの美少女だ。
ドラキーナさんは見た感じ凄く黒薔薇に似ている。
こうして2人が一緒に居るとまるで姉妹みたいだ。
「ハァハァ、あっあっあああーーっ」
「瞳様、気をつけて下さいまし…しかしなんでドラキーナに…」
「黒薔薇ゴメン、制御になれていなくて…ドラキーナも悪かった」
「ハァハァ、構いませんが…一体それなんですか? 急に体中をまさぐられた様な感覚に襲われました。とんでもない快感…でした」
「ドラキーナさんが羨ましい…それはまさしく神の寵愛です…あとでこのエミリーにもお願い致します」
「いや、まだ上手く制御出来ていなくてな…ははは悪い」
「それで何故ドラキーナに…なのですの?」
「瞳様…寵愛なら私に欲しい」
知らないうちにしてしまったが、不味いよな。
「いや、黒薔薇とドラキーナが姉妹みたいに似ているからついな」
「似てませんわ」
「あたしと黒薔薇さんですか?余り似て無いと思いますよ」
「余り似ていない…」
「どうだろうか?確かに雰囲気は似ているけど。ソックリではないな」
「もしかしてですが邪神様は神ですから、見えている物が違うのかも知れません。二人とも『吸血』をする者ですから神の目には似て映るのかも知れませんね」
そうか…まぁ俺の目は変わっているから違って見えるのは仕方が無いな。
「まぁ、俺から見たら全員、美形にしか見えないから…うん問題ない」
「流石、邪神様ですね。私やドラキーナさんも綺麗に見えるなんて…」
やはり、彼女達はまた『俺にのみ綺麗に見える』んだな。
ドラキーナさんは、白い髪に赤い目、黒薔薇と同じようにゴシックロリータの服を着ている。
黒薔薇が見つめると吸い込まれるような綺麗な瞳をしているのに対して目がくすんでいて濁っている。
少女だから、そんなことは無いが、黒薔薇が身を持ち崩して何かに絶望した姿が一番近い。
やや背が高くやや大柄な感じだ。
黒薔薇の姉妹…そう言う感じだ。
ただ、どちらが出来が良いかと言われれば黒薔薇だ。
黒薔薇の下位交換…そんな感じだ。
エミリーは、THEメイドと言う感じだ。
秋葉原に居るようなパチ物じゃなく、本当に綺麗なメイドのお姉さんという感じではにかむ笑顔が輝いて見える。
黒牡丹と同じで黒髪なのが日本人だった俺にポイントが高い。
おかっぱ頭に眼鏡をかけていて、この目になる前の俺が見た姿で一番近いのが『頭脳明晰なデキるエルフ、更に巨乳』
エルフは貧乳が多いがエミリーは違う。
俺のパーティは黒薔薇や黒牡丹は年下に見え、京子は同級生位。
そう考えたら…大人の女性…思わず癒し系の笑顔に『いいな』そう思ってしまう感じだ。
「いや、本当に綺麗だよ! エミリーさんはデキる大人の女性みたいだし、ドラキーナさんはそう、まるで黒薔薇の姉妹みたいに素敵に見えますよ」
「本当ですか?! 嬉しいです! 本当に嬉しいなぁ~そんな風に言われたの私初めてです…諦めて同性専門の冥途(メイド)になっていたのに…丁度私、次に仕えるご主人様を探していたんです! 雇って貰えますか?」
お金も食料も幾らでもある。
「別に構わないけど…」
「それじゃ、今から瞳様がご主人様です! なんなりと申しつけ下さいね」
「解った」
別に大人の魅力に負けたんじゃない。
周りの世話をしてくれる人間が欲しかっただけだ。
しかし…
「嘘…私があんなのに似ている…可笑しいですわぁぁぁぁーー」
「あたし、あんなに悍しかったの?だから、だから四天王になってもモテなくて陰口叩かれているワケ? あはははっもう人生にヤル気無くなったよぉぉぉーー」
「…ドンマイ」
「うわあっはははっ!あたいらが醜いのは当たり前じゃん。ドラキーナさんも結構醜いよ、蝙蝠怪人みたいで…自覚した方が良いよ」
「まぁ良いじゃないですか? 邪神 瞳様に寵愛を受けているのですから…ねっ」
俺にはこの光景が凄くほのぼのして見えるんだけど…オーガが怯えているのは何故だ。
◆◆◆
「このソーセージって奴、凄く美味いですな~」
「それを言うなら、このハンバーグもなかなかですよ」
俺はあれから後、宴に向かって準備をさせて貰った。
帝国軍が持っていた酒の一部と食料を吐きだした。
それと同時に俺は『全自動ソーセージマシーン』と『全自動ハンバーグマシーン』を作った。
全知全能って凄いな。
思っただけで簡単に作れてしまう。
一応、俺の『世界』にも同じマシーンを放り込んで置いた。
確かに、オーガは俺には美しく見える。
だが、幾ら美男美女に見えても『人間を食う姿』は気持ち悪い。
イメージして欲しい、普通の人間がゾンビをカジカジしている姿。
やっぱり見たくはない。
そこで、これを作った。
これなら、ソーセージにハンバーグでパーティ開いている。
前世で言うならドイツみたいな光景だ。
少し離れた場所で俺は宴を見ていたのだが…エミリーが近づいてきた。
「あんなに楽しそうにしているオーガは初めて見ました」
「そうか…」
確かに俺にもそう見えるし、見ている俺も嬉しい。
「今迄、魔族側に勇者が現れないから、何万、いえ何十万もの魔物に魔族が死んでいきました。いつも皆が不安がっていたんですよ!それが勇者様を通り越して邪神様です!しかも憎き勇者召喚国の王国を滅ぼして、帝国軍まで…感謝しかないです」
確かに俺は沢山の人間を葬ったが、そこまで感謝される事か?
「大した事してないだろう?」
「大した事です! 私の家族は王国の召喚した異世界人に殺されました…だから本当に嬉しいんです」
「そうか? これからは人間は『食料』として生きていく、それだけだよ…おれは邪神としてこれからも魔物や魔族を守って生きていくだけだ」
「ありがとうございます」
エミリーさんの素敵な笑顔を見て、俺は宴に加わりにいった。
此処が俺の居る場所だ。
2
お気に入りに追加
413
あなたにおすすめの小説

ただ貴方の傍にいたい〜醜いイケメン騎士と異世界の稀人
花野はる
恋愛
日本で暮らす相川花純は、成人の思い出として、振袖姿を残そうと写真館へやって来た。
そこで着飾り、いざ撮影室へ足を踏み入れたら異世界へ転移した。
森の中で困っていると、仮面の騎士が助けてくれた。その騎士は騎士団の団長様で、すごく素敵なのに醜くて仮面を被っていると言う。
孤独な騎士と異世界でひとりぼっちになった花純の一途な恋愛ストーリー。
初投稿です。よろしくお願いします。

星の勇者たち でも三十九番目だけ、なんかヘン!
月芝
ファンタジー
来たる災厄に対抗すべく異世界に召喚された勇者たち。
その数、三十九人。
そこは剣と魔法とスチームパンクの世界にて、
ファンタジー、きたーっ!
と喜んだのも束の間、なんと勇者なのに魔法が使えないだと?
でも安心して下さい。
代わりといってはなんですが、転移特典にて星のチカラが宿ってる。
他にも恩恵で言語能力やら、身体強化などもついている。
そのチカラで魔法みたいなことが可能にて、チートで俺ツエーも夢じゃない。
はずなのだが、三十九番目の主人公だけ、とんだポンコツだった。
授かったのは「なんじゃコレ?」という、がっかりスキル。
試しに使ってみれば、手の中にあらわれたのはカリカリ梅にて、えぇーっ!
本来であれば強化されているはずの体力面では、現地の子どもにも劣る虚弱体質。
ただの高校生の男子にて、学校での成績は中の下ぐらい。
特別な知識も技能もありゃしない。
おまけに言語翻訳機能もバグっているから、会話はこなせるけれども、
文字の読み書きがまるでダメときたもんだ。
そのせいで星クズ判定にて即戦力外通告をされ、島流しの憂き目に……。
異世界Q&A
えっ、魔法の無詠唱?
そんなの当たり前じゃん。
っていうか、そもそも星の勇者たちはスキル以外は使えないし、残念!
えっ、唐揚げにポテトチップスにラーメンやカレーで食革命?
いやいや、ふつうに揚げ物類は昔からあるから。スイーツ類も充実している。
異世界の食文化を舐めんなよ。あと米もあるから心配するな。
えっ、アイデアグッズで一攫千金? 知識チート?
あー、それもちょっと厳しいかな。たいていの品は便利な魔道具があるから。
なにせギガラニカってば魔法とスチームパンクが融合した超高度文明だし。
えっ、ならばチートスキルで無双する?
それは……出来なくはない。けど、いきなりはちょっと無理かなぁ。
神さまからもらったチカラも鍛えないと育たないし、実践ではまるで役に立たないもの。
ゲームやアニメとは違うから。
というか、ぶっちゃけ浮かれて調子に乗っていたら、わりとすぐに死ぬよ。マジで。
それから死に戻りとか、復活の呪文なんてないから。
一発退場なので、そこんところよろしく。
「異世界の片隅で引き篭りたい少女。」の正統系譜。
こんなスキルで異世界転移はイヤだ!シリーズの第二弾。
ないない尽くしの異世界転移。
環境問題にも一石を投じる……かもしれない、笑撃の問題作。
星クズの勇者の明日はどっちだ。

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる