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第48話 私は虫けら ドラキーナSIDE

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時は少し遡る。


「ああっあれが邪神の力…」

「ドラキーナさん、無礼ですよ! 邪神様です! 尤も関係ないですかね? これからドラキーナさんは喧嘩を売ってぶっ飛ばすのですから、解りました…私が果たし状を代筆して差し上げましょう! 『生意気だから、あたしがお前をぶっ飛ばして部下に…』と」

「止めて…お願いだから止めてよ…」

あんな物見せられたら、信じるしかない。

目の前で屈強な帝国軍がなにもして居ないのに、体が解体されていく。

相手が1人でも凄い事なのに万単位の人間がバラバラになって死んでいく。

「ドラキーナさん? やらないんですか?」

「馬鹿言わないでよ! 英雄ランスロ―ドが一瞬でバラバラなのよ!彼奴に何回私達は煮え湯を飲まされてきたか…他にも英雄クラスが山程いて、聖騎士に重歩兵騎士までもが全部バラバラ…あれが魔族に通ずるなら、誰も勝てないわよ」

「ふっははははは、何を言っているんですか? 相手は『邪神様』神なのですよ! 我々なんて虫けらなんですよ! 相手が人間だから他の神の加護があるから少し時間が掛かったんですよ! 我々魔族が信仰するのは邪神様だから、加護が無効な分一瞬で塵に出来ますね…ドラキーナさん、ファイトです」

「戦わないわよ…それより、さっきから、なんで急に『さん』なのよ!」

「うふふふっ、私凄く解りやすいんです。尊敬する人には『様』親愛を感じている人には『呼びつけ』どうでもよい人には『さん』なんですよ! ドラキーナさんは…もうどうでも良い人なので『さん』です」

「あんた…ねえ、私の従者でしょうが!」

「何をいっているんでしょう? 私はメイドです…しかも本物の『冥途(メイド)』だから主を自分で選びます。貴方は主ではありません…本物の主が見つかるまでの代替品にすぎません」

「そんな私を裏切るの?」

「裏切るも何も元から主じゃありませんからね。それに私は熱心な『邪教徒』ですから邪神様第一主義です! 邪神様の命令があれば親だろうと兄だろうと喜んで殺しますよ? 勿論、虫けら魔王もそれ以下の四天王もです…私はメイドではありますが冥途でもありますから」

「冥途ってなに」

「主人の為なら喜んで人を殺す、スペシャルメイド…それが私…ドラキーナさん…邪神様に失礼があったら私が殺しちゃいますよ!」

怖い…邪神も怖いし、あの傍に居た2体の人形も恐ろしく禍々しい妖気を纏っていて怖い。

そして、その横の1体。

どう見ても、誰もがあたしより絶対に強いわ。

そして…

「ドラキーナさん、私がどうかしました」

横に居るメイドのエミリーが怖い。

何処にこの悍しさを隠していたの?

マジで邪神を馬鹿にしたら殺されそうな気がする。

そして手には…

「なんで…あんたはホワイトアッシュ(白木の杭)なんて持っているのよ!」

「うふふふっ、もしドラキーナさんが馬鹿やったら心臓にぶち込もうと思っていました(笑)」

「本気…」

「さぁ? 試しになにかしてみたらどうですか?」

「解ったわ…気を付ける」

「解れば良いのですよ…ドラキーナさん」

『齢600年を生きた吸血鬼、血みどろのドラキーナ』ここじゃ虫けらだわ…


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